Amu
「Ka'pilina」 蹴破られた扉の向こう側 弱さの中にある強さの意味を知る 甘くて苦いひかり白く激しく メザメルト消えていく黒の記憶たち 愛してると触れる指先 永遠を意味する マウロアのくちづけ心地よく
「深森のなみだ」 吐ききった呼吸の彩に 緩やかにあつまる影あそび 瞳を閉じたあわい魂の その指先が セルロースの傷痕をそっと舐める ちりちりと音をたてている 其は、 旅の終わりを知らない約束の端っこ 焦らなくていい ひとり何処へも逝かぬ昊 その痛みすらも愛おしくなるほどに
「三角屋根で待っている」 母なる海から産まれた月は 父なる山へと還っていくんだよ オレンジ色の三角屋根は 淋しそうに空を見上げている ちらちら瞬く金平糖に手をのばし 弾いて繋いで君をつくった 君のはなしを聴かせてよ どんな唄でもかまわないから 例えば君が僕のことを 忘れてしまったという音だとしても
「眠れよい子よ」 ともに眠る小さな部屋に 時おり聴こえる月夜の子守唄 すすり泣く鳩尾の その赦されるときを待つように 僕が殺した そう、あの日 ほんの少ない時の流れに 確かに僕はボクを殺していた
「根なし草の幽鬱」 弧をかく落ち葉の憂鬱しらず 水面じゃアメンボが影踏み遊ぶ 根なし草の想い出いくつ 指折りかぞえて言葉があまる 明日は 天気になるのだろうか…… 遠くに映る名もなき丘には 名もなき風が吹いていた
「君は知っていた」 小さな笑い声と涙たちが 長い時をかけひとつの物語になる あの日、君と出会った姿で 僕はひとりこの街へと帰ってきた 朽ち果てた換気扇の下 脳裏に転がる路地裏の風 ピン刺したポイントを指でなぞると 妙に全てのことが腑に落ちた 君が託した願いの意味と 僕を待たずしてこの街を去った理由 あの頃と同じ空に手をのばす 独り、此処から……
「ひよこがね」 律儀に並んだあいうえお だ、だ、誰ぁれがめっかった 真夏へ旅立つ支度の最中に やけに眩しいモノクロの空のした 拘りのナンバーに文字が舞う 旅先で買った絵ハガキに か細く書かれたサヨウナラ 何もかもが上手くいく そう、 全ては決まっていたのだから 真夏へ旅立つ支度の最中に ありがとう、飛行機雲が堕ちた
「始まりの雨」 ふくよかに芽吹いた君が 堪えきれず溢れさせた雨の理由 見抜けなかった理不尽と なにも出来ずの自分が悔しいと すがり辿々しく語る小さな肩 それでも守りたいものがあるのだと 細い腕は力強く震えていた 君ならきっと大丈夫 僕ならずっと傍にいるから 陽だまりを抱きしめて ただ愛していると伝えて欲しい
「君に花束を」 嘘が嫌いだと言った君は 誰よりも嘘つきな僕に恋をした そして、 僕を嫌いだと叫ぶ君は 何よりも僕を必要としている 嘘つきな君に 僕は、薔薇の花束を贈ろう