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「特別支援学校でWebライティングを必修科目に!」

今回のタイトルは、Webライターとして10年ほど活動している私の実感である。

「障害者雇用促進法」の制定から20年以上。法改正もあり、全国的に企業の障害者への受け入れ体制が整備されてきたとはいえ、障害当事者の一般就労はまだまだハードルが高いと言わざるを得ない。

私自身、「毎日の通勤が難しい」、「社内でのケア体制が充分に確保できない」、「障害者採用の前例がない」などの理由から、一般企業にエントリーしても門前払いを受けた経験がある。

障害者雇用促進法の概要および国内の障害者雇用の現状については、以下の記事を参照されたい。

我田引水になるかもしれないが、個人的には、重度障害者にとってWebライターはこれ以上ない適職なのではないかと考えている。

いささか極端な言い回しが許されるのなら、身辺自立がままならない重度身体障害者にとって、社会との接点を持ち、生きる糧を得る道はWebライティング以外にはありえないとすら、半ば本気で思っているのである。

Webライターという職業のメリットとしては、以下のような点が挙げられる。

在宅で仕事が完結する
自分のペースで仕事ができる
人間関係のストレスがほとんどない
勤務先での介助問題が発生しない
デバイスを柔軟にカスタマイズできる

上記のうち、重度身体障害者にとって重要なのは下から2番目以降だろう。

在宅ワークであれば朝から晩まで完全に自分のペースでスケジュールを組み立てることができるし、障害に負担のない形で案件をコントロールすることができる。PCやマウスなどのデバイスについても使いやすいようにカスタマイズできるので、作業の自由度もより高まるだろう。

ひと昔前までは、在宅ワークというと小遣い稼ぎの内職が多く、月々数万円程度を稼ぐのがやっと、というイメージが強かった。

しかし、ここ数年は在宅ワークの幅も広がり、実際、重度の身体障害者あってもプロのWebライターとして30万円以上の月収をキープしているケースが増えてきている。

だからこそ、冒頭の提言につながるのだ。

2、30年ほど前まで、特別支援学校(当時の養護学校)のカリキュラムといえば、リハビリなどの体のメンテナンスや発話訓練、作業所を想定した軽作業が中心で、国語数学といった主要五教科の授業を受けたいなら「どうぞ一般の学校に行ってください」という時代であった。

一般の学校にしても障害児の受け入れなど視野に入れていなかったから、入学について相談しても「養護学校という受け皿があるのにどうして?」という空気であり、門前払いに限りなく近い形で突っぱねられるケースも決して珍しくはなかった。

このような状況では、重度障害者が一般就労について夢を抱き、目標とすることなど不可能に近い。

もちろん、継続的なリハビリも重度障害者にとっては意味のあるものであり、欠かせないルーティンでもある。

ただ、体のメンテナンスや「作業所に行くためのトレーニング」を積み重ねることが養護学校が真に果たすべき役割なのだろうか。

少なくとも将来、在宅ワークで生計を立てたいと考えている障害当事者にとっては、数年間の発話訓練によってようやく「おはよう」が言えるようになることよりも、Webの使い方や仕事につなげるノウハウを具体的に知っておくことのほうがより重要で、意義のあることなのではあるまいか。

リハビリの時間を完全になくす必要はないが、たとえば週に2時間でもWebライティングのカリキュラムを取り入れ、「在宅ワークから一般就労へ」という動線を具体的な選択肢として思い描けるような環境を整えることで、重度障害者の就労の道が開けるように思う。

もちろん、Webライティングだけではない。Webデザイナーやプログラマー、システムエンジニアなど、今の時代、重度障害者にとって仕事選びの選択肢は広がっている。

職種ごとに選択科目にしてもいいし、実際の企業と提携して講座を用意したり、簡単な案件を受注してもいいだろう。

大切なのは、単なるトレーニングやレクリエーションで終わらせないことだ。

小等部のうちから、のカリキュラムという形で少しずつ就労の可能性を見せていくことこそ、これからの特別支援学校に課せられた大きな役割ではないだろうか。

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