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#博物館

予算なくても「魅力ある展示」、気づき生むアイデア・工夫を探る――ふじのくに地球環境史ミュージアム/江戸東京博物館/東洋文庫(文化観光のコツ その②)

予算なくても「魅力ある展示」、気づき生むアイデア・工夫を探る――ふじのくに地球環境史ミュージアム/江戸東京博物館/東洋文庫(文化観光のコツ その②)

 「目指したい理想の展示はあるが、予算が……」
 どんな規模の博物館・美術館でも、展示や解説に満足のいく予算を投じられるケースはあまり多くはないでしょう。予算が限られる中で、わかりやすく効果的な展示・解説が求められます。今回は大きなコストをかけずにアイデアと工夫で来館者を魅了してきた、オリジナリティにあふれる展示の実例をご紹介します。

元校舎、つくえ・いす・教室を効果的に利活用 廃校となった高校

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【展覧会レポ】横浜市民ギャラリーあざみ野「SHIMURAbros 雲をつかんで虹を見た」

【展覧会レポ】横浜市民ギャラリーあざみ野「SHIMURAbros 雲をつかんで虹を見た」

【約3,900文字、写真約40枚】
横浜市民ギャラリーあざみ野で「SHIMURAbros 雲をつかんで虹を見た」を鑑賞しました。その感想を書きます。

▶︎結論すごく「現代アートっぽい」作品が無料で見られるため、とてもお得な展覧会です。いつもの横浜市民ギャラリーあざみ野と雰囲気も違い新鮮です。作品の見た目がシンプルに美しいことに加え、普段の生活とは違った物の見方に気付くことができるかも。あざみ野の

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【美術展2024#72】総合展示@国立歴史民俗博物館

【美術展2024#72】総合展示@国立歴史民俗博物館

千葉市美術館「Nerhol展」、DIC川村記念美術館「西川勝人展」に続いて千葉巡り3館目。

大阪の国立民族学博物館と名前が似ているが大阪は「民族」で、こちらは「民俗」。

以前から気になっていたが実は今回初めて訪れた博物館。
ちょうど千葉巡りの巡路上にあったので軽い気持ちで立ち寄ってみたが、展示内容が凄すぎた。
ガッツリ見たら1日ではとても回り切ることができないくらいのボリューム。

様々な史料

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「はにわ展」と「ハニどぐ展」、どっちから見る?

「はにわ展」と「ハニどぐ展」、どっちから見る?

10月16日(この記事の公開当日)に開幕した東京国立博物館の特別展「はにわ」(以下「はにわ展」)。そしてその二週間前、10月1日から東京国立近代美術館で始まった「ハニワと土偶の近代」(以下「ハニどぐ展」)。この二つの展示を見た感想である。
どちらも考古をテーマにした展示ではあるけれど、そのアプローチは大きく違う。
「はにわ展」は日本中のはにわの優品、各地の至宝とも呼べるはにわを一堂に集め、古墳時代

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【展覧会レポ】愛知県美術館「アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの」「2024年度第2期コレクション展」

【展覧会レポ】愛知県美術館「アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの」「2024年度第2期コレクション展」

【約4,900文字、写真約70枚】
愛知県美術館に初めて行き「アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの」と「2024年度第2期コレクション展」を鑑賞しました。その感想を書きます。

▶︎結論さまざまな現代アート的に尖った「椅子」を見ることで楽しめました。一部の椅子は実際に座れるため、物理的にも楽しめます!また、椅子も含め、物事にはさまざまな面があることを再認識できました。そのほか、

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【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【約5,500文字、写真約60枚】
練馬区立美術館で開催されている「三島喜美代―未来への記憶」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿であなたに伝えたい点】
❶大満足の展覧会、❷作品だけでなく、三島喜美代自身の魅力が十分に伝わる内容だった、❸作品や考え方の変遷が分かりやすく、キャッチーな作品が面白いことに加え、メッセージ性もはっきりと伝わった、❹大人も子供も、アートに興味がある人も薄い人

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全国自然博物館の旅【37】豊田ホタルの里ミュージアム

全国自然博物館の旅【37】豊田ホタルの里ミュージアム

5月下旬から6月上旬はホタルの発光観察のメインシーズン。すでにホタル観察に出かけられた方は多いのではないでしょうか。
幻想的なホタルの光を見るのなら、やはり名所に行くのがベスト。この度は、ホタル観察の聖地・山口県の豊田町に立つ自然博物館に行って参りました。

天然記念物の地でホタルが舞う!山口県の下関市が擁する豊田町。この地は、国内屈指のホタル観察の聖地です。木屋川流域のゲンジボタルの生息地は国の

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千葉百年後芸術祭・内房総アートフェス(千葉県木更津市・市原市・袖ケ浦市)

千葉百年後芸術祭・内房総アートフェス(千葉県木更津市・市原市・袖ケ浦市)

千葉県を中心に展開しているアートイベントである千葉百年後芸術祭。千葉県が誕生して百五十周年記念事業の一環として、百年後を考えるという芸術祭である。広大な千葉県の各エリアで開催されており、全てを回ろうと思うととても一日では回りきれないボリューム。

専用のHPがあるものの、そこだけは情報がよくわからないので調べてみたところ、百年後芸術祭には全部で以下のエリアがあることがわかる。
・内房総アートフェス

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【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【約6,900文字、写真約60枚】
実体験を基に「青森県の4つの美術館を」「東京から一泊二日」「電車・バスで周った」「一人旅」について、具体的なルート、食べたものとともに、感想などを書きます。

結論から言うと、青森の主要美術館は素晴らしいものばかり!美術館メインで旅行を組む価値は十分にあります。なお、車を使わない場合、2日で5つの美術館は周り切れず、4つが限界でした。注意点は、青森は都内と違い、

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写実?抽象? 「没後50年 福田平八郎」展◇大阪中之島美術館

写実?抽象? 「没後50年 福田平八郎」展◇大阪中之島美術館

大阪中之島美術館で開催している「没後50年 福田平八郎」展(2024.03.09 – 2024.05.06)後期展示へ行ってきました。

同館ではモネ展と閉幕の日程が同じ5月6日だったせいか激混みでした。さすがモネ。

私は福田平八郎展目当てだったので、時間があればついでに見ようかなーと思っていましたが、もちろん無理でした(こうやって何度大物を逃してきたことか…)。

ちなみにお隣の国立国際美術館

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展覧会レポ:富士フイルムフォトサロン東京「セルカン・ギュネシュ写真展"WITHIN"」ほか

展覧会レポ:富士フイルムフォトサロン東京「セルカン・ギュネシュ写真展"WITHIN"」ほか

【約3,400文字、写真約20枚】
初めて富士フイルムフォトサロン東京(六本木)に行き「セルカン・ギュネシュ写真展"WITHIN"」などを鑑賞しました。主に「FUJIFILM SQUARE」の全体像について、感想を書きます。

※この展覧会は既に終了しています。

結論から言うと、六本木に来た際に、写真に興味がある方はマストで寄った方が良い場所だと思いました。FUJIFILM SQUAREには常に

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それでもわたしは、ミュージアムでポストカードを買う

それでもわたしは、ミュージアムでポストカードを買う

こんにちは。フェリシモ「ミュージアム部」のアヤカソンです。
ミュージアム部Twitterの中の人を担当しています。
突然ですが、あなたはポストカード、何枚買いますか?

ポストカードに関するご意見

以前、Twitterでミュージアムでポストカードを1回あたり何枚買っているかアンケートをとりました。

このとき初めて、自分の買うポストカードの量が人と違うことに気が付きました。いただいたコメントを見

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博物館と図書館のこと「太田市美術館・図書館」

博物館と図書館のこと「太田市美術館・図書館」

※2施設まとめて書いてるので、マガジンは「博物館のこと」「図書館のこと」両方。

3月10日 晴れ
太田市美術館・図書館

大学で知り合った親友に導かれた「群馬をめぐる旅」の途中で訪れました。
いつもは1記事1施設ですが、今回は1日に3施設の見学でしたので、次に「博物館のこと」と「図書館のこと」としてまとめて書きます。

太田市美術館・図書館は太田市にある太田駅の前にある、美術館と図書館が一緒にな

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展覧会レポ:アーティゾン美術館「ブランクーシ 本質を象る」「石橋財団コレクション選」

展覧会レポ:アーティゾン美術館「ブランクーシ 本質を象る」「石橋財団コレクション選」

【約4,900文字、写真約55枚】
アーティゾン美術館で開催中の「ブランクーシ 本質を象る」と「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 清水多嘉示」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、行く価値は大いにあると思いました。それは主に、1)ブランクーシの作品約90点を集めた日本初の個展、2)ブランクーシの変遷や考えが体系的に分かる、3)展示方法が面白かった(一部、課題あり)ことによ

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