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落ち葉さがし|詩

落ち葉さがし|詩

「落ち葉さがし」

打ち寄せるアンバーな空のした
掴めない落ち葉のゆくえ心もとなく
ただ、それは
僕から吹いている風のせい

刹那的な極光のなか
ぶらさげた命が嘆いている

引き換えであることなく
両のうでに抱かれたいと揺れる音
未だ、僕は
あの場所で僕らを探している

君だけに見える景色|詩

君だけに見える景色|詩

「君だけに見える景色」

奪われゆく視界に想いめぐる

つたい歩きが空に舞うとき
零れ落ちたサヨナラは
せめて君に掬い上げて欲しいと

とても優しいひとだった
とても愉しいひとだった
誰よりも弱さを教えてくれる
とても強いひとだった

奪われゆく視界に君がゆれる
つたい歩き、
その先にある景色を
君だけは知っているのだろうか

深森のなみだ|詩

深森のなみだ|詩

「深森のなみだ」

吐ききった呼吸の彩に
緩やかにあつまる影あそび

瞳を閉じたあわい魂の
その指先が
セルロースの傷痕をそっと舐める

ちりちりと音をたてている
其は、
旅の終わりを知らない約束の端っこ

焦らなくていい
ひとり何処へも逝かぬ昊
その痛みすらも愛おしくなるほどに

三角屋根で待っている|詩

三角屋根で待っている|詩

「三角屋根で待っている」

母なる海から産まれた月は
父なる山へと還っていくんだよ

オレンジ色の三角屋根は
淋しそうに空を見上げている
ちらちら瞬く金平糖に手をのばし
弾いて繋いで君をつくった

君のはなしを聴かせてよ
どんな唄でもかまわないから
例えば君が僕のことを
忘れてしまったという音だとしても

眠れよい子よ|詩

眠れよい子よ|詩

「眠れよい子よ」

ともに眠る小さな部屋に
時おり聴こえる月夜の子守唄

すすり泣く鳩尾の
その赦されるときを待つように

僕が殺した

そう、あの日
ほんの少ない時の流れに
確かに僕はボクを殺していた

Ka'pilina|詩

Ka'pilina|詩

「Ka'pilina」

蹴破られた扉の向こう側
弱さの中にある強さの意味を知る

甘くて苦いひかり白く激しく
メザメルト消えていく黒の記憶たち

愛してると触れる指先
永遠を意味する
マウロアのくちづけ心地よく

根なし草の幽鬱|詩

根なし草の幽鬱|詩

「根なし草の幽鬱」

弧をかく落ち葉の憂鬱しらず
水面じゃアメンボが影踏み遊ぶ

根なし草の想い出いくつ
指折りかぞえて言葉があまる

明日は
天気になるのだろうか……

遠くに映る名もなき丘には
名もなき風が吹いていた

君は知っていた|詩

君は知っていた|詩

「君は知っていた」

小さな笑い声と涙たちが
長い時をかけひとつの物語になる

あの日、君と出会った姿で
僕はひとりこの街へと帰ってきた
朽ち果てた換気扇の下
脳裏に転がる路地裏の風

ピン刺したポイントを指でなぞると
妙に全てのことが腑に落ちた
君が託した願いの意味と
僕を待たずしてこの街を去った理由

あの頃と同じ空に手をのばす
独り、此処から……

ひよこがね|詩

ひよこがね|詩

「ひよこがね」

律儀に並んだあいうえお
だ、だ、誰ぁれがめっかった

真夏へ旅立つ支度の最中に
やけに眩しいモノクロの空のした
拘りのナンバーに文字が舞う
旅先で買った絵ハガキに
か細く書かれたサヨウナラ

何もかもが上手くいく
そう、
全ては決まっていたのだから

真夏へ旅立つ支度の最中に
ありがとう、飛行機雲が堕ちた

始まりの雨|詩

始まりの雨|詩

「始まりの雨」

ふくよかに芽吹いた君が
堪えきれず溢れさせた雨の理由

見抜けなかった理不尽と
なにも出来ずの自分が悔しいと
すがり辿々しく語る小さな肩
それでも守りたいものがあるのだと
細い腕は力強く震えていた

君ならきっと大丈夫
僕ならずっと傍にいるから

陽だまりを抱きしめて
ただ愛していると伝えて欲しい

君に花束を|詩

君に花束を|詩

「君に花束を」

嘘が嫌いだと言った君は
誰よりも嘘つきな僕に恋をした

そして、
僕を嫌いだと叫ぶ君は
何よりも僕を必要としている

嘘つきな君に
僕は、薔薇の花束を贈ろう