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「亡霊を呼び寄せる禁断の箱」


第一章: 忘れ去られた箱の発見


森の奥深く、人気のない場所に古びた箱がひっそりと横たわっていた。雨に濡れた木々の間からその箱を見つけたのは、大学生のカナとその友人たちだった。カナは古い伝説を研究するため、この森に足を踏み入れたのだ。

見て、この箱……ずっとここにあったのかな?

カナは不安そうに箱に手を伸ばした。錆びた金具が少し触れるだけで軋んだ音を立てる。周囲の空気が一瞬冷たくなり、友人たちは息を呑む。鳥の鳴き声も消え、森は不気味な静寂に包まれた。

やめてよ……これは何かやばい気がする

友人の一人が震える声で言ったが、カナはその言葉を無視していた。彼女の指が箱に触れると、遠くで雷鳴が轟き、森全体が一瞬揺れたように感じた。これはただの古い箱ではない――そう、皆が直感した。

第二章: 開けた瞬間の恐怖

カナは興味を抑えきれず、錆びた鍵を回した。軋む音と共に、箱の蓋がゆっくりと開かれた。中には何もないかのように見えたが、すぐにそれが錯覚だと気づいた。薄い霧のようなものが箱の中からゆっくりと立ち上り、周囲の空気がさらに冷たくなっていく。

なんだ、これは……?

誰もが言葉を失った。霧は徐々に濃くなり、形を作り始めた。それは、顔のない人影のようだった。ぼんやりとした輪郭が浮かび上がる中、カナの体が震えた。

ねえ、閉めよう!これは、何か悪いことが起きるよ!

友人の叫びも虚しく、霧はそのままカナに向かってゆっくりと近づいてくる。彼女は後ずさりするが、霧の冷たい触覚が腕に触れた瞬間、全身が凍りつくような感覚に襲われた。

第三章: 迫りくる呪い


カナが箱を開けてから、何かが明らかに変わっていた。家に戻っても、不気味な気配が常に彼女の周囲を漂っている。鏡に映る自分の影が遅れて動いたり、夜中に何度も誰かに見られている感覚に苛まれた。

ある晩、彼女は寝ている最中に突然目を覚ました。部屋の片隅に、ぼんやりとした影が立っていた。それは、あの箱から出てきた亡霊だ。薄暗い影がゆっくりと近づき、低い声で囁いた。

返せ……返してくれ……

カナは恐怖で声を失い、ベッドの中で震えるしかなかった。影は一瞬で彼女の目の前に立ち、冷たい風のような手が彼女の首に触れた。

最終章: 呪われた結末

翌朝、カナは決心した。箱を元の場所に戻し、封印するしかない。友人たちと共に再び森へと向かうと、箱は静かに彼らを待っていたかのように、前と同じ場所にあった。

これで終わりにしよう……

カナは震える手で箱を持ち上げ、深い穴を掘って埋めるつもりだった。しかし、埋める瞬間、突如として風が荒れ狂い、亡霊が再び現れた。

返さない……お前は我々の一部だ

亡霊は箱に吸い込まれるように消えたが、その代わりに、カナの体が動かなくなった。友人たちは必死に彼女を呼んだが、もう手遅れだった。カナはそのまま、箱と共に森の深淵に封印されることとなった。

それからというもの、あの森には二度と足を踏み入れる者はいなくなった。



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