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破天荒な父

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僕はとんでもなく破天荒な父親に育てられました。 毎日が笑いと驚きの連続で、ジェットコースターのような日々でした。当時の話を友達にすると、爆笑と共に「もっと聞かせてくれ」とアンコ… もっと読む
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破天荒な父。警察にマークされる父

破天荒な父。警察にマークされる父

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 警察にマークされる父 ■■■ 迷彩柄の軍服と帽子をまとい、マシンガンを背中にかけて、西部警察(昭和の人気ドラマ)のようなふざけた角度のサングラスをし、愛車のジープ(ジャングルを走るような四輪駆動のオープン車)で、

ブォン!ブォ!ブォ!ブォ!

と、うなりを上げながら都会の公道を走る父。

もちろん助手席に乗る僕も同じ格好をさせられている。

現代

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破天荒な父。相談せずに家を買う

破天荒な父。相談せずに家を買う

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 相談せずに家を買う ■■■ その日は父が家に帰ってくると、開口一番に叫んだ。
「隣の家を買ったぞ!」

なんと、家族の誰に相談するわけでもなく、家を買ってきたらしい。
相変わらず破天荒な父だし、その濁流に飲まれていくのは家族の運命らしい。

僕の家は築60年の木造でボロボロだった。買ってきた隣の家と、自分の家は長屋になっていた。屋根ひとつで繋がって

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破天荒な父。父のあだ名

破天荒な父。父のあだ名

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 父のあだ名 ■■■ 壁に穴をあけてから数年が経ったころ、GTOという漫画が流行りはじめた。

週刊少年マガジンで人気を博した漫画で、元湘南の走り屋である鬼塚英吉が教師に着任し、学園内の数々の問題をヤンチャに解決していくものだった。

グレート・ティーチャー・鬼塚の頭文字をとってGTOである。

そのGTOの中で最も印象に残るグレートなシーンがある。

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破天荒な父。ホームレスと乾杯

破天荒な父。ホームレスと乾杯

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ ホームレスと乾杯 ■■■
父は暇さえあれば公園に行っていた。父が公園に行くとあっという間にホームレス達に囲われていた。

僕はいつも遠くのブランコから見ていたが、父と話すホームレス達が屈託の無い笑顔に包まれて幸せそうだった。

その日、父は帰り際にホームレスからグレープフルーツをもらった。
今まで見たことの無い茶色のグレープフルーツだった。

家族

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破天荒な父。いつの間にかホームステイのホストファミリーになる

破天荒な父。いつの間にかホームステイのホストファミリーになる

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ いつの間にかホストファミリー ■■■ 普段は家にいない父から、久しぶりに電話がかかってきた。明日から外国人が家に来て1週間ホームステイをするらしい。
年も性別も国籍も分からない人がやってくる。僕はドキドキした。

母は激怒したが、もう手続きは全て完了しており、受け入れるしかなかった。
兄は「最悪だ!」と一言残して自分の部屋に閉じこもった。

次の日

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破天荒な父。ありえない骨折

破天荒な父。ありえない骨折

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ ありえない骨折 ■■■ 父はアイスが大好きだった。中でもお気に入りは、夏にしか売り出されないスイカバーだ。

技術者が一生懸命作った匂いがするから大好きだと言っていた。
父が言うには、こんな会議がされてスイカバーが作られたらしい。

「わが社では経営が苦しいこともあり、今回のスイカバーは種無しで発売したいと思う」
「いや、待って下さい部長!スイカバ

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破天荒な父。リーダーシップとチームワーク

破天荒な父。リーダーシップとチームワーク

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ リーダーシップとチームワーク ■■■ ある日、僕の友達が新しいベッドを購入したと言ってきた。シモンズ製の最高級ベッドに買い換えるという。
古くなったベッドを捨てるために僕は友達の家で手伝いをすることになった。

手伝いの当日の朝、僕は久しぶりに父と食卓で会った。

「今日は何するんだ?」
「友達がベッドを捨てるらしいから、その手伝いに行くよ」
「ほ

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破天荒な父。募金箱が大好き

破天荒な父。募金箱が大好き

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 募金箱が大好き ■■■ うちは貧乏だった。

おやつなんて滅多に出ることは無かった。
外食なんて年に数回しかしない。たとえ外食に行ったとしても、僕は一番安いメニューを頼むようにしていた。

そんな状態なのに、道端で子供が募金箱を持って立っていると、父は1000円札を入れていた。

母はいつも「100円でもいいじゃない。それよりも自分の子供にお金をか

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破天荒な父。害虫を殺さない

破天荒な父。害虫を殺さない

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 害虫を殺さない ■■■ 父は蚊、ネズミ、ゴキブリを決して殺さなかった。

ネズミ取りや、ゴキブリホイホイを使って、母がせっかく捕まえた害虫を、父はすぐに逃がしていた。

母 :罠をしかける
害虫:罠にかかる
父 :罠から逃がす

この無限ループが30年も続いているのだ。終わらないゲーム。
今思うと、一番の害虫は父だったのかもしれない。

「父ちゃん

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破天荒な父。父の豪快料理

破天荒な父。父の豪快料理

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 父の豪快料理 ■■■ 父はたまに料理をする。得意料理は肉雑炊だ。

出汁と塩を入れ、ご飯、牛肉を混ぜるだけのシンプルな料理。

でも、どこの一流レストランよりも美味しい料理を作る。

ただ、それだけでは終わらないのが父だ。

通称「父ちゃん鍋」と呼ばれる相撲部屋にあるような大鍋を用意し、鍋いっぱいに作るのだ。

そして公園に持って行ってホームレスに

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破天荒な父。お風呂の恒例行事

破天荒な父。お風呂の恒例行事

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ お風呂の恒例行事 ■■■ 僕は大のお風呂嫌いだった。でも、父と一緒に入るお風呂は大好きだった。

父はいつもお風呂に小銭を持ち込んで、湯船にばら撒くのだ。

「さあ、好きなだけ取っていいぞ」の合図で僕は湯船に飛び込んでいった。

500円玉を見つけた時の嬉しさは今でも思い出す。

もちろん、湯船にお金を入れたことがバレると、母から「汚いお金を湯船に

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破天荒な父。下ネタ

破天荒な父。下ネタ

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 下ネタ ■■■ 当時、僕は小学生だったのでよく分からなかったが、大人になった今、父が日ごろからよく下ネタを言っていたのを思い出す。

それはある日、親戚の5歳ぐらいの女の子が遊びに来た時の話だ。

父、僕、女の子で家にいると、父は急にニヤリと笑って女の子に話しかけた。
「世の中で一番汚いものって分かる?」
「うーん、ホコリかな」
「違うよ(満面の笑

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破天荒な父。大人の本

破天荒な父。大人の本

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 大人の本 ■■■ 父の書斎に1冊だけカバーがかかった本があった。少し違和感を感じたので、僕は手にとって中身を確認してみた。

タイトルは「女の愛し方」だった。

当時、中学生だった僕は、興味津々でページをめくった。
この本は300ページにも渡って、ベッドでの行為をレクチャーしてある本だった。

本を読み進めると、ある一節に蛍光ペンが引いてあった。

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破天荒な父。限界スレスレ

破天荒な父。限界スレスレ

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 限界スレスレ ■■■ 「よし、今日は父ちゃんの限界スレスレの話をしよう」
そう言うと、父はニヤニヤしながら僕に語りだした。

父ちゃんは未知なる領域が大好きなんだ。この前、ボロボロの薄暗い健康ランドを見つけたから入ってみたんだ。

受付で「館内着は何色にしますか?」と聞かれたので「何でもいい」って言ったら、
「本当に何でもいいんですね?」
「うん、

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