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#エッセイ部門
満員電車でカッコつけたいオレ様
その日、私は満員電車で運良く座席を確保し、スマートフォンでニュース記事を読んでいた。
ふと私の左に座っていた中年男性が、パタッと読んでいた文庫本を閉じた。
そして、立ち上がりながら、彼の目の前に立っていた女性に対し、渋いバリトンボイスでこう言った。
「これは失礼しました……。気付きませんで」
ふと顔を上げると立っていた女性の鞄には、マタニティーマークが付いていた。
なるほど、妊婦さんが立ってい
図書館で借りる本をルーレットで決める ①『地下鉄の文化史』
ルール1冊目 S516.72図書館にはいってたところで早速、ルーレットをまわしていく。
ひとつ目の数字は「5」。技術のコーナーへ移動。
それから「1」,「6」。まだ複数あるようなのでもう一回まわす。「7」。
まだまだある。これは予想外だった。さらにまわそう。「2」。
まだまだある……がこれ以上はルーレットで決めていくのは難しそう。
それに読めないと意味がないので、「516.72」たちの中から一
スマラン、世界の静かな中心
前編
Pamplona、SPAIN 2018-2019.
過去
Ⅵ
その日、旧市街のEL GAUCHOでLuisとRita夫妻と出会い、遅くまで真冬のテラス席で一緒にお酒を飲んだ
それはわたしの人生のなかでも、おそらくは最も不思議な夜だった
特別な夜だったと言い換えてもよい
わたしのことを「息子」と感じている老齢のRitaと、そのRitaを福岡の実母にそっくりだと感じているわたし自
[書評] 『その幸運は偶然ではないんです!』で知ったプランド・ハップンスタンス
私のことだから、また脱線して前置きが長くなりそうなので、今回ご紹介したい本を先にお伝えする。
『その幸運は偶然ではないんです!』(ダイヤモンド社)
(著者:J.Dクランボルツ、A.S.レヴィン)
元も子もないが、私は「この本に書かれているエピソードがとても面白い!」と思って、本書を紹介したいわけではない。
ただ、本書に出てくる「プランド・ハップンスタンス(Planned Happenstan
テナーサックスと過ごした日々
私は若い頃に数年間、ジャズのビッグバンドに所属し、「テナーサックス」という楽器を吹いていた。
以前、以下の記事あたりで、そこらへんの話も書いている。
謙遜でもなく、あまり上手くはならずにやめてしまった。
決して、上達しなかったからやめたわけでもないと思ってはいるが、やめてから20年以上も経過する。
その間、「もう1度吹いてみようか」という気にもならなかったし、自分の中では既に「青春のほろ苦