たかあき

在野の独学者です。

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最近の記事

詩 「シルクロード」

腐った箸が刺さっていた 庭の隅 やたらと 茂み叢がる夕方の道に陽が差し わたしは釣師を偽装したのだが 釣り上げたのは 入れ歯である シワだらけの遺影に 話しかける 欠けた歯で またね さようなら 東郷平八郎が 庭にいた あらあ 元帥だわね 老女は幼女にかわり 表へ 駆け出す

    • 詩「あさがお」

      やだなあ すうすう 骨みたいな 風がついてまわるからさ と わたしが朝に顔を突っ込むと 一億総貧困化進む朝から めりめり音を立て あさがおが 置かれ 揺られる きょう1日 貧苦を凌げば 「吉本隆明詩集」が 帰り道 本屋で買えます と ポストに手紙が入っていた 小石と一緒に 暑い 10月のことだ

      • 最近の読書

        ①「在野と独学の近代」志村真幸  ②「千のプラトー」ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ ③吉本隆明「転向論」 ①では、在野の独学者たちの姿を追う。南方熊楠、マルクス、ダーウィンなど。イギリスではアマチュアの独学者が多かったらしい。大英博物館に入り浸る独学者はかなりいたようだ。夏目漱石は、本は買って読む派だったらしく、(書き込みをするから)あまり、大英博物館へは行かなかった。  ②は、フランス現代思想の代表的著作。自分の可能性が広がる気分になれる。リゾーム。 ③で、吉本

        • 詩「砂糖は人殺し」

          雨 アメリカ 雨 銃弾 狂ったか 「ほんとうは転向する気なんて」 「なかったさ」 吉本隆明の転向論でも読め 眼のまえ 無言が転がり 胸元へ手を差し込む 腸も 転がる  拡がる ねえ 爆弾を落としたパイロットの チューインガムがさ 粘りついて じんせいさよなら さよならじんせい なんだとにかく 私が大英博物館 貴方は焼き肉店「陸奥」 生きた息をしっかり吐いた人間になりたいのだ 叶わぬ 砂糖でも舐めな あ 血の味だ

        詩 「シルクロード」

          真夜中

          真夜中の茨城県の空は田舎臭さを含んでいる気がするのは畑から立ち上る野菜たちの体臭を空が呑み込んでいるからである筈で夜になってもその臭いが消えない気がするのはやはりそこが茨城県であるからに違いない。平将門の乱が起きたのは一千年以上前の茨城県の西のほうだったのだがこんな田舎臭い土地に平将門のような雄大な精神が存在していたというのも軟弱な現代人である私にとっては信じられずしかしそれは田舎に住んでいても雄大な精神を持ち得るということですなわち希望と表現することも可能であろう。 そん

          詩「無題」

          甲虫は甘い匂いを尻からだす にんげんの両眼を喰い散らかす合図 なのかもしれず ひたすら 氷で覆われた土地での 殺戮 を 見えなくさせる バイナップルの甘い果肉には針が息を潜めていた工場臭い父だった 夕日を浴びていたのは ビールを浴び母を殴ることと丁寧さを噛み殺してしまう 父だった 皿の上には母の刺客の魚が待ちかまえていた 夕食はいつもこうだった

          詩「無題」

          詩「無題」

          指と指の間から 君は真新しい血を流したものの どうやら 城からは出られないようだな 蜘蛛が押し黙る 一点だけを見つめよう ギロチン台のあしあと くしゃくしゃになってる夏 燃えるような殺意を この昼間に ぶちまけてしまいたい 力のこめかたを間違えたみたいだ 砂埃を上げて おれが消えてしまう

          詩「無題」

          詩「晴れているなあ」

          君の手が国家を握りつぶす ああ! よく晴れているなあ 今日 こんな日には ガソリンぶっかけたノートの一ページから こんな言葉が呻き声をあげる 「あなたの為に死にます」 馬鹿だなあ 考え直せよ 君が死んだあとだって 愛はひたすら軽い 呆れるほどの馬鹿面で  青春は一回戦 三万くらいで だらしなく 唾液をたらす 一緒にあの崖まで 転落しないか 憎悪は ダサいから 笑みを浮かべ。

          詩「晴れているなあ」

          帰ってきた積ん読日記

          さあ! クイズだべ! わたしは誰でしょう? ①ダンプ松本 ②一つ目小僧 ③野間宏 ④えなりくん 正解はひとつだけだョ! なにっ! ヒントが欲しいだと? この ハンバーグ野郎め! うっしっし、ヒントをやるべい! ヒント① わたしはBUCK-TICK現象です あらまあ!!! なんて分かりやすいヒントなんじゃろう! ヒント② わたしは✕✕✕✕です♥️ あらやだ! 恥ずかしいったら山のごとし!!! ヒント③ 好きな芸人は西川のりおです つくつくほーし!つくつくほーし! つ

          帰ってきた積ん読日記

          詩「うん、ラーメン」

          歩きながら溶けていく脳髄 歩きながらドロドロになる 駅を降りたとき すでに 焼夷弾はおれを狙っていたんだ 楽しい幻はどこだ 湯気の向こうに おんなが見えると たちまち 呼吸は回復してゆくはずだ 骨と意識が砕かれ 麺を啜るあいだ 麺が首を絞めてくる それは 蛇かもしれないし ロープかもしれない

          詩「うん、ラーメン」

          読書感想文「機械」

          暇だから書くべい! 横光利一「機械」を思い出した。さっそく引っ張りだしてみよう。 面白い。 冷静に考えてみれば、これ、「DV家庭」である。親父が超絶狂暴。金銭に困っている家の父親は、こんなヒトが多い。だが、なぜ「面白く」読めてしまうかと言えば、語り手(横光利一)が、この悲惨な家族を笑い者にする、という書きかたをしてるからで。べとついた書き方をすると悲惨な家族、という面が強調されるが、文章に織り込まれた独特な「リズム感」がユーモラスな雰囲気を強くしているとおもう。で、ユーモ

          読書感想文「機械」

          読書感想文「田舎教師」

          田山花袋の「田舎教師」読む。 書き出しである。まあ、長閑な風景だね、くらいの阿呆な感想しか、正直浮かばないのだが。それじゃあ、詰まらない。なんか、誤解でも良いから楽しいことを書いてみたいものである。そもそも、田山花袋が生きていた時代よりも、百年あとくらいを生きてる我々が、彼の書いた文章を正確に味わうなど無理だと、阿呆は考える。彼もまさか、百年あとのイバラキの山猿がじぶんの作品を読んでくれるなんて、考えてもないはずだ。 引用箇所を読む。「四里」「其間」「青縞」「羽生の町」「げ

          読書感想文「田舎教師」

          詩「氾濫」

          化学式と無縁の生命が先端を赤く 膨らませて部屋を満たしていた 独自の固溶体がころがり 商品交換にもならねえ、と 唾を商人が吐き捨てたところだ 眼を据えたまま  それをみつめつづけた 倉庫に眠ったまま機会をうかがう 飢えた残骸としての肉体 海を求めるべきか? 手作りで人工のユートピアを作るか 費用はないが 憂鬱により 一個の無用な魚雷になっちまった 錆びた体からジクジクと 血が漏れてきて 倉庫がなまくさくなる

          詩「氾濫」

          詩「虫として生きる」

          朝起きたら 逮捕だ といわれてみたい気もするが 言葉の骨格しか残らぬ俺には ハエすら寄り付かないのだった 暑いな 3人くらいいるはずの 俺が たった1人だけだ あれえ 世界は終わったかな 清らかだとおもっていた隣人 家族 友人 その他もろもろ 毒ガスを浴びせてくるならば 抵抗はひつようか ひつようでないか あ、鼠が死んだ 俺が溶けたら 俺が浸されたら 俺が燃やされたら そうだ ハエになろう!

          詩「虫として生きる」

          積ん読日記(終)

          あたしゃ、大仏だよー! あたしゃ、いったんもめんだよ! (誰だ!うっせえ、バカっていったの!) どうも! 裏庭でピカリと輝くキャベジン野郎! 愛しの牛久大仏に炸裂した、BUCK-TICK現象こと! たかあきですばい! 悲しいお知らせですがの。 今日でこの、糞みたいな日記も最終回ですばい(誰だ、俺の背中にシール貼った奴!) みんなにお別れの挨拶します。 最終回ってのは、嘘ですばい! (テヘッ♥️) まだまだ続くョ! (誰だ!もうたくさんっていった奴!) あッ! 川上音

          積ん読日記(終)

          手書き

          雨だ。 手書きで橋川文三、ハイデガーの文章を書き留める。一行一行、学ぶことが多い。濃密な文章たちだ。橋川文三が太宰治を論じた文章が素晴らしい。分かりやすいし、文学的な魅力をたっぷり含んだ文章だから。橋川文三は政治学の人だとおもうが、ジャンルを踏み越え、文学についても確かな意見をもっていたのだ。 ハイデガー「存在と時間」は「?」といったかんじ。哲学の専門でなければ理解が難しいのかもしれない。だが、噛みごたえのある文章を堪能する。