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へびのあしあと
2021年10月28日 19:40
目を閉じてゆっくりと息を吐く頭を空っぽにして脳のスイッチを切り替えた学生たちのざわつきや笑い声全ての雑音が消え静寂が訪れるそして目を開けると数分間真実が見える私の間の前には彼がいる彼だけがいる「またやってるの?」と彼が笑って言った「たまにやらないと不安になるから」彼はカザリではなくなったずっとお互いに影響して行く存在何色かはわからない糸でしっかりと繋がっている
2021年10月17日 16:21
ひとつまだ言っていないことがある彼女はまだそれに気づいてはいないいつか本人が思い出した時そのことを言ってくれるのを待とうと思うこの現象をカザリと名付けたのはその由来は君の名前なんだってこと君がいなければ違う呼び方になっていたそれは確かだと思う「初めて会った日のこと覚えてる?」「大学での最初は覚えてるけど」「その前は?」「断片的だからどれが最初かは…」高校生の時に出会っ
2021年10月1日 18:07
記憶は気まぐれで過去のことを急に思い出したり忘れたりただ今が楽しいならそれでいいかと思ってしまう少なくとも私は彼のカザリでは無くなったらしいいてもいなくてもいいような存在では無くなった何かきっかけになるようなことしたっけ?-そんな私と彼との関係は友達がいることで中和されるらしい理由はわからないがその友達がいることでこの現象は薄れ忘れていたことを忘れさせた友達は私た
2021年9月20日 15:54
案の定昨日の出来事は翌日会った時に全て白紙に戻されていた僕は相変わらず大学で知り合った友達のまま君がカザリのことを話した時はこの法則が奇跡的に崩れたのかと思った少なくともあの神社の中では壊れていたきっと何か抜け道がある再会してからほんの少しでも僕のことを気にしてる視線や素振り積み上げた月日がそうさせるのかそれとも別の何かがそうさせたのか今にも切れそうな細いが繋がってい
2021年9月3日 18:12
確かめたいことがあるそう言って先日来た神社に彼を連れて行った鳥居を超えると雑音が消え二人だけの空間へと変わる彼の姿がいつもより鮮やかに見え色が濃くなった気がした明らかに何かが違うそして過去の記憶が少しずつ蘇る「一緒にここに来たことあるよね?そしてお守り買ったよね?」彼は驚いた表情を見せた「この神社の中だと私はカザリじゃなくなるみたい」「なんでカザリのことを?」「
2021年8月23日 16:50
家と最寄り駅の中間にある小さな神社そこだけ小さな森のように木が生い茂っていてたまに真っ直ぐ家に帰りたくない時この神社に寄り道してお参りをする「こんにちは、お邪魔します」そう言って軽く手を合わせた繁華街からそう遠くなく近くの道路には車が行き交っているでも鳥居をくぐった瞬間から短い階段を上るとともにその喧噪は消え静寂が訪れる不思議これが結界と言うやつか?今は境内に自分以外
2021年8月5日 18:06
たびたびフラッシュバックされる映像は断片で色も音も無くその人がいるはずの場所だけ一人分の空間があってそこに彼をパズルのようにはめたならぴったりとおさまったこの気持ちが何かはよくわからないけど彼に会えば会うほどに心に開いた隙間が埋まって行く記憶の隅に姿を消した彼がいるどうやって入って来たの?いつからいるの?昨日の夜に見つけたんだ偶然かもしれないし違うかもしれない彼
2021年7月27日 13:43
彼の名前がすぐに出て来なかったいつも愛称で呼んでいたのもある何度か聞いたけどよくある名前すぎて印象に残らなかったのもあるんだろうたまたま友達が遅れて二人になる時があってふと彼がかばんにつけてるお守りが気になったどこか見覚えがあった私の視線に気づいた彼はそのお守りを見えないように隠した中身の無さすぎる会話が続く別に気まずい空気で無理やり話してる訳ではなくただ単にお互いが
2021年7月13日 20:33
高校生の時に放課後二人になった時SFやファンタジーのたぐいだと前置きをして君に話したことがある人間には二種類いて自分に縁のある人とない人影響を与えられる人と与えられない人生きて行くうえで必要な存在かどうか一生のうちで関わる人は生まれた時にすでに決まっているんだとそれ以外の人は定型文で話すロボットみたいなもので目の前のことをただこなすだけの存在もし学校で毎日会っている
2021年7月5日 21:12
僕が彼女のもとから離れたのは受験で慌ただしくなり始めた秋のこと彼女にとって僕がカザリであるとわかったから目を閉じて呼吸を少し止め頭の中の余計な物を排除するそしてゆっくりと息を吐いて目を開ける数秒間カザリは消えて繋がっている人これから繋がる人たちだけがそこに残る目を開けた僕の景色の中に彼女の姿はなかった僕はカザリにもそれ以外にも成ることが出来たでも相手からすれば
2021年6月28日 22:55
大学のキャンパスで彼女を見かけた時目を疑って無意識に身を隠したまさかまたこんな形で会うことになるとは想像もしていなかったから彼女の最後の言葉「どうして?なんで?」が今でもずっと耳に残っているその言葉を発した数分後には何事も無かったように教室に入って行くその後ろ姿が今も忘れられないでいる友達の友達と言うこともあって避けては通れないと悟りこれも自分の役目なんだと受け入れた
2021年6月21日 18:12
初めて会う人なのに不思議とそんな気がしないたまにそんな人がいる「どこかで会ったことありましたっけ?」下手なナンパ師みたいなセリフが頭に浮かんですぐに脳内から掻き消した友達とたまに一緒にいる彼のこと「無害」と言う言葉がぴったり当てはまるような当たり障りの無い会話をする空気のような存在の人で人見知りをする私でも最初から気兼ねなく話しができる人だったただどこかで会ったことが
2021年6月14日 22:18
ぽっかりと穴が開いていた心と言うよりは頭の中記憶の一部をどこかに落としたような近い過去に置き忘れて来たかのような感覚大学に入って仲良くなった友達がいる明るくてお喋りで何でも前向きにとらえる性格の子その子にこの穴のことを話したら「忘れっぽいしすぐ物を失くすしいつものことじゃない?」とそれはそれで間違ってないから言い返せないでも大切な記憶がそこだけすっぽりと切り取られたようなそ
2021年6月3日 19:40
制服を着なくなって一か月も経たないのにもう大学に行く電車に乗ろうとしている新しい環境は緊張しかなくて相変わらずの満員電車はいつまでたっても慣れない知らない人同士が狭い箱に押し込まれ密着してもちろん会話ややり取りは無くこんな至近距離にいるのに誰も何もしらない状況ただ運ばれて行く様子を「出荷だ」と高校生の時からそう思っていた駅を降りるとそれぞれがそれぞれの出荷先へ自由意志を