鈴懸ねいろ
自選エッセイをいくつかまとめました。 時々入れ替えたり追加したりしています。
自作のショートショートのマガジンです。
ショートストーリー、ショートショート、短編小説などの創作作品を集めました。
【日本左利き協会】さんにて連載させていただいている ショートストーリーです
音楽に関するエッセイを集めました。
大きな白い琺瑯のボウルに レタスを敷いた 千切りにした紫キャベツと にんじんを盛った ざく切りの水菜と とうもろこしの粒も少し クレソンと赤いミニトマト 黄色いパプリ…
子どもの頃は夜に外を歩くことなんて ほぼなかったのだった。 夕焼けの色がさめて、 空が群青に変わる頃にはもう、 子どもたちは家のなかで 夕ごはんを食べたりお風呂に入…
本屋には今日もたくさんの本が並んでいた。 著者別の棚から平台までぎっしりと。 本の顔を眺めながら彷徨っていると、 ふと、視線を感じた気がした。 私はたくさんの脳に…
先日のこと。 自宅の本棚の整理をしている時に、 好きな本と再会しました。 いつもは視線が素通りする本でも、 読みたくなるタイミングは突然やってきます。 なんとなく秋…
誰かに寄り添う方法は 人によってさまざまである。 優しく手に触れたりハグをしたり、 温かい言葉をかけたり、 ただただそっと隣にいたり、 あなたのことをちゃんと見てる…
他の人の家に泊まった時の 夏掛けの匂いが好きだ。 落ち着かないのに好きなのだ。 自分が遠いところに来たのだと実感するのは、 慣れない布団に入った時なのだと思う。 ぱ…
まだまだ暑さは真夏を告げているというのに、 明け方にこおろぎの声を聴いた。 朝の温度がほんの少しやわらいだ。 日の出が遅くなった。 店頭には秋服。 夏服のセールが始…
休むことを知らないエアコンが 今日も微かな音をたてている。 窓辺の観葉植物たちにとっても ここは快適なようで、 新しく柔らかい芽をどんどん伸ばしている。 目にも優し…
2024年9月16日 21:51
大きな白い琺瑯のボウルにレタスを敷いた千切りにした紫キャベツとにんじんを盛ったざく切りの水菜ととうもろこしの粒も少しクレソンと赤いミニトマト黄色いパプリカものせた今日の出来事をスライスしてフライパンで煎った少し煙がたつくらいカリカリにすると今日の出来事はごゅっと縮んで鼻の奥がツンとする匂いを放ったそれでもまだまだしつこく煎って焦げ目がついたら色とりどりのサラダにま
2024年9月12日 23:20
子どもの頃は夜に外を歩くことなんてほぼなかったのだった。夕焼けの色がさめて、空が群青に変わる頃にはもう、子どもたちは家のなかで夕ごはんを食べたりお風呂に入ったり、だらだらとテレビを見たり、絵本を読んだりしているのが常だった。夜というのは、居間を出てトイレに行くまでの暗い廊下の窓の向こうで大きな庭木を揺するもの。あるいは、布団に入って天井から下がる常夜灯を黙って見つめる
2024年9月6日 15:10
本屋には今日もたくさんの本が並んでいた。著者別の棚から平台までぎっしりと。本の顔を眺めながら彷徨っていると、ふと、視線を感じた気がした。私はたくさんの脳に囲まれていた。ここには書いた人の脳みそが並んでいるようなものなのだ。誰かが夜通し頭のなかで考えたものが目に見える文章となり、本となってここにある。そのことに少し畏れを感じたのだった。こんなにもたくさんの書き手がいて、その
2024年9月2日 16:30
先日のこと。自宅の本棚の整理をしている時に、好きな本と再会しました。いつもは視線が素通りする本でも、読みたくなるタイミングは突然やってきます。なんとなく秋が似合いそうで、そろそろこれが読みたいなと思いながら手に取り表紙を開きました。するとそこには↓いつ挟んだとも知れない銀杏の葉がありました。もっと秋が深くなった頃、いつかの私は銀杏の葉を拾い、思い出を束ねるようにして
2024年8月31日 23:23
誰かに寄り添う方法は人によってさまざまである。優しく手に触れたりハグをしたり、温かい言葉をかけたり、ただただそっと隣にいたり、あなたのことをちゃんと見てるよとメッセージを伝えようと試みたり。あの人にとって寄り添うことは、どこにいても必ず歌を届ける、ということなのだろう。ステージが見えない『参加席』の人たちに向けた巨大モニターが用意されていたことに、私はひどく心を揺さぶられた
2024年8月28日 06:06
2024年8月22日 15:20
2024年8月17日 22:06
『わたしの知る花』読了。家族という近しい存在に、本当はこうしてほしかったとかもっと褒めて欲しかったとか、心にしまっていた想いが溢れ出した時。自分願望ばかり並べるけれど、じゃあ自分はそうしてあげていたのかい?と心が尋ねる。そんな気づきをもたらす、それが小説の力なんだと思った。
2024年8月10日 17:02
2024年8月7日 19:06
2024年8月4日 22:50
他の人の家に泊まった時の夏掛けの匂いが好きだ。落ち着かないのに好きなのだ。自分が遠いところに来たのだと実感するのは、慣れない布団に入った時なのだと思う。ぱりぱりとした麻混のシーツや、サッカー地のカバーのついた薄い夏掛けとタオルケット。客人が来るのだからと陽の高いうちに寝具を干しておいてくれたのだとわかる匂いに、心遣いを感じる。いつもの自分の寝床を離れて、知らない夜のなかにい
2024年8月3日 07:10
まだまだ暑さは真夏を告げているというのに、明け方にこおろぎの声を聴いた。朝の温度がほんの少しやわらいだ。日の出が遅くなった。店頭には秋服。夏服のセールが始まっている。生き急がされているみたいだ。だから今のうちに夏雲を捕まえにいこう。そうして虫かごに雲を入れて飼い、雲が膨らんだり夕立を降らせたり茜色に染まったりするさまを観察して絵日記に記そう。この夏の宿題はまだ終
2024年8月3日 06:50
2024年8月1日 10:10
休むことを知らないエアコンが今日も微かな音をたてている。窓辺の観葉植物たちにとってもここは快適なようで、新しく柔らかい芽をどんどん伸ばしている。目にも優しいものたちが気持ちを和ませてくれている。なんてありがたこと。たった1枚の窓ガラスを隔てた向こうとこちらでは、環境はまったく違う。この暑さのなか、野良猫たちはどうしているのか気にかかる。この暑さが特別なものではなくなって
2024年7月27日 07:28
藤井風さんの新曲Feelin'good『嵐は』と『私は』.『あらためて』と『温めて』.『と化す』と『溶かす』等歌詞にも遊び心が炸裂している。米のレコード会社との正式な契約発表後最初の楽曲は全編日本語詞。英語が堪能な藤井風さんだがだからこそのこだわりも感じられる。ポップで軽やか
2024年7月26日 15:45