ミサカエヨツヤ@428CXdesignworks

文章を書くことが好き。そして旅が好き。日々、思っていることや考えていること、それから、…

ミサカエヨツヤ@428CXdesignworks

文章を書くことが好き。そして旅が好き。日々、思っていることや考えていること、それから、旅行記などを書いています。ビジネス・プロセス・デザイナーで中小企業診断士。文章を書くのと並行して、「世の中をステキなCXに溢れる世界にする」ことをミッションとして活動しています。

記事一覧

見上げればいつも四角い青空#26 ヘルシンキに想いを馳せる/映画『かもめ食堂』を観て

少しネタバレを含みます。 フィンランドのヘルシンキの一角、石畳の坂道の途中にあるガラス張りのお店、一見何のお店かも分かりづらい、その名もかもめ食堂。中を覗くと店…

見上げればいつも四角い青空#25 天高く馬もボクも肥ゆる秋(笑)

先日、所用で四谷から学習院大学初等部と迎賓館の間を通り、東宮御所に沿った道を登っていると、空には真夏のような太陽ともくもくと湧くように広がる入道雲が見えるのに、…

見上げればいつも四角い青空#24 まあるい月の下で想う

2024年9月17日の火曜日の東京は、旧暦8月15日だった。よく晴れた宵が訪れ、夜にかけても雲が少なく月を見上げるにはまたとない日だった。 広辞苑(第二版補訂版)によれば…

見上げればいつも四角い青空#23 夜に美しく咲く花に魅せられて

しゅるるるるるるーーー……、ぱーん 夜空にまさに花が咲くかのように光を放つ花火は、目に届いた後に音が遅れてやってくる。疲れ目に栄養補給している気分だし、音が光を…

見上げればいつも四角い青空#22 雷さまが棲むといふ

もう9月に入り、暦の上では鈴虫も鳴こうかという季節だというのに、まだまだ夏は終わらない!そんな宣言とも思える日々が続く。 そんなまだ続く夏の空と言えば、やはり雷…

見上げればいつも四角い青空#21 老眼鏡という名の魔法の杖

「○○さんの掛けている眼鏡ってハズキルーペってやつですか」 「そう。これってメガネの上からでも掛けられるから便利なんですよ~」 ○○さんはそう言いながら、ハズキ…

見上げればいつも四角い青空#20 シルクロードという魅惑の言葉

初めてシルクロードという言葉を目にしたのは、小学校に上がる前ぐらいで、遠い異国の生活に魅せられたのを憶えている。 先日、義父の『週刊シルクロード紀行』を引き継い…

見上げればいつも四角い青空#19 台風の記憶…往きはよいよい、帰りは怖い

台風7号が近づいている。 依然として強い勢力を保って接近しているとのこと、大きな被害がないことを心から願う。周囲には、できるだけリモートワークを推奨したものの、ボ…

湖と大地とボクたちと#1 プロローグ 空と海、そして湖と大地とボクたちと

息を飲むほどの絶景! とはまさにこのことだろうか。 そう声を発することはなかったけれど、ずっと眺めていられる、そう思えるような世界だった。ボクは、体いっぱいにそ…

見上げればいつも四角い青空#18 都会に森という贅沢

地方の離れで構成される、豪奢なリゾートホテルに来たのか?と錯覚しそうになる。 空はもくもくと入道雲が覆い尽くし、残念ながら青空と森とのコントラストは見ることはで…

見上げればいつも四角い青空#17 これまで通らなかった道を歩き、知らなかった角を曲がる

ボクが初めて引越しをしたのは、高校を卒業して大学に入学するタイミングだった。 生まれ育った地元を離れ、初めて見知らぬ土地へ移り住んだ。 当時は、親元を離れられる…

見上げればいつも四角い青空#16 夏痩せによしといふものぞ

これが夏バテというものなのだろうか。 これまで夏バテには無縁に生きてきたが、年を取ったからなのか食欲が落ちてきたように思うのだ 「人は食べたものでできている」と…

見上げればいつも四角い青空#15 今年も暑い暑い夏が来た!

最近の東京ときたらどうしたことだろう。 東京に住み始めたころの夏は暑いけれど、肌はなんとなくジワーっと暑く、汗もジトーっとかく程度だったように思う。でも最近では…

見上げればいつも四角い青空#14 受け取ったのは「決意せよ」という強いメッセージ

人が見事に生きるとはどのようなことか。 これは宮城谷昌光氏が、古代中国の政治家であり、将軍であり、軍略家である楽毅という人物を描くにあたって、軸とした概念であっ…

見上げればいつも四角い青空#13 時間を一瞬にして遡る

先日、30年来の友人が約2年ぶりに上京した。これまた30年来の友人と一緒に歓迎の宴を催した。 話は、学生時代の失敗から、最近の状況や将来の展望まで、取り留めもなく、…

見上げればいつも四角い青空#12 雨待ち顔の紫陽花を愛でる

5月末から7月中旬にかけて、日本は、梅雨の季節に覆われる。 傘が手放せない日々が続き、温度と湿度が高く、感触的には「さらっ」とはゆかず、「びちょっ」とか「じめっ…

見上げればいつも四角い青空#26 ヘルシンキに想いを馳せる/映画『かもめ食堂』を観て

見上げればいつも四角い青空#26 ヘルシンキに想いを馳せる/映画『かもめ食堂』を観て

少しネタバレを含みます。

フィンランドのヘルシンキの一角、石畳の坂道の途中にあるガラス張りのお店、一見何のお店かも分かりづらい、その名もかもめ食堂。中を覗くと店内は、木目を基調としたインテリアで満たされ、カウンターに腰を預け、皿を拭く日本人女性。
店の外では年配の女性3人が中を伺いながら、こそこそ話。「大人かしら?」「あんなに小さいんだから子供じゃないの?」という感じ。
サチエが気づいて、お辞儀

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見上げればいつも四角い青空#25 天高く馬もボクも肥ゆる秋(笑)

見上げればいつも四角い青空#25 天高く馬もボクも肥ゆる秋(笑)

先日、所用で四谷から学習院大学初等部と迎賓館の間を通り、東宮御所に沿った道を登っていると、空には真夏のような太陽ともくもくと湧くように広がる入道雲が見えるのに、東宮御所の中からは、まるでベルだけで構成された器楽隊でも潜んでいるのでは?と思うほどのスズムシの大合奏に出くわした。
ビッグバンド並みの音量で響く“りんりん““りんりん“という演奏には、東宮御所の周囲を巡回しながら警護する警察官も辟易してい

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見上げればいつも四角い青空#24 まあるい月の下で想う

見上げればいつも四角い青空#24 まあるい月の下で想う

2024年9月17日の火曜日の東京は、旧暦8月15日だった。よく晴れた宵が訪れ、夜にかけても雲が少なく月を見上げるにはまたとない日だった。

広辞苑(第二版補訂版)によれば、陰暦8月15日のことを「中秋」といい、この日に見る月のことを「名月」というとされている。“中秋の名月”とは、この時期の月がキレイに見えることを慣習的にその名で呼ぶのかと思っていたが、まさに陰暦8月15日に見る月の名称であること

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見上げればいつも四角い青空#23 夜に美しく咲く花に魅せられて

見上げればいつも四角い青空#23 夜に美しく咲く花に魅せられて

しゅるるるるるるーーー……、ぱーん

夜空にまさに花が咲くかのように光を放つ花火は、目に届いた後に音が遅れてやってくる。疲れ目に栄養補給している気分だし、音が光を追いかけて後ろから肩を叩く感じも好きだ。
そして何をおいても、光と音をライブで楽しむことでしか得られない経験がそこにはあるから、花火は映像ではなく、圧倒的にライブで見たいと願う。

ボクが夏のイメージをマインドマッピングすると一番初めに登

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見上げればいつも四角い青空#22 雷さまが棲むといふ

見上げればいつも四角い青空#22 雷さまが棲むといふ

もう9月に入り、暦の上では鈴虫も鳴こうかという季節だというのに、まだまだ夏は終わらない!そんな宣言とも思える日々が続く。

そんなまだ続く夏の空と言えば、やはり雷雲とも呼ばれる入道雲だろうか。夏特有の暑さの中、青空の中に“もくもくもくもくっ“と雲が沸き立つ音が聞こえてきそうなほど、上に横にと広がっていく様は壮観だ。

ボクが子供のころは、今よりもぜんぜん暑くはなかったから、夏休みと言えば外で遊ぶの

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見上げればいつも四角い青空#21 老眼鏡という名の魔法の杖

見上げればいつも四角い青空#21 老眼鏡という名の魔法の杖

「○○さんの掛けている眼鏡ってハズキルーペってやつですか」
「そう。これってメガネの上からでも掛けられるから便利なんですよ~」

○○さんはそう言いながら、ハズキルーペを頭の上に上げる。
掛けていると見た目は、精密機械の修理を行う職人さんと見間違いそうで、普段の生活で掛けるには少し勇気がいる気もするが、掛けさせてもらうと思いのほか……を通り越して本当によく見える。
最近、書類を読もうとすると、目の

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見上げればいつも四角い青空#20 シルクロードという魅惑の言葉

見上げればいつも四角い青空#20 シルクロードという魅惑の言葉

初めてシルクロードという言葉を目にしたのは、小学校に上がる前ぐらいで、遠い異国の生活に魅せられたのを憶えている。

先日、義父の『週刊シルクロード紀行』を引き継いだ。
週刊朝日百科として50週にわたって発行され、たくさんの写真で丁寧に解説される豪華な冊子の1冊目を手にすると、そこには以前魅了されたシルクロードの世界があった。

ドイツ人地理学者リヒトホーフェンが名付けたとされるシルクロードだが、『

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見上げればいつも四角い青空#19 台風の記憶…往きはよいよい、帰りは怖い

見上げればいつも四角い青空#19 台風の記憶…往きはよいよい、帰りは怖い

台風7号が近づいている。
依然として強い勢力を保って接近しているとのこと、大きな被害がないことを心から願う。周囲には、できるだけリモートワークを推奨したものの、ボク自身は出社しているという、言行不一致はどうしたものかと自嘲してしまう。

どこにも寄り道せず、関東めがけて一直線に進んでくる台風は、久しぶりだ。大谷翔平選手のツーシーム並みに東京湾手前で北東へと急激に方向転換し、東北地方沖を進む進路が予

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湖と大地とボクたちと#1 プロローグ 空と海、そして湖と大地とボクたちと

湖と大地とボクたちと#1 プロローグ 空と海、そして湖と大地とボクたちと

息を飲むほどの絶景!

とはまさにこのことだろうか。
そう声を発することはなかったけれど、ずっと眺めていられる、そう思えるような世界だった。ボクは、体いっぱいにその景色を浴びて深呼吸する。

空はどこまでも見えそうなくらいに、蒼く透き通ってその高さを示し、海はどこまでも濃い紺色で、海の深さと豊かさを見せているようだった。
空と海のほかに、視界にあるのは、進行方向の右側に見える新緑に彩られた知床半島

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見上げればいつも四角い青空#18 都会に森という贅沢

見上げればいつも四角い青空#18 都会に森という贅沢

地方の離れで構成される、豪奢なリゾートホテルに来たのか?と錯覚しそうになる。

空はもくもくと入道雲が覆い尽くし、残念ながら青空と森とのコントラストは見ることはできなかったけれど、かえって天気が変わりやすい雨待ち空だったせいか、“うるっ“とした空気感が漂い、森の中に居るような感覚を助長する。時折刺すように注がれる陽射しを、しっかりと遮る深緑の葉が黒く見える。庭園内を流れる小川に架かる朱塗りの欄干の

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見上げればいつも四角い青空#17 これまで通らなかった道を歩き、知らなかった角を曲がる

見上げればいつも四角い青空#17 これまで通らなかった道を歩き、知らなかった角を曲がる

ボクが初めて引越しをしたのは、高校を卒業して大学に入学するタイミングだった。
生まれ育った地元を離れ、初めて見知らぬ土地へ移り住んだ。

当時は、親元を離れられることに、この上なく自由を感じたものだ。

だけど、ボクが手に入れたと思っていた“自由”は、“自覚と責任”というそれまで両親に守られて見ずに済ませていたものをしっかりと手渡されることだったと知るのに、あまり時間はかからなかった。

毎日の食

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見上げればいつも四角い青空#16 夏痩せによしといふものぞ

見上げればいつも四角い青空#16 夏痩せによしといふものぞ

これが夏バテというものなのだろうか。

これまで夏バテには無縁に生きてきたが、年を取ったからなのか食欲が落ちてきたように思うのだ

「人は食べたものでできている」という。
対処法としては二つ。食欲が落ちるから滋養をつける食事をする方向と、食欲が落ちていてもしっかり食べられるようにとさっぱりとした食事にする方向の二つだ。みなさんはどちらに向かうだろう。

そもそも食欲が落ちてきている中、滋養をつける

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見上げればいつも四角い青空#15 今年も暑い暑い夏が来た!

見上げればいつも四角い青空#15 今年も暑い暑い夏が来た!

最近の東京ときたらどうしたことだろう。

東京に住み始めたころの夏は暑いけれど、肌はなんとなくジワーっと暑く、汗もジトーっとかく程度だったように思う。でも最近では、太陽の光は肌を刺すように照りつけるし、汗は噴き出すように流れる。
ボクが歳を取ったせいだけではないと思うのだ。

都市特有のねっとりとして、まとわりつくような熱を感じる。でも訪れるオフィスの中やコンビニの中は、思わず身震いするほど寒い。

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見上げればいつも四角い青空#14 受け取ったのは「決意せよ」という強いメッセージ

見上げればいつも四角い青空#14 受け取ったのは「決意せよ」という強いメッセージ

人が見事に生きるとはどのようなことか。

これは宮城谷昌光氏が、古代中国の政治家であり、将軍であり、軍略家である楽毅という人物を描くにあたって、軸とした概念であった。

楽毅は、秦の始皇帝が初めて中華を統一する二世代前くらいに活躍した『史記』にも登場する有名な人物だ。
小国の宰相の嫡子として生まれ、現代の大学生と同じ年代のころ、当時の先進国であった斉へ留学して孫子の兵法を学び、帰国後、自国を併呑し

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見上げればいつも四角い青空#13 時間を一瞬にして遡る

見上げればいつも四角い青空#13 時間を一瞬にして遡る

先日、30年来の友人が約2年ぶりに上京した。これまた30年来の友人と一緒に歓迎の宴を催した。

話は、学生時代の失敗から、最近の状況や将来の展望まで、取り留めもなく、止めどもなく。再会して、一瞬で学生時代のボクたちに戻れるのは、立派なおじさんになったボクたちの特権だ。
そして、この関係がボクにとってとても重要なことは、とある研究結果からも明らかだ。

ハーバード大学の成人発達研究は、ある人の人生を

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見上げればいつも四角い青空#12 雨待ち顔の紫陽花を愛でる

見上げればいつも四角い青空#12 雨待ち顔の紫陽花を愛でる

5月末から7月中旬にかけて、日本は、梅雨の季節に覆われる。
傘が手放せない日々が続き、温度と湿度が高く、感触的には「さらっ」とはゆかず、「びちょっ」とか「じめっ」とか、そんな言葉がぴったりハマる。

この季節のそんな感触を好ましいとは思わないが、ボクがこの季節を楽しみに待つようになったのは、雨に濡れる紫陽花を見ることのできる幸せを知ったからだ。

紫陽花には雨雫がよく似合う。

鞠のように咲く花そ

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