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#創作

詩「面影の小箱」―#たまる物語企画参加

詩「面影の小箱」―#たまる物語企画参加

母さんが 天国へ旅立って
母さんの思い出を
大切に 貯める小箱を
心の奥に作りました。

千代紙で 折られた
小さな ひな人形には、
細くて 白い指先の思い出

湯気の立ち昇る
白いご飯には
母さんのエプロンの香り

廊下磨きの
雑巾の チクチク縫い目にも
母さんが いました

何気なく口ずさむ
「すみれの花咲くころ」は
母さんの愛唱歌

今も 窓辺に揺れる
モーニングローズの
プリザーブドフラ

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【短編小説】始まりの日に

【短編小説】始まりの日に

 寒い。まだ十月の中旬だというのに、もうすっかり冬の匂いがする。通り過ぎる人達は厚手のコートに身を包み、早足でこの寒さから逃げるように歩いている。テレビでは今日はぽかぽか陽気だとか言っていたのに、駅を出た頃には天気が急変して空を雲が覆い、冷たい風が強く吹いてきた。真新しいリクルートスーツを着ているだけの高羽陽は、身を震わせながら自宅へと歩いていた。
 テレビなんかを信じて羽織る物を何も準備しなかっ

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短歌で傷つけてしまったあの日の父へ。

短歌で傷つけてしまったあの日の父へ。

父から携帯に電話がかかってきた。

絵本をこの間送った時のありがとうの
電話だった。

20分以上彼と話しながら今回は、父は
傷ついていないのだな、
よかったなって正直思った。

ずっと昔に短歌集が出た時、父と娘は
ほとんど交戦状態で。

父に歌集がみつかってしまって、和歌山の
田舎の書店で買ってくれたのだけど。

わたしの書いた短歌にショックを受けて
彼が悲しんでいるのがすごくわかった。

手紙

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日記を書いていましたか?

日記を書いていましたか?

あなたは過去において日記を書いていましたか?

先日、実家の押し入れを捜索していたら、
出るわ出るわ、恥ずかしい時代の山また山!
日記やら詩やら小説やらを書き連ねたノートが
何十冊も発掘されたのだった。
(主に10代の頃のもの)
恐ろしい。
このままじゃ死ねない。
と、本気で思いました。

死人に口なし。
死んでしまえば後のことは本人には分からない。
のだとしても、だ。
遺された人達に、
こんなこ

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わたしが書きました、というのが精一杯だった小6の夏。

わたしが書きました、というのが精一杯だった小6の夏。

春はあけぼの。
夏は夜。
秋は夕暮れ。

そんなことが枕草子では書かれているけれど。

夏は夜もいいけど。

夏はこどもだと思ってる。

夏になると、じぶんが幼かった頃のことを
思い出すそんなしくみにあふれていて。

わたしは夫も子供ももたなかったせいか
いまだに、子供視線でものを追ってしまう。

作文きらいだったなって思いながら今も
noteを書いている。

わたしは小学校を三度転校しているけれ

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【俳句でぽん✖️縦スク文庫】俳句からストーリー②【十六夜杯】

【俳句でぽん✖️縦スク文庫】俳句からストーリー②【十六夜杯】

好評(?)だった縦スク俳句ストーリー、第2弾(*´▽`)ノ

今度は、この全体がとある方の俳句のストーリーになってます。誰のどの句なのか、想像しながらお読みください。(答えはラストで)

このストーリーは、たまごまるさんの「205の合図の言葉モンブラン」の句から作らせて頂きました。

この句を最初に読んだ時は私の理解不足で、聞くのは失礼かなと飛ばしてしまったのですが、この企画でどの句を使わせてもら

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もらった 猿たまご

もらった 猿たまご

もらった もらった 猿たまご
どうする どうする 猿たまご
たまごまるクンに もらったよ
ひょんなことから もらったよ

うれしいけれど 食べちゃダメ
食べたいけれど 食べちゃダメ
たまごまるクンが 言うことにゃ
猿が生まれる 猿たまご

もらった もらった 猿たまご
ちゃんと 育てて 猿たまご
知性プラス 10000の 
大作家猿に なるってさ

もらった もらった 猿たまご
だいじに だいじに

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私信 春の三句 たまごまるさんへ

私信 春の三句 たまごまるさんへ


たまご屋の仲間集めは春のロンドまおうとか魔法ですぐよ四月バカゴールはまるで春の公園のドカン

なぜこの作品にいたったか気になる方は下のリンクをどうぞ。

たまご屋の仲間集めは春のロンド
たまごまるさんのリンク先の

みんなの俳句大会、
参加者を250名にしたい!!

春のロンドみたいに(※ロンドはユーミンでしかよく知らない)
みんなで大会という同じ旋律を奏でつつも、
その人なりの異なる旋律で参加

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【ピリカ文庫】│春風を君に

【ピリカ文庫】│春風を君に

 私がみんなを
 あっためなきゃ!
 私って、優しいもの!

 私がみんなと
 遊ばなきゃ!
 私って、楽しいもの!

 おじさん、
 私はそう思ってます!
 私、えらいでしょう!

 ほら、おじさん、
 私、いい感じですよね?
 まちがっていませんよね?

 このお家には、
 かわいそうな子が、
 たくさんいますけれど!

 私はまだまだ、
 ましな方だと、
 思います!

 だって生きてるんだ

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帰ってきた短いシカと重大発表ふたつ!!

帰ってきた短いシカと重大発表ふたつ!!

改めましてどうぞよろしくお願い致します! 「知らない誰かの数分の暇つぶしに」がコンセプトの短いシカです。そこは変わらずまた定期的にnote更新していこうと思います。初めましての方も、お久しぶりの方も、今後ともどうぞよろしくお願い致します*^^*

 さて、表題の重大発表ですが、あまり引っ張ってもアレなので早速発表させてください。

デケデケデケデケ……

デン!!!

重大発表その①短いシカ、楽曲

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【散文詩】蝶【掌編】

【散文詩】蝶【掌編】

貴方がわたしの指に結んでくれたのは、蝶の形をした願いだった。小さな宝石のような模様を抱いて、蝶はわたしの指に棲みついた。流れる甘い血は吸い上げられ、指は鱗粉に塗れてかさついた。蝶はそれでも肥えない。痩せた願いだけが、貴方がいなくなった後も残り続けた。

いつまでここにいるつもりなの。わたしは蝶の薄い翅を摘んで訊いてみる。さぁねぇ、と応えが返る。指は歳をとる。皺の間深くまで鱗粉が入り込んで、皮膚と同

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一度でも愛された人は、やさしくなれる。

一度でも愛された人は、やさしくなれる。

これがなければ生きていけないとかじぶんを

縛ることはしたくないけれど。

小さい頃は確実にそれがあった。

ずっとこの先生が担任だったらいいのにとか。

ずっと隣の席はゆうこちゃんじゃなきゃいやだ

とか。

誰も塾とか行かないでずっと放課後だったら

よかったのにとか。

わたしは塾に通ったことがなかったから

けっこう一人遊びが得意になっていた。

そして、教科書はきらいなのに活字も好きじゃ

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連載小説|不器用たちのやさしい風〔Part14〕最終回

連載小説|不器用たちのやさしい風〔Part14〕最終回

※Part1~Part14でひとつの物語になります※
※Part1はこちら※前回はこちら※

 引越し当日の空は、文句のつけようがないほどの、完璧な快晴だった。
「お天気でよかったね、なんか幸先いい感じ」
 平日だが、仕事を休んだという香代子が、達也の手伝いに来てくれている。
「ほんとに、雲ひとつないってこのことだよな」
「めったにないよね、こんな青空」
 身の回りのものを詰めた段ボール箱と、いく

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卵の殻を破壊せずに生まれてみたい。

卵の殻を破壊せずに生まれてみたい。

料理はあまり上手じゃないかもしれない。

誰かにふるまうことにちょっと自信がない。

だから時々美味しいねってほめられると

子供はいないのに、自分の子供がほめられたら

こんな気分かもしれないって気持ちになる

時がある。

でも、料理が上手なひとは大好きです。

ということで今日は企画に乗っかりました。

noteの企画プリンスたまごまるさんの企画です!

さっき勝手に命名しました。

そして

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