鈴懸ねいろ

綴リスト*エッセイ.小説.空写真。日本左利き協会ホームページにてショートストーリー連載…

鈴懸ねいろ

綴リスト*エッセイ.小説.空写真。日本左利き協会ホームページにてショートストーリー連載中*AJINOMOTO PARK×noteコンテスト『おいしいはたのしい』審査員特別賞。秋の読書感想文コンテスト佳作。ショートショートnote杯佳作。

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記事一覧

サラダをつくる。【詩】

大きな白い琺瑯のボウルに レタスを敷いた 千切りにした紫キャベツと にんじんを盛った ざく切りの水菜と とうもろこしの粒も少し クレソンと赤いミニトマト 黄色いパプリ…

31

夜のお出かけ帰り。

子どもの頃は夜に外を歩くことなんて ほぼなかったのだった。 夕焼けの色がさめて、 空が群青に変わる頃にはもう、 子どもたちは家のなかで 夕ごはんを食べたりお風呂に入…

47

脳よ、静かに眠れ。

本屋には今日もたくさんの本が並んでいた。 著者別の棚から平台までぎっしりと。 本の顔を眺めながら彷徨っていると、 ふと、視線を感じた気がした。 私はたくさんの脳に…

鈴懸ねいろ
12日前
61

思い出を束ねる。

先日のこと。 自宅の本棚の整理をしている時に、 好きな本と再会しました。 いつもは視線が素通りする本でも、 読みたくなるタイミングは突然やってきます。 なんとなく秋…

鈴懸ねいろ
2週間前
55

あなたの人生がfeelin'goodであるように。

誰かに寄り添う方法は 人によってさまざまである。 優しく手に触れたりハグをしたり、 温かい言葉をかけたり、 ただただそっと隣にいたり、 あなたのことをちゃんと見てる…

鈴懸ねいろ
2週間前
85

到来。

鈴懸ねいろ
3週間前
58

季節を招く。

鈴懸ねいろ
3週間前
66

『わたしの知る花』読了。
家族という近しい存在に、本当はこうしてほしかったとかもっと褒めて欲しかったとか、心にしまっていた想いが溢れ出した時。自分願望ばかり並べるけれど、じゃあ自分はそうしてあげていたのかい?と心が尋ねる。そんな気づきをもたらす、それが小説の力なんだと思った。

鈴懸ねいろ
1か月前
48

夏で空に線をひく。

鈴懸ねいろ
1か月前
68

夜のいるか。

鈴懸ねいろ
1か月前
62

夏の布団と天井と。

他の人の家に泊まった時の 夏掛けの匂いが好きだ。 落ち着かないのに好きなのだ。 自分が遠いところに来たのだと実感するのは、 慣れない布団に入った時なのだと思う。 ぱ…

鈴懸ねいろ
1か月前
59

夏雲を捕まえにいく。《エッセイ》

まだまだ暑さは真夏を告げているというのに、 明け方にこおろぎの声を聴いた。 朝の温度がほんの少しやわらいだ。 日の出が遅くなった。 店頭には秋服。 夏服のセールが始…

鈴懸ねいろ
1か月前
67

夏を捕まえにいこう。

鈴懸ねいろ
1か月前
52

スタンダード・サマー

休むことを知らないエアコンが 今日も微かな音をたてている。 窓辺の観葉植物たちにとっても ここは快適なようで、 新しく柔らかい芽をどんどん伸ばしている。 目にも優し…

鈴懸ねいろ
1か月前
53

藤井風さんの新曲Feelin'good
『嵐は』と『私は』.『あらためて』と『温めて』.『と化す』と『溶かす』等歌詞にも遊び心が炸裂している。米のレコード会社との正式な契約発表後最初の楽曲は全編日本語詞。英語が堪能な藤井風さんだがだからこそのこだわりも感じられる。ポップで軽やか

鈴懸ねいろ
1か月前
51

貝殻雲の寄せる海辺で。

鈴懸ねいろ
1か月前
70
サラダをつくる。【詩】

サラダをつくる。【詩】

大きな白い琺瑯のボウルに
レタスを敷いた
千切りにした紫キャベツと
にんじんを盛った
ざく切りの水菜と
とうもろこしの粒も少し
クレソンと赤いミニトマト
黄色いパプリカものせた

今日の出来事をスライスして
フライパンで煎った
少し煙がたつくらいカリカリにすると
今日の出来事はごゅっと縮んで
鼻の奥がツンとする匂いを放った

それでもまだまだしつこく煎って
焦げ目がついたら
色とりどりのサラダにま

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夜のお出かけ帰り。

夜のお出かけ帰り。

子どもの頃は夜に外を歩くことなんて
ほぼなかったのだった。

夕焼けの色がさめて、
空が群青に変わる頃にはもう、
子どもたちは家のなかで
夕ごはんを食べたりお風呂に入ったり、
だらだらとテレビを見たり、
絵本を読んだりしているのが常だった。
夜というのは、
居間を出てトイレに行くまでの
暗い廊下の窓の向こうで
大きな庭木を揺するもの。
あるいは、
布団に入って天井から下がる常夜灯を
黙って見つめる

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脳よ、静かに眠れ。

脳よ、静かに眠れ。

本屋には今日もたくさんの本が並んでいた。
著者別の棚から平台までぎっしりと。
本の顔を眺めながら彷徨っていると、
ふと、視線を感じた気がした。

私はたくさんの脳に囲まれていた。
ここには書いた人の脳みそが
並んでいるようなものなのだ。
誰かが夜通し頭のなかで考えたものが
目に見える文章となり、
本となってここにある。
そのことに少し畏れを感じたのだった。
こんなにもたくさんの書き手がいて、
その

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思い出を束ねる。

思い出を束ねる。

先日のこと。
自宅の本棚の整理をしている時に、
好きな本と再会しました。
いつもは視線が素通りする本でも、
読みたくなるタイミングは突然やってきます。
なんとなく秋が似合いそうで、
そろそろこれが読みたいなと思いながら手に取り
表紙を開きました。
するとそこには



いつ挟んだとも知れない銀杏の葉がありました。
もっと秋が深くなった頃、
いつかの私は銀杏の葉を拾い、
思い出を束ねるようにして

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あなたの人生がfeelin'goodであるように。

あなたの人生がfeelin'goodであるように。

誰かに寄り添う方法は
人によってさまざまである。
優しく手に触れたりハグをしたり、
温かい言葉をかけたり、
ただただそっと隣にいたり、
あなたのことをちゃんと見てるよと
メッセージを伝えようと試みたり。
あの人にとって寄り添うことは、
どこにいても必ず歌を届ける、
ということなのだろう。
ステージが見えない『参加席』の人たちに向けた
巨大モニターが用意されていたことに、
私はひどく心を揺さぶられた

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『わたしの知る花』読了。
家族という近しい存在に、本当はこうしてほしかったとかもっと褒めて欲しかったとか、心にしまっていた想いが溢れ出した時。自分願望ばかり並べるけれど、じゃあ自分はそうしてあげていたのかい?と心が尋ねる。そんな気づきをもたらす、それが小説の力なんだと思った。

夏の布団と天井と。

夏の布団と天井と。

他の人の家に泊まった時の
夏掛けの匂いが好きだ。
落ち着かないのに好きなのだ。
自分が遠いところに来たのだと実感するのは、
慣れない布団に入った時なのだと思う。
ぱりぱりとした麻混のシーツや、
サッカー地のカバーのついた薄い夏掛けと
タオルケット。
客人が来るのだからと
陽の高いうちに寝具を干しておいてくれたのだとわかる匂いに、心遣いを感じる。

いつもの自分の寝床を離れて、
知らない夜のなかにい

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夏雲を捕まえにいく。《エッセイ》

夏雲を捕まえにいく。《エッセイ》

まだまだ暑さは真夏を告げているというのに、
明け方にこおろぎの声を聴いた。
朝の温度がほんの少しやわらいだ。
日の出が遅くなった。

店頭には秋服。
夏服のセールが始まっている。
生き急がされているみたいだ。

だから
今のうちに夏雲を捕まえにいこう。
そうして虫かごに雲を入れて飼い、
雲が膨らんだり
夕立を降らせたり
茜色に染まったりするさまを観察して
絵日記に記そう。

この夏の宿題は
まだ終

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スタンダード・サマー

スタンダード・サマー

休むことを知らないエアコンが
今日も微かな音をたてている。
窓辺の観葉植物たちにとっても
ここは快適なようで、
新しく柔らかい芽をどんどん伸ばしている。
目にも優しいものたちが
気持ちを和ませてくれている。
なんてありがたこと。

たった1枚の窓ガラスを隔てた向こうとこちらでは、環境はまったく違う。
この暑さのなか、
野良猫たちはどうしているのか気にかかる。

この暑さが
特別なものではなくなって

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藤井風さんの新曲Feelin'good
『嵐は』と『私は』.『あらためて』と『温めて』.『と化す』と『溶かす』等歌詞にも遊び心が炸裂している。米のレコード会社との正式な契約発表後最初の楽曲は全編日本語詞。英語が堪能な藤井風さんだがだからこそのこだわりも感じられる。ポップで軽やか