小説精読 少年の日の思い出5
ぼくがコムラサキを見せると、エーミールは20ペニヒの値打ちがあると言う。エーミールは、自分の価値観を持っていない。金の価値とは社会的な価値だ。自分以外の、その他大勢の欲望の価値だ。誰も道端の石ころに価値を求めない。このコムラサキは20ペニヒ出しても欲しいという人間が社会にいるということをエーミールは言っている。同時に、コムラサキを20ペニヒ以上出して欲しい人間は、いないとエーミールは言っている。20ペニヒ以上だすのなら、その欲望は他に行くと言っているのだ。
果たして、そうか