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図書館で借りる本をルーレットで決める ①『地下鉄の文化史』

ルール

① ルーレットで0〜9の数字のうち1つを決める。
② でた目を図書の分類記号の第一区分、第二区分、第三区分としていく。
 例)3,3,3とでたら経済政策、国際経済の本からえらぶ。

画像元:YA!YA!YA!べんりやん図書館

1冊目 S516.72

図書館にはいってたところで早速、ルーレットをまわしていく。
ひとつ目の数字は「5」。技術のコーナーへ移動。

それから「1」,「6」。まだ複数あるようなのでもう一回まわす。「7」。
まだまだある。これは予想外だった。さらにまわそう。「2」。

まだまだある……がこれ以上はルーレットで決めていくのは難しそう。
それに読めないと意味がないので、「516.72」たちの中から一番簡単そうなものを選んだ。

amazon販売ページより

出会ったのは『地下鉄の文化史』(筑摩書房)。
ロンドン、日本の地下鉄開通の歴史と、人々の生活・文化の交わりを書いたもの。

面白そう。面白そうだけど、ルーレットでもしなきゃ一生触れない本だったかも。地下鉄、全然詳しくないし。

印象的だったのはロンドン地下鉄についての章。

みんな大好きシャーロック・ホームズシリーズ。
そのうち、1908年に発表された「ブルース・パティントン設計図」ではロンドンの地下鉄が登場するらしい。

以下は「ブルース・パティントン設計図」のあらすじ。

1895年11月第3週の火曜日、ウーリッジの兵器工場に勤める青年カドガン・ウェストが、ロンドン地下鉄の線路脇で死体となって発見された。

死体の服のポケットに入っていたのは、イギリス国家の最高機密とされ、ウェストが勤める兵器工場の金庫室に厳重に保管されていたはずの最新鋭兵器「ブルース・パーティントン型潜水艦」の設計書10枚の図面のうち7枚であった。

行方不明となった3枚の図面は潜水艦の設計書の中でも特に重要な部分で、その3枚が敵国に渡ればイギリスが重大な危機にさらされることは明白であり、政府の内部は大騒ぎとなった。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

路線図からはじまる物語

以下はネタバレ。
遺体発見現場であるオールドゲート駅付近には、ポイントとカーブが多いことに気がつく。

ホームズは、遺体は現場とは別の場所で殺害されたと推測する。
その後、遺体を地下鉄の屋根にのせて走らせたものの、急カーブしたオールドゲート駅付近で落下したと考える。

ホームズは共有された外国人スパイのリストの中から、線路近くに住んでいるオーバーシュタインに目星をつける。

これも何かのご縁。
そこで、実際のロンドン地下鉄路線図と照らしあわせてみた。

現代のロンドン地下鉄路線図と合わせてみた。

舞台は1895年だが、現代の路線図とあわせても物語とリンクしていて感動……。

コナン・ドイルは路線図からこんな物語を生みだしたんだろうか。路線図への見方、というか世界の見方が変わる……。こんなカーブからミステリーを生み出せるのか。

1冊目と出会って

地下鉄と出会い、ロンドン地下鉄と出会い、ホームズと出会った……。
偶然の、とてもとても長い旅だった。(おかげでこのnoteもどう締めくくったらいいかわからない。)


図書館ルーレットの醍醐味は、この長くて予想のできない旅をはじめられることだと思う。「読みたい」からはじまらない読書も、発見が多くて楽しい……。


さらにこの本をきっかけに、別の、全く別のジャンルの本を読みたくなるという連鎖も感じられた。

今回の旅を経て、コナン・ドイルみたいに何か地理的な情報から、イメージを膨らまして物語をつくる、的なことを私もしたくなった。

そこで新しく、赤瀬川原平『路上観察学入門』、角田光代・佐内正史『だれかのことを強く思ってみたかった』を購入することになった。


「読みたい」からはじまらない読書、から「読みたい」がはじまってしまうのも、なんだか楽しい。まだまだ旅はながい。


次回
2冊目 S709.1 ヒラ




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