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見上げた春は、穏やかですか
いつも下書きばかり増えていく私だけど、言葉が溢れて仕方ない時期があった。一瞬だけどね。この言葉はいつか消えて、この気持ちもいつか忘れてしまうんだろうなぁと思うと、いても立ってもいられなかった。メモ帳に折り重なった、断片的な言葉を繋ぎ合わせると文章になった。noteに行き着いたのは、そんな成り行きで。祈るような気持ちで「公開する」を押した。本当の宛先は一人だけだった。でも、届かなくても、誰かの想いの
もっとみる一瞬を積み重ねていく
今年33歳になるので、自分のことをアラサーと呼ぶのは躊躇する。個人的にアラサーは20代後半の人のための言葉な気がするから。気付けばカテゴライズに溢れた世の中。定義としてはまだアラサーなんだけど、普通に30代中盤ってする方がなんか好き。
30歳になる瞬間は、嫌ではなくてむしろわくわくしていた。その頃にはもう“歳をとる”のほかに“歳を重ねる”という概念があることを教わっていたからだと思う。重ねた先に
理不尽とは、斜め上から向かい合う
乱暴に切られた電話に呆然としてしまう。
相手の話し始めから予感はしていた。怒りのこもった声色というのは、はじめの定型文を言い合う段階から、どうしたって察してしまう。
同僚が心配そうにこちらの様子をうかがう。平然とした顔を作る。今こんな電話がありましたと報告する言葉は口からぽろぽろこぼれ落ちるのに、心が停止している。身体と心がちぐはぐな状況を客観的に眺めながら、あぁこれは引きずるやつだ、と奥歯を噛
あなたの見上げる桜が、強く優しく、ありますように
澄みわたる春の空。混じり気のない清々しい青。
それでも、新年度特有のままならない空気が喉に絡まって、思わずむせそうになる。
今年の桜を迎えに行けていない。だから少し落ち着かない気分だ。何かの折に満開のソメイヨシノの横を通りかかったり、遠目で眺めたりは何度もした。でも、それはノーカン。それでお終いにするのはあまりにもったいない。しっかり中身を詰めた私で、今年の桜を見上げたい。
桜って、心の状態を
足りない部分を補うために、言葉は不完全なんでしょう?
嬉しいことがあった。
小春日和みたいなことが。
今にも雪が降り出しそうな日曜。ずっと来てみたかったカフェの片隅で丸まっている。セットで頼んだパウンドケーキが温められていて、このお店を一瞬で好きになった。
焼きたてではなさそうだし、さっきトースターの「チン」が聞こえたから、きっとそういうことだ。温かいものが胃に落ちると、何にも代えがたい安心感に変わる。こんな思いがけない優しさは、心が弱っていると
この胸に深々と突き刺さる矢
私の胸に深々と突き刺さるもの。それって何だろう。頭の中でぐるぐる考えてみても、人生においてそういったものはさほど多くないことを知る。平凡な人生、ということかもしれない。ダーツの矢とか吹き矢のような、ぷつっと刺さって、その瞬間はきっちり痛くて、でもいつの間にか抜けてしまうような出来事は、きっとそれなりにあったのだと思う。でも、私の根幹を揺るがすような、輪郭を塗り替えてしまうような、そんな深々と突き刺
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