ひより

いつか誰かに届くかもしれない何かを

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#7 嫌いになるには、好きすぎた

「ずっと連絡しないで本当にごめん」 二度と来ないと思っていたメッセージが来たのは2週間が経った頃だった。努めて冷静にメッセージを返す。 「落ち着いたかな?こちらは大丈夫だよ」 「今週末会える?」 もちろん会いたい、すぐにでも。私が今、一番会いたくて会いたくて堪らない人。それなのに何故、人間は余計なことを考えてしまうのだろう。彼が提示した日は気を紛らわすために幼馴染との予定を入れた日だった。後になって思う。別れ話だとしてもされないよりはマシだ。この後長いこと辛くなるから。

    • そう、いつか伝えたかったこと。 この夏は綴ったり読んだりする時間が減ってしまったのだけど、勉強の合間の息抜きは、なんと言っても皆さんが書いてくれたnoteでした。 本当に息が詰まりそうなとき、あなたの記事を読んでいました。noteを読むことは深呼吸でした。ありがとう。

      • 瞬いて終わった夏

        今年の夏は、遠くにあった。 例年ならこれといったことがなくても浮き足立つ季節。照りつける太陽も、ゆらめくアスファルトも、人々の弾けるような笑顔も、日焼けした肌も、お祭りのりんご飴も、今年はぜんぶ遠い世界の出来事みたいだった。まるで春と秋の間が抜け落ちていて、瞬いたら夏が終わっていたような感覚。 この夏の私の定位置は決まって自宅のダイニングテーブルで、時々リビングのソファで、たまにコメダ珈琲、気分でドトールいった具合だった。 遡って初夏の頃、とある資格試験を受けることを決め

        • 最近、ひとりの後輩と、心を近づけてことばを交わす出来事があった。その前後で続いているLINEもやさしくてうれしい。 まごころを言葉に込めて届けたくなるひと。私はそういうひとのことを、心から大切に想っているらしい。 今年の夏は忙しかったけど、そのことに気付けたのがうれしい。!

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        #7 嫌いになるには、好きすぎた

        • そう、いつか伝えたかったこと。 この夏は綴ったり読んだりする時間が減ってしまったのだけど、勉強の合間の息抜きは、なんと言っても皆さんが書いてくれたnoteでした。 本当に息が詰まりそうなとき、あなたの記事を読んでいました。noteを読むことは深呼吸でした。ありがとう。

        • 瞬いて終わった夏

        • 最近、ひとりの後輩と、心を近づけてことばを交わす出来事があった。その前後で続いているLINEもやさしくてうれしい。 まごころを言葉に込めて届けたくなるひと。私はそういうひとのことを、心から大切に想っているらしい。 今年の夏は忙しかったけど、そのことに気付けたのがうれしい。!

          例えばひとの心の痛みに触れて自分の感情が揺れ動く瞬間はあるけれど、ひとの幸せによって自分の幸せは揺らがない。 時々忘れてしまうけれど、そんな自分も認めてあげたい。 寄せては返す波の狭間で感情を眺めて、最後は凪のようなひとでいたい。 (試験勉強で、夏バテ気味の2024夏です)

          例えばひとの心の痛みに触れて自分の感情が揺れ動く瞬間はあるけれど、ひとの幸せによって自分の幸せは揺らがない。 時々忘れてしまうけれど、そんな自分も認めてあげたい。 寄せては返す波の狭間で感情を眺めて、最後は凪のようなひとでいたい。 (試験勉強で、夏バテ気味の2024夏です)

          見上げた春は、穏やかですか

          いつも下書きばかり増えていく私だけど、言葉が溢れて仕方ない時期があった。一瞬だけどね。この言葉はいつか消えて、この気持ちもいつか忘れてしまうんだろうなぁと思うと、いても立ってもいられなかった。メモ帳に折り重なった、断片的な言葉を繋ぎ合わせると文章になった。noteに行き着いたのは、そんな成り行きで。祈るような気持ちで「公開する」を押した。本当の宛先は一人だけだった。でも、届かなくても、誰かの想いの輪郭をなぞることくらいは、もしかしたらできたのかもしれない。 ままならない想い

          見上げた春は、穏やかですか

          一瞬を積み重ねていく

          今年33歳になるので、自分のことをアラサーと呼ぶのは躊躇する。個人的にアラサーは20代後半の人のための言葉な気がするから。気付けばカテゴライズに溢れた世の中。定義としてはまだアラサーなんだけど、普通に30代中盤ってする方がなんか好き。 30歳になる瞬間は、嫌ではなくてむしろわくわくしていた。その頃にはもう“歳をとる”のほかに“歳を重ねる”という概念があることを教わっていたからだと思う。重ねた先に手に取れるものや築ける関係があったり、広がる景色があるのだろうと信じていた。

          一瞬を積み重ねていく

          理不尽とは、斜め上から向かい合う

          乱暴に切られた電話に呆然としてしまう。 相手の話し始めから予感はしていた。怒りのこもった声色というのは、はじめの定型文を言い合う段階から、どうしたって察してしまう。 同僚が心配そうにこちらの様子をうかがう。平然とした顔を作る。今こんな電話がありましたと報告する言葉は口からぽろぽろこぼれ落ちるのに、心が停止している。身体と心がちぐはぐな状況を客観的に眺めながら、あぁこれは引きずるやつだ、と奥歯を噛む。 ほどいてみれば話は単純で、先方とこちらの担当者間で些細な行き違いが発生し

          理不尽とは、斜め上から向かい合う

          よくわからないけど好き

          「大学時代の友だちってさ、10年くらい経ってからまた仲良くなることあるっていうじゃん?」 一年と少し前、ひょんなことから大学時代の友人と約10年ぶりに繋がった。仕事の関係で私の地元に来るかもしれないと言う。彼女が唱えた10年後説は聞いたことがなかったけれど、メッセージの海に浮かぶその吹き出しは輝いて見えた。そしてそれが現実になればいいなと思った。 彼女とは学籍番号が連番で、性格は真反対なのになぜか居心地がよかった。大学にも高校時代の延長のようなグループ(いわゆるいつメン)

          よくわからないけど好き

          すきを集めて

          日々の中に散らばる「好き」を集められる人でいたい。これは最近掲げた目標。 ささやかな、通り過ぎればすぐに埋もれて忘れてしまうくらいの。そんな欠片をそっと拾い上げて、時々眺めることができたら、日々をもっと大切に過ごせるかもしれない。そんな私の小さな「すき」の記録。よろしければお付き合いください◎ 駅を通り抜けるさんぽ道 車の運転も好きだけど、それと並ぶくらい自分の足で地面を感じて歩くのが好き。 仕事柄デスクワークが多いので、運動機会の確保という意味でも休日は散歩に出かけ

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          あなたの見上げる桜が、強く優しく、ありますように

          澄みわたる春の空。混じり気のない清々しい青。 それでも、新年度特有のままならない空気が喉に絡まって、思わずむせそうになる。 今年の桜を迎えに行けていない。だから少し落ち着かない気分だ。何かの折に満開のソメイヨシノの横を通りかかったり、遠目で眺めたりは何度もした。でも、それはノーカン。それでお終いにするのはあまりにもったいない。しっかり中身を詰めた私で、今年の桜を見上げたい。 桜って、心の状態を反映するバロメーターだと思う。どんな表情で桜が見下ろしてくれるかって、その瞬間に

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          32歳、春、現在地

          この春が、社会人11年目を連れてくる。 先日異動の通達が出たけれど、私に関わる内容はなかった。年数的にいつ動いてもおかしくないぞリストの筆頭者ではあるので、残留という結果に周りは驚き安堵してくれたけれど、実のところ、私は驚かなかった。生まれて初めて、人事面談において「残留させてほしい」というお願いをしてあったので、それを汲んでもらった結果だった。今取り組んでいることをしばらくは継続したい意向があるので、総合的に考えると環境の変化がない方が有り難かった。 今の環境に身を置い

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          ため息とコーヒー

          ひょっとして、コーヒーが美味しいと感じるかは運なのかもしれない。 お気に入りのカフェで、コーヒー豆同士がぶつかり合う小気味よい音を聞きながらそんなことを考えている。考えごとの捗る、心地よい空間。 人間は本能的に苦味を毒と認識して生まれてくる。だから苦味は吐き出す味としてインプットされているらしい。 成長とともに経験を重ねるなかで、コーヒーを好きになる人、苦手なままの人がいるのはちょっと面白い。かく言う私もいきなりブラックコーヒーが飲めるようになったわけではなくて、子ども

          ため息とコーヒー

          足りない部分を補うために、言葉は不完全なんでしょう?

          嬉しいことがあった。 小春日和みたいなことが。 今にも雪が降り出しそうな日曜。ずっと来てみたかったカフェの片隅で丸まっている。セットで頼んだパウンドケーキが温められていて、このお店を一瞬で好きになった。 焼きたてではなさそうだし、さっきトースターの「チン」が聞こえたから、きっとそういうことだ。温かいものが胃に落ちると、何にも代えがたい安心感に変わる。こんな思いがけない優しさは、心が弱っているときだったらうっかり泣いてしまうかもしれない、なんて思いながらもぐもぐ頬張る。身体

          足りない部分を補うために、言葉は不完全なんでしょう?

          LINEのアイコンから近況が探れないタイプの君へ

          「友だち」をスクロールすれば、永遠に変わらない君のアイコンが顔を覗かせる。君が設定しているのは動物のイラストで、ホーム画面は初期設定。あぁ、君らしいなって思う。 最後に会ったのはいつだったか。 大学院をもうすぐ卒業する君の内定が出た後だったかな。お祝いを渡しに行って、あれからざっと8年経ったみたい。 君は小学校の同級生で、同じ地区に住んでいて、毎日二人で一緒に下校した。黒と赤のランドセルがくっつく距離で歩いて毎日ケラケラ楽しかった。あの日々は悲しいことが何もなかった。君が

          LINEのアイコンから近況が探れないタイプの君へ

          新年に寄せて

          社会人1年目に教えてもらったことって、染み付いてますよね。 「名もなき家事」って時折話題になりますが、「名もなきしきたり」とでも言えばいいのかな。しきたりっていうとなんだか堅苦しく聞こえてしまうけれどそういうことではなくて。共に生きる上でお互いが気持ちよく過ごせるコツみたいなもの。 今でこそ社会人10年目。あたかも自然に身につけてきましたみたいな顔でいるけれど、今の私があるのは、それをひとつひとつ教えてくれた人たちのおかげなんだぞってことを、忘れないために。 例えば、コピ

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