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秋の優しさが巡る


ヘッダー画像は出先でふと見上げた窓に秋がこぼれていて、思わず切り取った場面。


一年のうちで今だけ、街が重ね着をしているようでとてもお洒落で可愛い。私はといえば夏に切った髪の毛は少しずつ伸びてきて、毛先を外はねできる長さになった。ぱつんとした毛先も気に入っていたけれど、“風”という字のアクセントをもう少し弱めたくらいのスタイリング(もっと可愛い表現なかったんか)も気に入っている。毛先が跳ねたって跳ねなくたって世界にはこれっぽっちも関係ないけれど、アイロンでくるんと毛先を撫でると私の世界は少し上向く。


秋のレイヤードスタイル



漠然と秋が好きで、それがなぜなのか考えると、人の想いに触れやすい季節だからかもしれないと思った。温めてくれたミルクや、魔法瓶に入れてくれたお茶、膝にかけてくれるブランケット。そういうものが恋しくなる。ひとつひとつの優しさが層になって、温度を閉じ込めてくれる。これから寒い季節を迎えるので、そういうものはあればあるだけ嬉しい。



そして温かい気持ちに触れるたび、それを巡らせたくなる。あの人はあったかい格好をしてるだろうかと、ただ想いを寄せるだけで何もできないけれど。最後の記憶が秋だから余計にセンチメンタルな季節になってしまったんだきっと。記憶の引き出しにある薄手のカーディガン姿に、脳内で勝手に少しずつ厚着をさせていく。マフラーを巻きつける。見たこともないコートを羽織らせる。今年もどうかあの人が風邪を引きませんように、と。



連休だったので少し足を伸ばして、深まる秋の空気を存分に吸ってきた。葉が散る前の一瞬に本領発揮する感じが、なんとも切なくて美しかった。山にも登った(車で)。ヒュッテの食堂でラーメンとカツカレーを頂いた。期待を上回る味が好まれがちな世の中だけれど、求めている味がその通り口に広がるのも、実は相当尊いことだと思う。こんな高い標高で、期待を裏切らない味が嬉しくてたまらなかった。

主役が選べなすぎる



一人で少し遠出もした。秋のプレイリストをかけながら国道をひた走った。まっすぐに気持ちよく伸びるこの道が好きすぎる。比較的混みやすい道だけれど思いやり運転が随所に散らばっていて、そういうところも好きなんだ。自分のポテンシャルに気づいていなそうな道路脇の山の紅葉も目に焼きつけてきた。天気がよく、気温も穏やかだった。爽快だったなぁ。葉の色が様々あるように、想いが絡まって泣きたい気分にもなった。それもこれも、秋のせい。

道中のおだんごセット



心地良い空間、景色、温かな気持ち、美味しいもの、ドライブ、音楽、アート、小説。そういったもので身体全体で深呼吸をして、満たされるなぁと再認識した休日。



長い夏を終えて、凍える季節を迎える前の、
ひと息つくタイミングを差し出してくれる秋。
今年も受け取りました。
呼吸を整えて。心の中を整理して。
巡る優しい気持ちを胸に貯めて。
さて、冬に向かおう。

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