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心の本棚

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読ませていただいたnoteの中で、心に響いたものを。
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記事一覧

痛くないことにした傷が、見失わない現在地。

痛くないことにした傷が、見失わない現在地。

神田にある、カワセ楽器という楽器屋さんに行ってきた。

ギターの弦交換は、大きな楽器屋さんだと楽器ごとお預かりになることが多いので、こういう個人商店で目の前で施行してもらえる機会は、初学者の私にとって、とても勉強になった。

「本当は自分で弦交換できるようになりたいんです。」って言ったら、じゃあ一緒にやろうかって最後の2本を手渡してくれたので、おそるおそる初めて、自分で弦を張った。少し巻き始めが不

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【#パリでシンプルライフ】フランス生活20年目を迎えて

【#パリでシンプルライフ】フランス生活20年目を迎えて

2004年8月31日、深夜。
日付がそろそろ、9月1日になろうとする頃。。。

それは、私がフランス・リヨン・サン=テグジュペリ空港に降り立った日。
つまり、ここから、今のフランス生活へとつながる原点ともいうべき日。

今年の日本は、猛暑日が続いているとのことだが、あの時も猛暑とまではいかなくとも、結構な夏日が続いており、日本の感覚で来てしまったものだから、リヨン到着時、あまりの寒さ、

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誰かを惹きつけている人は、誰かに嫌われている──「人を惹きつける」とはどういうことなのか?

誰かを惹きつけている人は、誰かに嫌われている──「人を惹きつける」とはどういうことなのか?


ご相談内容はじめまして、極楽蝶さん。ご質問ありがとうございます。

いろいろと思われていることがありそうですね。こんなときは僕もスナックの一日パパをやってみて、カウンター越しに極楽蝶さんから直接お話を聞いてみたくなります。

さて、ざっくりとまとめさせていただくと「日の目を見たい」という極楽蝶さんのメッセージを受け取りました。たぶん自分がやっていることを「他人にもっと見てもらいたい! もっと認め

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四月には 心を輪にする演出を

四月には 心を輪にする演出を

金曜、四月から入社されたTさんの
歓迎会が開かれました。

和ふうの、小洒落たお食事処に集まったのは
同じ課に所属する、十人。
年代は色々ですが、全員が女性です。

掘りごたつの個室で、
ひと続きのテーブルに
十人が五人ずつ、向かい合うように座ります。
皆が席に着くと前菜が手早く提供され、
一杯目の飲み物が行き渡りました。

「Tさん、これからよろしくお願いします。
では、かんぱい」
上司の音頭の

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#7 嫌いになるには、好きすぎた

#7 嫌いになるには、好きすぎた

「ずっと連絡しないで本当にごめん」

二度と来ないと思っていたメッセージが来たのは2週間が経った頃だった。努めて冷静にメッセージを返す。

「落ち着いたかな?こちらは大丈夫だよ」
「今週末会える?」

もちろん会いたい、すぐにでも。私が今、一番会いたくて会いたくて堪らない人。それなのに何故、人間は余計なことを考えてしまうのだろう。彼が提示した日は気を紛らわすために幼馴染との予定を入れた日だった。後

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その仕事を続けられる理由は何ですか?

その仕事を続けられる理由は何ですか?

気がつけば、随分たくさんの人を取材してきた。
今月に入ってからも、すでに名古屋、神奈川、佐賀と出張取材に行き、メーカーや酒蔵、飲食店の社長さんたちに話を聞いた。

今月取材した人たちはなぜかみんな「おしゃべり」で、毎回インタビューに3時間以上かかった。これを一体どうやって記事にまとめたらよいものやらと、今は頭を抱えている。

長時間話を聞いた人のことは年月が経っても記憶に残るが、短い取材でも深く印

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ドイツ語検定4級に合格しました!試験の様子、おすすめ問題集、語学アプリ『Duolingo』をご紹介

ドイツ語検定4級に合格しました!試験の様子、おすすめ問題集、語学アプリ『Duolingo』をご紹介

Guten Abend(こんばんは)、空乃さゆるです。

先日受験してきたドイツ語検定4級、家から出ずに勉強して合格しました! やったー!!

今回はドイツ語検定ってどんなものかと、試験会場の様子、勉強に使っていた問題集や、語学アプリ『Duolingo』について書きます。合格してこの記事を書くのが夢でした。

ドイツ語検定とは公式サイトでの説明

ドイツ語検定、独検は日本の団体が主催している唯一の

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京都移住、はじめました。安全地帯を手放して、私が移住を選んだ理由

京都移住、はじめました。安全地帯を手放して、私が移住を選んだ理由

「来年から一緒に京都に住もうって言ったら、どうする?」

2022年、5月のこと。

朝の鴨川を眺めながら、近くのお店で買ったパンを頬張っていると、隣で目を輝かせながら、恋人がそう口にした。

「楽しそう!住みたい」
「もちろん、一緒に行くよ」

なんて簡単に言えなかった。それくらい彼の目は本気で、わたしは曖昧な笑顔で彼の視線を受け止めたまま、しばらく黙り込むしかなかった。

「京都に住む」なんて

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死んでしまいたいと願った夜をこえて

死んでしまいたいと願った夜をこえて

今から話すのは、とても恥ずかしい話だ。

自分の大きな過ちをみとめることになる。

そして、タイトルから想像できるように、かなり個人的で感情的な話になる。だれかを傷つけてしまうかもしれない。

でも、矛盾するようだけど、私はこの記事を、私と同じように生きづらさを抱えている人を救いたいという気持ちで書く。

傷ついたことのある人や、今傷ついている人の役に立てばいいと思いながら書く。

だから、この

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世界を見つけるということ

世界を見つけるということ

「木洩れ陽」が好きでよく撮ります。美しいですよね。木々の隙間から光が射して映し出されたそれ。風に揺れるとまるで小さな子供たちがダンスしているようにも見えます。この言葉を生み出した豊かな感性に憧れます。ところで英語では「木洩れ陽」を一言で表せられないそうです。

英語では ”sunlight filters through the trees” のようなセンテンスで表現されるそうです。同じように日本

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わたしが旅にでる理由

わたしが旅にでる理由

小沢健二さんの「ぼくらが旅にでる理由」という歌がある。わたしが旅に出る理由は、まさにこの歌の中にある。というか、そのものであるような、そんな歌である。と、書いてしまうと、この文章はこれで終わりになってしまってずいぶん野暮な自己紹介になってしまうので、今日はまず最初の記事として、わたしがなぜ旅を愛しているのか、旅にでるのか、ということを書いておこうと思う。自分への備忘録でもある。

旅というものを意

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仕事の本質は「いかにラクをするか」

仕事の本質は「いかにラクをするか」


真面目に仕事をするのは楽しい気付けばもう2016年も、半分が終わりました。新しい配属先や仕事に馴染んで、仕事が軌道に乗り始めた頃でしょうか。新入社員のみなさんは、会社に入ってから3ヶ月を終えたところですね。

新しい環境に入って3ヶ月というのは、自分がいる場の勝手がだいぶ分かってきて、すべきことが見えてくるタイミングかもしれません。与えられた新しい仕事が自分の手に馴染み、おそるおそる踏んでいたア

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プラダを脱いだ天使

プラダを脱いだ天使

今、人生最後の、歌のレッスンが終わりました。

20代までと決めたことを、29歳ギリギリまで楽しむと決めたすべてのことを、やり切って、ちゃんと、おしまいを選びました。

本当に、楽しかった。

それと同時に、夢のような時間を、終えたという実感があります。

20代を、自分のためだけに、ただ楽しいという気持ちだけで、たくさんの人に出会って、たくさんの経験をして、たくさんの寄り道を選んで、思うがままに

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そのための春

そのための春

 自転車がパンクした。家からちょっと走ったところで後輪からパンッという音がして、ペダルを漕ぎ出してからついに「ああ、やっぱりパンクか」と現実を受け入れた。
 買ってからまだ3ヶ月も経たないが、空気が抜けてしまったのだろうか。空気入れを借りるため、近くの自転車屋へと駆け込んだ。

 新代田の近くの商店街にあるサイクルショップ。その店先におばちゃんがひとり佇んでいて、「あのう…」と小さく声をかけた。

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