見上げればいつも四角い青空#15 今年も暑い暑い夏が来た!
最近の東京ときたらどうしたことだろう。
東京に住み始めたころの夏は暑いけれど、肌はなんとなくジワーっと暑く、汗もジトーっとかく程度だったように思う。でも最近では、太陽の光は肌を刺すように照りつけるし、汗は噴き出すように流れる。
ボクが歳を取ったせいだけではないと思うのだ。
都市特有のねっとりとして、まとわりつくような熱を感じる。でも訪れるオフィスの中やコンビニの中は、思わず身震いするほど寒い。
この冷気をもたらすエアコンの室外機が、最近の夏の暑さの一部を作り出していると考えると、なんというか、エッシャーのだまし絵の中を永遠にループしているような気持ちになる。
でもボクが知っているのは、せいぜいここ最近の変化ぐらいのものだ。
例えば、産業革命以前の人が夏をどう感じて暮らしていたのか、想像もつかない。時代劇で、部屋を開け放ち、お酒を飲んだりしている情景が描かれると、何とはなく現実離れしているように感じるのはそのせいだろう。
今よりも2度から3度ほど平均気温が低かったといわれる。たった2度、3度なのかと思わずにはいられないほどだが、それが効いてくるのだろう。
一方で、服装に関しては、少なくともエアリズムのような化学繊維の服はないし、なにより体に巻き付けるように身に着ける着物だから、今の温度を前提とすると、その生活はほとんど無茶に近いように思える。
あせもとかに悩んだりしなかったのかと少し心配になる。
でも打ち水をして外気温を下げたり、扇子やうちわで扇いだりして、夏らしい暑さを感じながら、快適に過ごしたのだろう。
大河ドラマ「光る君へ」では、開け放った屋敷で、月を愛でながら夜を過ごす。涼しげなのが少し現実的ではないように感じたけれど、もし、今の日本だったら、藤原道長のあの有名な短歌も生まれなかったかもしれないと思わずにはいられないのだ。
"この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたる ことも なしと思へば"
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