👴🏻「頭、噛んだろか!?」それを聞いて笑う画伯ちゃんは障害者施設で毎日コーヒーを飲んでいた！【呼吸が乱れて、汗が止まらなくなったら その⑨】

障害者施設に通所しだした。
2016年3月下旬の、春めいた日だった。

なんとなく人生が好転しそうな。
そんな予感と躁状態がマッチしていた。

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障害者施設に通うことを決めた画伯ちゃん

調査を兼ねて自宅まで来てくれた、市の障害福祉課と障害者施設の人との面談が終わった。
このまま長考して立ち止まってはいけないという直感。

すぐさま翌日から"体験"として障害者施設に通うことに。

そこには大きく分けると3つの場所があった。

①就職するため
②生活を改善するため

の場所。

これらは朝から夕方まで講義や実習があるため、簡単に言えば"学校"のようなものだった。

そして、

③日常の憩いの場。

いつ来ても、いつ帰ってもいい。
何もかも個人の自由に過ごせる場所。

施設のルールさえ守っていれば、
何をしていてもオッケーな空間。

空調や飲み物がある(時には利用者からの差し入れのお菓子もある)ので、電気代のかかる夏や冬にはここに来るだけで節約になる素晴らしい場所だ。

3つのうちどれに通うかは後で決めるとして、まずは憩いの場で体験期間を過ごすことに。

初めての通所にひるむ画伯ちゃん

翌日。
施設の住所だけを教えられていたので、調べて自転車で向かった。

かなりの近所で、小さい頃から「ここはなんの建物なんだろう？」と謎めいていたところに障害者施設はあった。

ここ、ちょっと空気重いな...

敷地内に入るも、入口が見つからず立ちすくむ画伯ちゃん。
妙な緊張感で、ドアをトントンと叩くこともできず。

15分くらい駐輪場で時間をつぶしていると、掃除をしている男性を見つけた。

「すみません！体験で来た画伯ちゃんですけど！入口どこですか！？」

「あぁ！こっちから入れるよ！ちょっと待っててね」

男性の後をついて、静かに待っていると
昨日面談してくれた女性が出てきた。

「入口わからなかったの？電話してくれたら良かったのに😂笑」

「いやぁ。電話が苦手で...」

「あっ！そう言ってたわね！もう今日は利用者みんな帰っちゃってるけど案内するわね💁‍♀️」

そう言うと、大きな建物の中をすべて説明してくれた。

そして最後に紹介してくれたのは、憩いの場として使われている"スペース"と呼ばれる場所。
その日は、人けの無い静かなスペースになっているようだった。

ん...？

よく見てみると、
奥に置いてあるソファーで、女性利用者がめちゃくちゃな体勢で寝ていた。

「寝てるけど利用者さんいてたわね〜！」

俺らの声で起きた利用者は、そのままダルそうな顔をして挨拶することもなく帰って行った。

(ここから4年くらい通所したけど、この時の女性を1度も見ることは無かった。誰やったんやアレは...🧐)

「施設はこんな感じだよ。明日は○○時からプログラムがあるから夕方においでよ〜😊もう今日は誰も来ないと思うし」

20分ほどの滞在で帰宅。
妙な高揚感。

"知らない世界に足を踏み入れた"
"足に残る充実感を、夜になっても眺めていた"

感じたんだ。

何かが動き始めてる。
って。

コーヒータイムに響き渡る "頭、噛んだろか！"

案内のみで終わった初日。
午後3時からある"コーヒータイム"(プログラム)に参加するため、翌日は昼過ぎに向かった。

みんなでコーヒーを作り、世間話や本を読んだり、各自ゆったりするプログラムだと説明を受けていた。

スペースに入ってみると
そこにいたのは女性1人。

「こ...こんにちは...」

「こんにちは...」

話すことが無く、体験だということ、まだよくわかっていないことを説明した。

すると女性は、笑顔で色々と教えてくれた。
最近の人間関係模様や、自分のことなども。

そして、15分くらい経った頃...

「あっ、もうすぐ来るよ！1番やばいジジイが！」

急に緊張感をだす女性。
ソワソワとせわしない様子でウロチョロし始めた。

"言うて、たかがしれてるやろ〜"
と舐めて待ち構えている画伯ちゃん。

しかし徐々に怪音が近づいてくる。

「おぃ〜！」

空間を切り裂くような高音。

バタバタ...バタバタバタ...

地響きかのような足音。

部屋の中が見える場所まで相手が近づいてきた。
初めて話をしてくれていた女性を外から発見するなり

「○○やないか〜！頭、噛んだろか！」

ドアを"開け放つ前"に叫びながら話す高齢男性がいた。
そしてドアを開く。

「○○やないか〜！頭、噛んだろか！」

部屋に入ってきて、同じことを言いながら女性を追いかけ回し始めた。
女性は女性で楽しんでいるようで、じゃれあってるようにも見える。

しかし、驚きすぎて愛想笑いしかできない画伯ちゃん。

実際に頭を掴み、噛もうとした男性。
助けようか迷ったところで、笑いながら手を離した。

こんなん、セクハラもパワハラも全部入ってるやん...！

全身に駆け巡る衝撃に衝撃を受ける画伯ちゃん

60代ほどの男性が3~40代女性の頭を執拗に噛もうとするなんて...
もしかこしてここは...

ここは、
自分の求めていた場所なのか...？

この溢れる衝動...そして狂気...

ここに集まる全ての笑いを、悲しみを、憂いを、怒りを。
全部集めていきたいと心から思った。


この場の中心にいれば、そして念を受け続ければ
"失った創作能力"が戻ってくるんじゃないかと。

そう思えるくらいの刺激。
初めてビートルズを聴いた時くらいに脳が震えていた。

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結局この日は、この2人以外に人は集まらず。
参加者が少なくてコーヒーが作られることも無かった。

それで良かったんだと思う。
"行動だけが自分を救う"という気づきがあったから。

"行動し続けなきゃ"と
身をもってわかった日になれたから。

それからのコーヒータイムと触れ合いの日々

コーヒータイムには
2つの時間帯が曜日によって振り分けられていた。

朝コーヒー
夕方コーヒー

壮絶な出会いをした翌日は、
朝コーヒーのプログラムがあるとのことで朝から参加することに。

そこには今までの世界では感じ取れない、様々なタイプの障害者たちがいた。

・弁当を光速早食いする男性(見えない)
・妄想と気づかず妄想を分析する女性
・高コミュニケーション阪神ファン女性
・暗さ儚さのある美人な女性
・ADHDまるだしの若い子
・ASDまるだしの若い子
・30秒かけてコーヒーを1口すする男性
・フリスビーを投げ続ける男性
・無口だけど自分でも何を話してるのかわからない質問を投げかけてはにかむイケメン
・30分かけてチラシ1枚の情報をノートに手書きして写す男性(さらに60分かけて再確認)

朝コーヒーにはいろんな人がいた。
"ここで間違いない"と思い、その後体験できる5日間をフル活用してから契約した。

1年間の契約で、
毎月届く予定表、相談や施設利用などを含めて"1000円"だった。

そして生活リズムにも変化が起きていく。

朝コーヒーに参加するため、8時半に家を出る日も増えてきた。
以前までの"朝に寝る生活"が変化してきていた。

毎日施設にいた。

長年続いていた昼前に起きるルーティン。
それを打ち破りたくなるほど、何か希望を見いだしていたのかもしれない。

朝の開所から、夕方の閉所まで。
年末年始の閉まってる期間以外は、毎日施設でいろんな人たちと会話した。

・花見
・町内会の催事
・夏祭り
・花火
・秋祭り
・バスレクリエーション
・クリスマス
・年末年始
・みんなで外食

全部参加した。数年で1~200人くらいと接した。

青春が戻ってきたような楽しい日々。
それから現在にかけて、想像力も人間性も改善していったんだ。

"すべては繋がってる"と断言できる。
人生というのは。

何もかもが繋がっていくね。

あとがき

初めに話した施設女性。
画伯ちゃんがリラックスできるように、よくプレゼントを渡してくれていた。

友達になりたい相手には老若男女関係なくプレゼントを渡すらしい。
似たようなものを渡してるのを見かけたこともあった。

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もう今はどんな生活をしているのかもわからないけど、元気だといいな。
頭を噛む男性と、この女性のおかげで施設に通所することを決めたから。

この恩は一生忘れられない。

リラックマと笑いをありがとう！

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