鈴懸ねいろ

綴リスト*エッセイ.小説.空写真。日本左利き協会ホームページにてショートストーリー連載…

鈴懸ねいろ

綴リスト*エッセイ.小説.空写真。日本左利き協会ホームページにてショートストーリー連載中*AJINOMOTO PARK×noteコンテスト『おいしいはたのしい』審査員特別賞。秋の読書感想文コンテスト佳作。ショートショートnote杯佳作。

マガジン

  • ⭐︎創作集。

    ショートストーリー、ショートショート、短編小説などの創作作品を集めました。

  • 「日本左利き協会」掲載中の物語

    【日本左利き協会】さんにて連載させていただいている ショートストーリーです

  • わたしの空【空色図鑑】

    noteに掲載してきた『わたしの空』を図鑑仕立てにしました。あなたの心に響く空をみつけられますように。

  • *エッセイ集。

    自選エッセイをいくつかまとめました。 時々入れ替えたり追加したりしています。

  • 食べることは生きること。

    フードを題材にしたエッセイや小説を集めました。

最近の記事

ドッペルゲンガーサービス

世の中には 自分によく似た人間が三人いると 言われている。 それが単なる迷信だとしても、 違う遺伝子を持ちながら似ている人というのは たしかに存在している。 目や鼻のかたち、髪型、背格好。 立ち姿。雰囲気。 すべてが完璧に同じではなくても、 だいたいの配置やかたちが似ていると感じると、 私たちはその相手を 知っている誰かだと思い込むものらしい。 人にはいくつかの大まかなパターンがあって、 皆、それらのどれかには当てはまるように できているのかもしれない。 自分と似た人が今も

    • 明日の約束、忘れないでね。

      • 文学トリマー?【毎週ショートショートnote】

        「田中の奴、文学トリマーを使いやがったな」 道の向こう側を悠々と歩く田中に、 清水は舌打ちした。 田中が胸に抱えていたのは、 先週書き終えたばかりの原稿ちゃんだ。 田中の原稿ちゃんは 流行りのサマーカットを施されて、 すこぶるご機嫌だった。 原稿ちゃんの短めのセンテンスの隙間を、 風が通り抜けてゆく。 青空のように爽やかな言葉が映える。 田中の筆致を信頼し切った原稿ちゃんは、 腕の中でウトウトし始めた。 「いいよなあ、作者にあんなに懐くなんて」 「俺も文学トリマーに梳いてもら

        • 雲と行こう。風に乗ろう。

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        • ⭐︎創作集。
          32本
        • 「日本左利き協会」掲載中の物語
          13本
        • わたしの空【空色図鑑】
          1本
        • *エッセイ集。
          53本
        • 食べることは生きること。
          27本
        • Music Lover.
          20本

        記事

          月の上を散歩しているようにしか見えない。 影もふわりふわり月面を滑ってゆく。 リーフィーシードラゴンの 小さなハミングが聴こえた気がした。

          月の上を散歩しているようにしか見えない。 影もふわりふわり月面を滑ってゆく。 リーフィーシードラゴンの 小さなハミングが聴こえた気がした。

          飛ぶ時を待ちわびる。

          飛ぶ時を待ちわびる。

          風は緑色だった。

          五月の風はひときわ美しい。 湿度は低く、さらりとしていて緑の匂いがする。 こんなにいい季節に 部屋に閉じこもっているのはもったいないと 思う性分なのだ。 特に用事らしい用事がなくても、 何となく外へ出る。 通りを歩いてみる。 家々の門のきわに植えられた花を見てまわる。 私の心のなかの小さな子どもも、 嬉しくてくすくす笑いながら スキップをしているのだ。 たくさんの芽吹きを瞳に映して、 自分の内側にためていこうと思う。 ✳︎ そんな五月にお知らせです。 日本左利き協会さんの

          風は緑色だった。

          雲チョーク、黒板消し忘れ。

          雲チョーク、黒板消し忘れ。

          部屋に帰ってきて最初にすることは何?私は靴下を脱ぐこと。勢いよくぽんぽん脱ぎちらかすと、歩き疲れた魂が足先からにゅる〜っと解き放たれて自由になる。ひんやりした床をぴたぴた歩いて、台所で水を飲む。裸足と喉が初夏の訪れを祝っている。さっきまでいた外に目をやる。緑が煌めく。命がある。

          部屋に帰ってきて最初にすることは何?私は靴下を脱ぐこと。勢いよくぽんぽん脱ぎちらかすと、歩き疲れた魂が足先からにゅる〜っと解き放たれて自由になる。ひんやりした床をぴたぴた歩いて、台所で水を飲む。裸足と喉が初夏の訪れを祝っている。さっきまでいた外に目をやる。緑が煌めく。命がある。

          思い出を拾い集めて雲に乗せよう。

          思い出を拾い集めて雲に乗せよう。

          近ごろ海を見ていない。

          近ごろ海を見ていない。

          春の空を編む。

          春の空を編む。

          朝寝坊の報復。#新生活20字小説

          覚えとけ目覚まし時計帰ったら分解の刑な。 ****** 小牧幸助さんの企画参加、第四弾です。 ありがとうございます。 * 朝寝坊は、いかんです。 いかんともしがたい。遺憾です。 寝坊したいのに起こしてくる目覚まし時計への 八つ当たり説と、 起きる時間を過ぎても鳴らなかった 目覚まし時計への報復説と。 ふた通りの解釈ができることに気づきました。 (後者の心づもりで書きましたが どちらでもいいなあと思いました) #新生活20字小説 #シロクマ文芸部

          朝寝坊の報復。#新生活20字小説

          まいにち、おみそ汁をどうぞ。

          夕餉の始まりにおみそ汁をひとくち啜ると、 ああ、と声が漏れてしまうのだった。 今日も一日お疲れさま。 自分に対してそんな言葉をかけたくなる。 その日の締めくくりの食事には、 必ずおみそ汁がつく。 出汁と具材の旨みがお腹にじんわり沁みて、 身体のなかから温まると、 気持ちもゆるゆるとほぐれていくのだった。 おみそ汁は別名「おみおつけ」ともいう。 漢字で表すと【御御御付】だ。 室町時代の女房言葉として使われ始めたらしいが、「御」が三つもつく最上級の丁寧感にも納得するのだった。

          まいにち、おみそ汁をどうぞ。

          雨でけぶった道の向こうに、黄色いレインコートを着た柴犬がいた。めちゃめちゃ雨に濡れている。心なしかうなだれている。いや、うなだれているのじゃなくて、水たまりの中に潜んでる今日の良いことを探していたのかもしれない。スンスン。ここにはないな。もう少し先に行ってみよう。スンスン。

          雨でけぶった道の向こうに、黄色いレインコートを着た柴犬がいた。めちゃめちゃ雨に濡れている。心なしかうなだれている。いや、うなだれているのじゃなくて、水たまりの中に潜んでる今日の良いことを探していたのかもしれない。スンスン。ここにはないな。もう少し先に行ってみよう。スンスン。