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見上げればいつも四角い青空#14 受け取ったのは「決意せよ」という強いメッセージ

人が見事に生きるとはどのようなことか。

これは宮城谷昌光氏が、古代中国の政治家であり、将軍であり、軍略家である楽毅という人物を描くにあたって、軸とした概念であった。

楽毅は、秦の始皇帝が初めて中華を統一する二世代前くらいに活躍した『史記』にも登場する有名な人物だ。
小国の宰相の嫡子として生まれ、現代の大学生と同じ年代のころ、当時の先進国であった斉へ留学して孫子の兵法を学び、帰国後、自国を併呑しようとする大国の思惑に周辺国との外交により対抗しようとするも、圧倒的な国力の差のもとに自国の滅亡を経験する。その後の巡り合わせで仕えることとなった小国、燕の王のもと、燕の宿敵ともいえる斉との戦いで大事をなす。

実際の楽毅の生涯や生き方とは当然異なるであろうし、史実以外の大半はフィクションとも言える。
ただそのフィクションを導き出す史実は、彼の心の奥底にあったであろう信念が発現した結果とも言える。そして、その信念は、宮城谷氏が、楽毅の生涯を描くにあたって設定した「見事に生きる」という軸となった。

楽毅は、大国に依らず、自国の庇護のもとにとどまることをもよしとせず、世の中を見据え、自身の力で立ち、奢らず、縮こまらず、伸び伸びと自身が成すべき大事を実現するために生きた。
「こういうことがあった」と書き始めれば限がなく、一方で、「こここそは…」とも書き難い。

自身の想いを形にしたその生涯は、ボクが作品を読んで感じる以上の困難を伴ったであろうことも想像に難くない。一方で羨ましくもあり、ボク自身もそうありたいと願う。

「見える」「聞こえる」「感じる」ことができるばかりに惑わされそうになるけれど、楽毅のように世の中をしっかりと見据え、ボク自身が人生でなにを実現したいのかを再定義しよう。

活劇小説ともいえるその内容から受け取ったのは、「決意せよ」という強いメッセージだった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。同じようでいて同じではない日々の生活の中で、感じたことや考えたことをスケッチしています。よかったらまた立ち寄ってください。

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