見上げればいつも四角い青空#16 夏痩せによしといふものぞ
これが夏バテというものなのだろうか。
これまで夏バテには無縁に生きてきたが、年を取ったからなのか食欲が落ちてきたように思うのだ
「人は食べたものでできている」という。
対処法としては二つ。食欲が落ちるから滋養をつける食事をする方向と、食欲が落ちていてもしっかり食べられるようにとさっぱりとした食事にする方向の二つだ。みなさんはどちらに向かうだろう。
そもそも食欲が落ちてきている中、滋養をつける夏バテ対策料理を食べることがはたして可能なのだろうかというところに疑問がないわけではないが、ちょうどそんな風に感じる人が多くなるのが、夏の“土用の丑の日”らしいと今年初めて感じている。
ちなみに“土用”は年に4回ある。
これは、自然界は、木・火・土・金・水の5つの要素でできているという陰陽五行説によるもので、立春・立夏・立秋・立冬の前18日間を土用といい、その間にある丑の日が、土用の丑の日とされている。
そして、「丑の日」らしく“う”のつく食べ物が好まれると聞く。
牛肉やうどんなどなどが挙げられるが、平賀源内のプロダクトアウトなマーケティングの賜物だとは知ってはいても、なんといっても本命は“うなぎ”だろう。ボクは、土用の丑の日に限らず、できることなら毎日でも食べたいくらいにうなぎは大好物だ。食欲がない中でも、あのうなぎを焼く匂いでもご飯が食べられそうだ。
うなぎを食べる歴史は古く、万葉集にもすでに滋養をつける食事として描かれている
“石麻呂に 吾物申す 夏痩せによしというものぞ 武奈伎獲り食せ” (大伴家持)
(いしまろに われものもうす なつやせによしというものぞ うなぎとりめせ)
今年の夏の“土用の丑の日”は、7月24日と8月5日だ。
今では高級品となったうなぎだが、願わくば、どちらかの日には食べたいものだ。
うちのおくさまを拝み、歌でも贈ろうか。
“おくさまに お頼み申す 夏痩せに よいというから うなぎたべましょ!”(詠み人知らず)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?