星さらい。#シロクマ文芸部
銀河売りが屋台を引いて僕らの街にやってくるのは、夏の夜と決まっていた。
夕立が引いた後のぬかるみが固まって
少しでこぼこする道を、
屋台はぎしぎしと進んでくる。
屋台の庇に吊るされた銀河入りの袋が
揺れるたびに、
中の星々がこすれ合って
ほろろほろろと音を立てる。
母さんは、
ああもうそんな季節なんだねえ、
と呟きながら、
団扇で風を作っては耳を澄ましていた。
「草市。銀河をひと袋買ってきておくれよ」
母さんは浴衣の帯に捩じ込んであった財布を取り出すと、僕の手に小銭を握らせた