青坊

なんやかんや、味わいが大切です。

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【詩】地下坑道五百羅漢 左打ちに転向しろと云われても、僕には右投げ右打ちが性に合っている。

特に理由もないが何かが起きるのではないかと期待して バイトのシフトを入れなかった変哲の無い休日は雨が降っていた 午後のロードショーが終わっても未だ降り続いているので 今日も結局何も起こらないのだなと 窓を開けて雨音を聞きながら考えていたけれど 何か僕にもできないかと思ってnoteを開き 顔の脂も拭かずに エアコンもつけずに 雨に冷やされた空気を吸いながら MACのキーボードを叩き始めた    僕は落ちるところまで落ちたようだ    その自堕落の精神こそが支えとなって・・・ と

    • 【詩】地下坑道五百羅漢 静かな夜

      静かな夜がそこにある 時々遠くの方から 踏切の音が聞こえてきて 故郷の集落を思い浮かべる 深海と海辺を行き来する 不思議な浜風 置き去りになった 朽ち果てた遊覧船 気まぐれな画家は 記憶をたどる ほとんど描き終えた絵を じっと見つめて筆を置く 熟れた桃の果肉を アラビア文字の書かれた 皿に置いて ひと口 コーヒーカップに口をつけて 途切れ途切れの記憶を再びたどり 波しぶきとなった言葉を紡ぐ   孤独なツグミの泣く声は   読み人のいない古書のよ

      • 【詩】地下坑道五百羅漢 平然とした日常はここに

        私とトランク一つを 降ろしていってしまった 車は乾いた音を立てながら 排気ガスと一緒に去っていった SevenStarsの煙はすぐに消えた ベルベットとアスファルト 似ても似つかない 程遠い感触 乾いたチーズ程度の 悲哀を残して 横には一つのトランクがあるだけ あと5錠しかない 薬瓶から 2錠取り出して飲み込む 海鳴り 海鳴り 海鳴り 倒れたパラソルの上を カモメが旋回している トランクに入っていた ビスケットの袋を取り出した プラスティック容器には 半分にかけたのがあるだけ

        • 【詩】地下坑道五百羅漢 初夏の田

          5月 オタマジャクシを手のひらですくっては、流れの早い水路に流した。 何度も、飽きることなく、水の行く先へとその姿を見送った。 田の水に手を浸すと、初めのうちは四方に散らばって逃げ出すのだが、 波紋が消えてなくなる頃には、それを見計らったかのように手の周りに集まってきた。 だから、そーっと手を動かした。 そしてそのうちの何匹かを鷲掴みにして水のない世界へと連れ出した。 手の中は水から取り出したばかりの蒟蒻のように、ぶにゅぶにゅとしていて、そいつらが指の隙間をくすぐった。 5月

        【詩】地下坑道五百羅漢 左打ちに転向しろと云われても、僕には右投げ右打ちが性に合っている。

          【詩】なんら躊躇いもなく歩を進める

          何年か前に、猟師をしている友人と長野県の山に入った時のこと。本当に冬の山は静かで、ぴぃーんと張り詰めた緊張感があった。アナーキーでオルタナティブ。なんのことかわからないけど、ここに、書き散らかした文章と写真を残します。 遠くから吹く風 遠くの谷から風がゆっくり吹いてくると、木々は揺れ、 枯れ枝に積もった雪を振り落とし、熊笹がカサカサと音を立て、 まるで山全体が風に呼応しているかのようである。 その自然現象からは独特のリズムさえも聞こえてきそう。 不規則でありながら調和のと

          【詩】なんら躊躇いもなく歩を進める