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また読み直したいものを勝手に放り込んでゆくところです。 勝手に入れますが、御容赦ください。
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2023年2月の記事一覧

無限円転

 逆上せていた私は中学生の頃「あゝ小学生の頃は良かったなァ不可逆性を知らず」などと考えていた。勿論、石川啄木の詠を眺めながら。今になりゃ高校もそうであった。(恐らく数年後には今も、そう、であると悟る)

 時は不可逆的に進む。其ればかりか圧倒的な質量を持って積み上がる。絶対的には平等であるのだろう。が、相対的には異なる。私が無為に過ごした、ドブに捨てた時間を使い、他者は一体どれだけの事をして来たの

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『サインインコワーキングオフィス』Webライターの記録#2

『サインインコワーキングオフィス』Webライターの記録#2

数年前から憧れていました。
『コワーキングオフィス』
私もいつか‥そんな場所でパソコンカタカタ打ちながら文章を書きたい!‥と。
図書館やカフェで記事を書くことはあるけれど、それとはまた違うあの場所に身を置きそしてその空気を味わってみたいの…と。

でも諦めていました。
都会じゃないし、山陰にそんなお洒落な場所があるかしらと。

それがね‥

あったんです!!
ある日、探してみるとヒット。
わぁ!あ

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【insight インサイト】僕の知る限り一番難しいセルフ・コントロール

【insight インサイト】僕の知る限り一番難しいセルフ・コントロール

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜「自己認識」という考え方〜自分の思考法や考え方、感情をコントロールする類の本を僕は個人的に「セルフコントロール系の本」と読んでいる。
本書は僕がこれまで読んできた「セルフコントロール系の本」の中で「一番実践が難しい」と感じた。

タイトルの「インサイト」は直訳すると「洞察」や「本質を見抜くこと」となるのだが、本書では「自分に関する気づき」というような意味で使

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「特別支援学校でWebライティングを必修科目に!」

「特別支援学校でWebライティングを必修科目に!」

今回のタイトルは、Webライターとして10年ほど活動している私の実感である。

「障害者雇用促進法」の制定から20年以上。法改正もあり、全国的に企業の障害者への受け入れ体制が整備されてきたとはいえ、障害当事者の一般就労はまだまだハードルが高いと言わざるを得ない。

私自身、「毎日の通勤が難しい」、「社内でのケア体制が充分に確保できない」、「障害者採用の前例がない」などの理由から、一般企業にエントリ

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【掌編小説】雪の日のプレゼント

【掌編小説】雪の日のプレゼント

「参ったなあ。今日と明日は、大変な大雪なのかぁ」
 数年前の冬の日のことだだ。その日、台所で皿を洗いながら傍らに置いたスマートフォンで天気予報を見ていたわたしは、心の中でつぶやいていたた。その言葉はとても口には出せなかった。わたしの腰にしがみついている二人の子供に、聞かせたくなかったからだ。
「ねぇ、ママ。今日はクリスマスイブだね」
「クリクマシブだよねぇ」
「ケーキ食べるよね」
「キチン食べるよ

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未来の詩人がお通りだ! 【詩】

未来の詩人がお通りだ! 【詩】

あいつら
いろんな格好してやって来る

エッサ ホイサ

鉢巻したり、軍服着たり、全身にLEDつけたり

エッサ ホイサ エッサ ホイサ

ピノキオの鼻つけ、白熊の毛皮着て、ユニコーンの角生やして

ユッサ ホイサ パンダ コッぺパンダ

全身タトゥーの龍さん寅さん
コワイお姉さん 頬っぺた蟲だらけ

びよーん

日が昇ってきたね
あああたたかい
小洒落たイングリッシュガーデンで
のびやかにお茶し

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新しいホールと「左手のフルーティスト」。

新しいホールと「左手のフルーティスト」。

迷ったとき、なにかを選択しなければいけないとき、僕はいつも直感に頼ってきた。

これでも人並みに考えることは考える。でも、一定限度のラインを越えたら、気持ちが傾いているほうを選ぼうと自分に言い聞かせてきた。

それが正しかったのかどうか、よくわからない。ただ、過去に対して、あまり後悔をした記憶がない。もちろん失敗は山ほどある。それはそれ、仕方ない、次に行こうと絶えず切り替えてきたのだ。

そんな僕

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映画と珈琲

映画と珈琲

はじめての場所で珈琲を飲んだ。ホテルの中にある珈琲店だった。奥まった場所にある珈琲専用のカウンターでハンドドリップ珈琲を注文した。財布のなかから探し出した500円硬貨をレジの女性に渡した。

白いトレーナーを着た若い男がドリップケトルを慎重に傾けて珈琲を抽出した。白いトレーナーの男はコーヒーサーバーを軽く回してからマグカップに珈琲を注いだ。マグカップを受け取った私は席を探すためにホテルのエントラン

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〘お題de神話〙 ずっと、ここにいて

〘お題de神話〙 ずっと、ここにいて

 
 
 
『永の別れにしたくなかったのだ』



 その村を訪れたのは先祖の供養をするためだった。調べてみたいことがあり、この機会にと両親の代わりに私が出向いたのだ。

 きっかけは数年前に亡くなった曾祖母が遺した言葉だった。

『お前の姉ちゃんは童神になったんよ』

 私には姉はおらず、意味する所は両親にもわからなかった。当時存命だった祖父にすら。
 だが、最期までしっかりしていた曾祖母の言

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Starless And Bible Black(或いは闇の行方)【エッセイ】

Starless And Bible Black(或いは闇の行方)【エッセイ】

 かつて私は、自室の壁に全天恒星図を貼っていた。漆黒の宇宙を背景に煌めく星々のイメージとは逆の、B全版の白地に散らばった夥しい数の黒い点を眺めながら、畳の上に寝転んで音楽を聴いていた。
 当時お気に入りのロックバンドはKing Crimson。LPレコードのタイトルは『Starless And Bible Black』だった。B面の一曲目が全て即興演奏の表題曲で、オランダ・アムステルダム公演のライ

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エッセイ:キーワード、あるいはパッチワークについて(再掲)

エッセイ:キーワード、あるいはパッチワークについて(再掲)

(2022年1月22日の記事より 再掲)

【キーワード】わたしは、長い文章を書くときは、キーワードを必ず用意する。

キーワードを念頭において文章を書くことで、わたしは、読み手に「内容」を提示することができる。

提示した内容通りに完全に受け取られることは無い、多少ズレて受け取られる。

とはいえ、キーワードを上手く提示できれば、ほとんどの場合、そのキーワードに関連した、想定内の受け取られ方をす

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随想2

普通の文章が、書けなくなる。疲れか。

ことばは、他者のもの。詩は個人のもの。矛盾がある。

そんな矛盾を抱えて、詩を書く。

「昭和詩歌集」借りる。分厚い。俳句、短歌、現代詩の名作を集める。

短歌では、塚本邦雄、岡井隆、の作品に目がいく。

俳句、すべて面白い。

俳句、写真みたいなものか。ある場面を切り取って表現するから。

でも、写真とも違う。ことばと画像、という違いがあるが、それ以上にな

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【詩】霧氷

【詩】霧氷


枝に寄り添う霧氷が
眩しそうに輝きながら
溶けてゆく

散りゆく姿の可憐さに
そっと沸き立つ微笑みの
響き渡る暖かさ

いつしか笑顔は
するものになっていた
型にはまった笑い顔
奥底が冷えていく

綺麗なだけではない日々で
そういう時は
心が喜ぶものを探して

【詩】ため息はつくものではありません

【詩】ため息はつくものではありません

わたくしは
詩を書くといった
なんとも大それた事を企てました
なんといっても
まずは脱力
わたくしは
ひたすらボーっとしました
あまりにもボーっとした為
あくびをしそうになりました
いけません
あくびをしたら
わたくしの中の詩の気配が
出て行ってしまう
そう思い窓を開けると
今度はくしゃみの気配が
いけません
くしゃみをしたら
わたくしの中の詩の予感を
ぶちまけてしまう
必死に我慢をしました
くし

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