『「ノー!イマノ、カットボールジャナイヨ!」』

ホルヘの投げる球はどれも本当に鋭くて バッターが打てないどころか キャッチャーである僕ですら 捕球できないことがよくあった 「ミツオ!エラーバッカリ!」 「ホルヘのカットボールえぐいから捕れねえんだって」 「ノー!イマノ、カットボールジャナイヨ!」 「そうなの?」 「イマノハ、シ…

なぞる

 誰かが手を挙げている。  それを見て、手が不自由な人は肩をすくめるかもしれない。同時に肩の位置が上がる。  あがる、上がる、挙がる、揚がる、騰がる。  あげる、上げる、挙げる、揚げる、騰げる。  手足の動かない人が、視線を上に向ける。目玉がくるりと上を向く。  それが何かの印だっ…

わざわざ書くことではないのかもしれないが。

 わざわざ書くことではないのかもしれないが、わざわざ書いてみる。  ボクの母は映画のメイクの仕事をしている。  60代も間も無く後半に差し掛かろうとしている母だが、まだ現役で働いている凄いパワーを持っている。  母は現場に入るとほとんど連絡が取れなくなる。  「エッセイテーマは?」とい…

散文

わたしが伝える「好き」、わたしの大好きな人たちにちゃんと伝わっているのか、わからなくなってきた。 本当は運命も必然もなんにもないし、なんにもないから、フィクションの世界ではこれの類のことがよく描かれるのだと思うし、わたしに限った話ではないかもしれないが、現状わたしは、その刷り込み…

泪する

雨に濡れるのも悪くない 彼らは、何も求めず。 美しい移り気が濡れている 彼らは、共に涙する。 寺に彼らが咲き誇るのは 長く咲き、訪れる人々の心を映すため。 流行病があった頃、言葉に出来ぬ無念さを抱きしめ映したのは彼らだ。 哀しみを色に変え雨に濡れ共に泣く。 紫陽花は移り気と言われ…

森田観察日記2021.06.22-23

《22日》 きのうは1時間のオンライン打ち合わせのあと6時間くらい根をつめて仕事をしてしまい、つれあいが帰ってきてやっとパソコンから顔を上げて へとへとで……「もう疲れた消えたい」とおなじみの泣き虫 つれあいに「疲れてる」「寝不足でしょ」とくり返しなだめられても、寝るのがつらいから(入…

しかい。

目を閉じた頃からもう覚えていません。見えなくなれば、思い出すこともなくなるでしょう。風が吹き、流れて行くのをずっと聴いています。私には、それしかすることがない。 名前を呼びません。そこにいるから。私はそれをばらして、細かくばらして、また一つずつ組み立てて行く。手探りで。そして新し…

矜持なの…か

朝から言葉の提案について、すりあわせがあった。 いちど提案をしていて、そのフィードバックの共有。 それに対して、カウンターを用意していた。 まずはご意見を伺い、そのあとでこちらの説明。 複数の方向で、こんなのも用意してあります。 文章で勝負をしているが、対面で空気を作る。 明文化する…

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簡単に言ってくれるね たわいのない呼吸に 脊髄反射で色を付けて それが自然に叶うまで 通り一遍の嘘も慣れたよ なんて言ってたんだっけ 自分の本心さえどこかに 溶けてしまったみたいに

雑文 #264 夕暮れ時がいちばん好き

夕立というには早すぎる時間に大雨が降った。   遠出して仕事している私は大雨に濡れるのがいやだったけれど、それを見計らったように雨はぴたりと止んでくれた。   さっきの雨がなかったかのように明るく晴れる。  いつもより2時間早く仕事を終え、帰途につく。   周りには会社員より学生…