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真夏の太陽がギラギラ照りつけるなか、 父は家庭菜園で野菜の収穫をしていた。 茄子、胡瓜、枝…
夕餉の始まりにおみそ汁をひとくち啜ると、 ああ、と声が漏れてしまうのだった。 今日も一日お…
青い時代だった。 なんだってどうにかなるさ、と思っていた。 あれとこれを足せばこうなるので…
美味しいものは 時に野蛮な気持ちにさせる。 食べた瞬間、 なんだこれは! と怒り出したいよう…
植物が自分のそばで育ってゆくのを 眺めているのは楽しい。 昨日まで何もなかった土の上に、 …
近ごろ、異国の屋台で作られる料理の動画を 見ることにハマっているのであった。 Instagramと…
コンビニの前で、 女の子たちが雨宿りをしていた。 通りに背を向け、 白い電灯が明るい店内の方を見ている。 みんな少し猫背になって黙って立っていた。 近くの高校の制服に、 お揃いのリュックサック。 スカートから延びる細くまっすぐな脚も、 お揃いみたいだった。 彼女たちが沈黙していた理由は、 カップラーメン。 肌寒い雨の夕方、部活帰りなのだろうか。 温かいカップラーメンを、ずずず、と 威勢良く啜っていた。 《カップラーメンと私》 の世界に入り込んでいる。 無我夢中で熱々の麺と格
足元がとても暗いので気をつけてくださいね。 そう言われて咄嗟にわたしのつま先は身構える。 …
スイーツは極上。 癒しとご褒美にはうってつけの存在だ。 味はもちろんだが、見た目も重要。 …
夜明け前のお天道様も飛び起きる大声が、 家中に響き渡る。 祖母が、私の母を探して 部屋から…
小さな子供だった頃、 セキセイインコを二羽飼っていた。 青羽根で頭が白い子と、 全身が明る…
玉子を買った。 それから隣の野菜のコーナーへ行って、 サラダにするレタスと水菜とひよこ豆も…
素直じゃないけどスイートなきみ。 そんなきみが皮膚の下に隠してる とろりとした甘さが、 ぼ…
ただいま。 玄関の外で大きなため息をついてから、 なんとか取り繕ってドアを開ける。 おかえり。 リビングへ入ると、 夕食の支度をする母の声と テレビの音がした。 私の双子の弟が ソファに寝転がって漫画を読んでいる。 温かくて明るいシーリングライトが、 泣いた目に眩しかった。 何食わぬ顔で手を洗い、 ひとりテーブルにつく。 頬杖をつきながら、 頭の中を素通りするテレビのニュースをただ、 ぼんやりと眺めていた。 いつもなら 母の夕食作りの手伝いをするのだが、 その日はひどく疲