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君と、黄昏ドライブ。


海岸通り。

夕焼けの赤と、夜の藍色が滲む空。


ヤシの木と、広くて深い海。


僕は、君を右側に乗せ、

海辺をドライブ。



……何も話さないけど、心地良い。



カーステレオから流れる、 

君の好きな、ボサノヴァ。


アコースティックギターと、

ウッドベースの音色が、心地良い。


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海岸通りを抜けて、トンネルに入った。


真っ暗闇の中、

彼女の、揺れるイヤリングだけが、

光り輝いている。



出口はまだ、遠く…。



……このままずっと、

トンネルが続いてくれればいいのに…,


そしたら、永遠に、

彼女と二人きりでいられるのに…。




そんなことを思ってしまう僕は、

まだまだ子どもだ。


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トンネルを出ると、オレンジの光に包まれる。


オフィス、電灯、車のライト、、

それは、ネオン街。

人々の生きる証。



カーステレオからは、

僕の好きな、スロージャズ。


ピアノの音と、

アルトサックスのかすれた音色が、

僕と彼女を、繋ぐ。



人工的な、あたたかい光の中、

彼女が呟いた。



「…いつもね、、思うの。

    都会の輝きを眺めた時、

   …あぁ、ひとりじゃないんだなぁって…。


     皆が生きているのが、目に見えて分かる、、


     夜景って、、命の総量だと思うの……。」



……確かに、その通りだな、と思った。


ネオン街を、単に、

「光の集まりが、綺麗だ。」

としか、思っていなかった僕は、


……自分自身を、強く恥じた。




__窓の外を眺める、彼女の瞳が、

夜空の星より、儚く輝いていた。










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