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連載小説 還らざるOB(1話~11話)

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ある会社の同じ部署の仲間が「仲間会」を結成し、唯我独尊の連中が、飲み会と旅行を通じて人生の深さを感じ合う連載です。
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記事一覧

【連載】還らざるOB(1)

 台北桃園空港をその日の午後一番に日本に向かった一機の飛行機があった。台湾と日本との時差…

杜江 馬龍
5か月前
38

【連載】還らざるOB(2)

 この連中の中心的存在は、昔その会社を辞めて独立し、自分の会社を持った野森という男である…

杜江 馬龍
5か月前
35

【連載】還らざるOB(3)

 彼らの勤めていた会社は、青山には似つかわないバンカラな社風の会社であった。  野森はそ…

杜江 馬龍
5か月前
33

【連載】還らざるOB(4)

 九州に一人仲間がいる。三菱である。質実剛健を絵に描いたような人間で、人一倍仲間を大事に…

杜江 馬龍
5か月前
24

【連載】還らざるOB(5)

 五年ほど前、その会社の同じ部署の人間であった者同士がもう一度会って食事でもしようと声掛…

杜江 馬龍
5か月前
36

【連載】 還らざるOB(6)

 当初は年二回のペースで旅行に出かけた。中には軍資金が少なく、贅沢をしようにも出来ない人…

杜江 馬龍
2か月前
44

【連載】 還らざるOB(7)

 あの忌まわしい台湾旅行の五ヶ月ほど前の五月、錦糸町の駅から歩いて五分ほどのところの、その居酒屋で旅行の打合せ会があった。これまでも、何回かこのお店で集まり打合せをしていた。料金は少々高いのだが、美味しい物を出してくれる。彼ら全員が六十歳をとっくに過ぎていて、それなりに舌もこえている連中であるが、この店を大層気に入っていた。    打合せ当日の夕方、三々五々とメンバーが集まった。中田は出張の帰りに真っ直ぐその居酒屋に来た。佐枝はすでに一時間ほど前から錦糸町界隈で時間を潰し、そ

【連載】 還らざるOB(8)

 日本人の遺体が日本に戻ったのが、あの忌まわしい事故の日から二三日経ってからであった。た…

杜江 馬龍
2か月前
40

【連載】 還らざるOB(9)

 ほどなく、彼らが乗る予定の飛行機が墜落した。との報道がテレビ画面のテロップで流れたが、…

杜江 馬龍
2か月前
45

【連載】 還らざるOB(10)

 その後、野森、佐枝、田川、小平の四人はそれぞれの関係者に生きて還ってきたことを報告した…

杜江 馬龍
2か月前
56

【連載】 還らざるOB(11 完)

 その後、本当に還らざるOBとなってしまった仲間がいた。佐枝と小平だった。まだまだこれか…

杜江 馬龍
2か月前
80