小劇場演劇

チケットは、ただの紙切れじゃない。

『鶴かもしれない2020』の初日までいよいよあと1ヶ月となった。

たったひとりで800人を集める。その無謀なチャレンジに向けて、俳優・小沢道成は今この瞬間も、たったひとりで、コツコツと作品づくりに取り組んでいる。

このnoteでは、ここから1ヶ月かけて、その足跡を追いかけていく。

*      *      *

そもそもいち観客の視点で見ると、舞台制作の裏側は謎だらけだ。私たちが目にするの

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ありがとうございます!!
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ジャカっと雀vol.4「荒唐」を終えて

ジャカっと雀vol.4「荒唐」が終了いたしました。
ご来場くださった皆さま、誠にありがとうございました。

終わってしまいました。

どんな作品でしたでしょうか。

アンケートもいただいていて、ツイートなどもたくさんしていただきながらこう問うのは愚かでしょうが、それでも書かずにいられません。
人によって大きく受け取り方の異なる作品になったと思っています。

反省というか振り返りを。
手元のノートに

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役者さんを撮らないなんて…

ポートレートを撮るようになって、丸3年が経とうとしている。先月もたくさん撮影させていただいて、感謝は尽きない。ほんと、人を撮るって楽しくって仕方がない。

ありがたや。

さて、今日の本題。

小演劇界隈に出ている役者さんは最高の被写体だ!!

ポートレートを撮り始めた頃、私はSNSを使ってモデルさんを探していた。その中で、下北沢や中野などにある劇場に出演している役者さんと繋がり、それ以来、すっか

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七つの前屈ep.硝子張響「血塗の赤春~壊せ、傷。~」⑥

6.

「期末試験前の三者面談も、ぶじに終わったねー! いやあ、進路かあ。大学生になっても、きっと幸福なんだろうなあ。未来は明るいね!」

 姉の携帯を使って響を呼び出した男が指定したのは、とある倉庫。

 公園からそこに向かうには、ひとつ交差点を突っ切らなければならない。

 タイミングの悪いことに、響がその交差点に差し掛かったとき、信号は赤色に点滅していた。

 車が飛び交うその中を走り抜ける

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七つの前屈ep.硝子張響「血塗の赤春~壊せ、傷。~」④

4.

彼の姓が硝子張になる前、父方の姓を名乗っていたその家では、暴力は日常茶飯事だった。

「おら、さっさと酒持ってこい!」「ちっ、なんでタバコ切らしてんだよ、使えねえクズ共だな!」「おいおいなに泣いてやがんだぁ? ちょっと小突いただけじゃねえかよ、それでもほんとに俺のガキか?」

 アルコールを摂取しては暴れ、ニコチンを切らしては暴れ。

 父親の瞳孔の開きっぱなしになったその目は常人のそれと

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11月29日現在のこれからの演劇との関わり方の備忘録。

これからも、演劇をやりたい気持ちがすごくあります。

でも、結論から言うと、

今の私が興味を持っているのは、作品を創るというよりも、より良い演劇創作環境を作るということです。

それってどういうこと?みたいなことを書いた伊藤の脳内メモを、言語化、可視化するnoteです。まだ漠然としてるし、浅いけど…。

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七つの前屈ep.硝子張響「血塗の赤春~壊せ、傷。~」③

3.

「よお、『モスキート』──突然だが、お前の大事な人間を預かった。だれだかわかるよなあ? ……返してほしければ、いまから言う場所に来い」

 響のスマートフォンに着信が入ったのは、色欲に溺れた少年がスマホを閉じて、その画面に映し出されていた幸福そうな笑顔を浮かべる少女との馴れ初めを語り終えてから、三十分が経過した頃だった。 

 平和な公園──もとよりすでに辺り一面、血の色に塗られていたとは

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七つの前屈ep.硝子張響「血塗の赤春~壊せ、傷。~」②

2.

「な、かわいいだろ」

 利手川来人。ききてがわらいと。『スカイレッド』の副族長。痛みにも痒みにも届く右腕。

「あー……なんつうか、バカそうな女だな」

 硝子張響。がらすばりひびき。『スカイレッド』族長。暴力で統べる裏路地の王。

 とある平日の、昼下がりの公園。多くの人間が労働や学業に身を窶すその時間に、彼らは公園のベンチに座って駄弁っていた。

「そのバカっぽさがまたいいんだよ。な

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七つの前屈ep.硝子張響「血塗の赤春~壊せ、傷。~」

1.
 一度壊れたものを、再び壊すことはできない。

 人だろうと物だろうと、形あるものはいつか壊れる。生物なら腐り、金属なら錆びる。繊維はほつれ、液体は乾く。

 環境や関係と同様、変わらないものなどない。

 この世の理は流動だ。

 しかし人は、その流動に抗おうとする。流れるプールを逆走して遊ぶ児童からタイムマシンで時間を遡ろうと試みる学者まで、人類は頑なに、世界に勝ち目のない戦いを挑んでき

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七つの前屈ep.捺鍋手愛須「振り撒くハクアイ~溢れ、愛。~」⑨fin.

9.

「あ、あの……きみ、この前僕に告白してくれた、受付嬢だよね?」

 捺鍋手愛須は、美人だ。
 
 なんせ、ビルの『顔』というくらいだ。端正なルックスがないと、とても成り立つ仕事ではない。

「あのときはびっくりしちゃって……急に逃げ出したりして、ごめん」

 そのうえ、優秀だ。人当たりも良い。

「まさか、捺鍋手さんが、僕のことをそんな風に思ってくれてたなんて、気づかなくてさ」 

 噂や

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