ゼロの紙 糸で綴る言葉のお店うわの空さんと始めました。

ダ・ヴィンチ誌でエッセイ連載後、歌集刊行。note公式コンテスト#推したい会社 創作大…

ゼロの紙 糸で綴る言葉のお店うわの空さんと始めました。

ダ・ヴィンチ誌でエッセイ連載後、歌集刊行。note公式コンテスト#推したい会社 創作大賞ベストレビュアー賞受賞。 絵本『どこかでだれかが』を発売中。 ショップはイシノアサミさんのショップ、「きりんの背中」です。⇨https://asami29.base.shop/

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  • 『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

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    メンバーシップ『エッセイのまち』の仲間が見つけたステキなエッセイを保存しています。メンバーの方は、他の方、もしくはご自身のエッセイを自由に追加してください。(エッセイ以外は掲示板の方にお願いします)。どなたがマガジンに追加してくださったのか気になる方は、ともきちまでお問い合わせください。

  • ちいさな言葉の欠片たち(エッセイ)

    あの日のあの言葉って、納得いかないんだけどとか。誰かが言ったちょっといいなって言葉を紹介しながら、まるで日常なエッセイや日記書いています。

  • 【良い小説良い哲学】~「良い小説」と「いい話」を峻別しよう党

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    いい話が世の中溢れています。それはとても良いことだと思います。でもいい話と良い小説は違うのです。いい話は勧善懲悪の水戸黄門です。小説とは美を表現するもの。きれいな小説でもない。じゃあなんだ。それを追求するマガジンです。

  • 言葉が物語になるときを待っているそんなショートショート。

    カフカとか蜘蛛の糸とか赤ずきんちゃんなど、二次創作含めた短い小説発表しています。

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最近の記事

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さびしくならないサラダを探して<第一話>

屋上植物園のようになった<天神屋デパート>の屋上には、半円型の舞台があって、その前にはベンチがいくつか置かれている。それは3列並んでいて背もたれに描かれたペコちゃんマークはすでに錆びていて、すごく末枯れた風情を醸し出していた。  雨ざらしのせいか、さびさびでペコちゃんはもうペコ姐さんって感じで、傷だらけの舌をたらりと垂らしたまま、ずっと屋上のベンチの背もたれにいた。  わたしはここに居るペコちゃんのことが嫌いになれない。ここで年老いていくペコちゃんのことが、まるでじぶんのよ

    • 檸檬のレ。#逆噴射小説大賞2024

       カジモトは焦りが強い時と居たたまれない時決まって心臓のあたりからそのストレスの度合いに応じて檸檬の香りを放つ。  二度目は、メキシコのユカタン半島にあるセノーテという泉を訪れていた時だった。太陽の光がまっすぐ差し込んでいた。青白い光の帯が貫いている。毎年5月と7月の2日間太陽が天頂を通過するらしくその時には泉の中に垂直に光が届くのだ。  その時、急に胸のあたりがこくんと鳴った。鳴った後気づくとメキシコの病院のベッドだった。  医者は言った。 「ボリス・ヴィアンみたいな。ミス

      • 誰かと、出会うということ。

        点と点はいつか線になるっていう言葉は馴染みすぎたぐらいのきらいがあるけれど。 時折、点は点にすぎないのだけど。線につながることもあって。 そう感じたくなる経験も数年に何度かは訪れてくれることがある。 一度出会って今は出会わなくなってしまった人は時々記憶の中の登場人物となって、お茶碗を洗っている水に触れている時やシャンプーしている時など、不意に現れては消えてゆく。 消えてゆくのだけど。 またいつか泡のように記憶が再生する。 10月のはじまり。  不甲斐ない想いをしていた時

        • 【秋ピリカ】わたしを束ねないでください。

          ちいさな紙の束をたばねる。 ちいさな会社のちいさな資料だ。 失くしてしまったとして誰も困らないような そんなささやかな紙の束だ。 はじっこを出来るだけあわせて、ばらばらにならないようにカキンとやる。 紙がすこし分厚い時。 あの指にかかる微かなステープラーの圧力の中には、みえないぐらいの罪悪感が潜んでいる気がする。 紙を束ねているのにいつからかじぶんを束ねているように思ってしまう。 紙谷栞は、名の如くもはや紙なのだ。 名も知れぬ紙だから平気で誰かに束ねられてしまう。 佐伯

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        記事

          たとえ正しくなくても、愛おしい記憶。

          記憶はときどきあやふやになったりしているのに思い出している最中はそれが正しい記憶だったと思っていることもある。 わたしの母は記憶にグラデーションを帯びて来たのが去年あたりだけれど。 今は食事の時以外はベッドの上で過ごしている。 彼女の寝ているベッドからは窓からの借景が見える。 お隣のお隣あたりの赤い屋根が見えるのだけど。 彼女にはその赤い屋根になにかしらのあらたな記憶があるみたいで。 いつも夕方あたりになると彼女のなかにだけあるエピソードを話し出す。 いつも、あの

          かませ犬。#古賀コン

          犬です。 うっかり死んだあとちょっと好きな人の犬に なりました。 この人生悪くないなって思ってます。 職業は噛ませ犬です。 噛ませ犬の「犬」って比喩だと思っていたので必ずしも犬じゃなくてもいいんじゃね? って思ってました内心。 余談ですが。 あ、犬にも内心ってあるんです。 突然ですが 「みんな大好きジャン犬ポン」いう 人気動画があるんです。 ベタ過ぎて草ですが。 今時の犬って、ちゃんとジャンケンできる 子もいるんで。 わたしは人間やってた時から、相手が ジャンケンの時何をさし

          今日も仲良くなれますように。

          食べるという行為はほんとうに不思議だ。 ファミレスのハンバーグランチだって 時には一口一口がじぶんの心に快速急行 ぐらいの速さで効いてくる時がある。 わたしは今、そのことを実感している。 大好きな友人ゆうのうえんさんが毎日畑を 耕しながら作ってくれたお野菜を食べている。 2年前の11月。 彼女がマルシェをしているというので訪れた。 こんな野菜たちが不定期じゃなくて 定期的に我が家にくるとうれしいなって 思っていたら。 彼女が野菜を各家庭に配達するビジネスを 始めたことを

          言葉はどこからやってきて、どこへゆくんだろう。

          この間、ふるい喫茶店で話をしながら。 文章を書く時どんな感じで言葉が 手元にやってくる? みたいな話になっていた。 言葉ってみなさんどこからやって 来るんだろう。 どこで決断してその言葉を選択しようと どんな働きがあって、その言葉を獲得しているのかみたいなことに興味がある。 わたしは短歌をはじめた頃から 言葉はなにも浮かばない。 映像で頭に浮かんでしまう。 浮かんだ映像が頭にあるので、それを こんどは逆に言葉に翻訳している。 そんなふうに答えたような気がする。 最近

          言葉はどこからやってきて、どこへゆくんだろう。

          図書館で長い散歩をしてきました。

          まだまだ夏まっさかりの日曜日。 図書館にいくために待ち合わせした。 この間は七月にそこを訪れた。 街の風景は少しひそやかになっていて。 お祭り風景も浴衣の人たちもだれも そこにはいなかった。 空はまだ入道雲がこれでもかと出ているけど。 街は季節を着替えようとしていた。 同じ町の違う横顔をみたみたいで、すこしだけさみしかった。 図書館に行く前には駅からすぐの昭和テイストばりばりの 純喫茶にはいってランチする。   その純喫茶は二度目なのだけど。 今まで気になりつ

          夏へ短い手紙を書くとしたなら。

          春も秋も冬も。 気がつくと季節はそこにいて。 皮膚感覚として好きとか嫌いとか 色々言ってしまうのが人だけど。 この夏はほんとうに嫌われていて。 わたしもたしかに嫌っていた。 でも夏が終わると思うとどこか 心寂しくなってしまうのは 恒例の気持ちのグラデーションだけど。 いろいろあったね。 この夏、わたしは人に出会うのが楽しくて しかたなかった。 むかし引きこもっていたわたしにも 教えてあげたいぐらいだ。 母の介護らしきものが生活のなかに 馴染んでやっと四カ月半。 母

          しあわせなピリオドと、はじまりと。

          ①はじめて夏バテみたいなものを経験して。 体調というものは簡単に崩れてしまう ものなんだなって思っていたら、もう9月に いつのまにかなっていて。 その間にお知らせしなければいけなかった ことなどごてごてになってしまっていました。 去年の11月にイラストレーターのイシノアサミさんと ご一緒した絵本、「どこかでだれかが」が BASEにてようやっと完売いたしました。 ゆっくりやっていきましょうねってふたりで 約束していたので、ほんとうに最後の一冊が 在庫としてゼロになったとお

          夏風邪と三ツ矢サイダー。

          あーって扇風機の前で言ってみる。 あーってふるえる声が辺りに放たれる。 蝉が鳴いていた。 いつか網戸に蝉がくっついていて、部屋中に 蝉の声が鳴り響いていた。 あんなに思い切りなにかを言えたらすっきり するだろうなって夏の蝉に勝手に憧れる。 あー風邪ひいたかもしれん。 大学の終りの夏。 卒論疲れを感じていたわたしは 身体だけが取り柄だったはずなのに風邪をひいて、彼の部屋で悔しがっていた。 おでこに手をやるんじゃなくて、おでこで熱を測るあれをやってくれて、すこしだけお

          「安全な場所に居続けてください」、もうひとつの意味。

          もうひとつまえの台風が、やってくるとテレビのニュース 番組でアナウンスされていた時に、耳に止まったのが このフレーズだった。 安全な場所に居続けてください。 もちろんこれは災害に向けての命を守るための文言だし。 この文章の意味以上の意味はないのだけど。 わたしはすぐに思った。 ほんとうに、そうしたいと。そうありたいと。 Xとかを柄にもなくはじめてみたのが二年前だった けれど。 やり始めてみると、やたら内省するようになっていた。 内省し始めると、わたしのメンタルは

          「安全な場所に居続けてください」、もうひとつの意味。

          デーモン笹ヶ瀬の夜はふけて

          こちらの面白そうな企画に参加させて頂いています。素敵な企画をありがとうございます! ゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚*。,。*゚ 桃山台駅で降りる。シースルーエレベーターで直行しようと思ったけれど、 その前に明日終わってしまうらしい移動式カフェ<マンダリン>に寄って、最後のテイクアウトをしようかと思う。こういうのを良心っていうのか、社交っていうのかよくわからん。けれど。今までありがとうおいしかった的な会話を頭ん中でシ

          大人びた気持ちを夏の栞にして。

          時間が後戻りしたような純喫茶店にわたしたちはいた。 むかしの昭和の家庭にあったような、ひものついた 電球がふたりの客席の頭上にあって。 そのひもは引っ張ってはいけないのですよといわん ばかりに、くるんとその半円級の丸みにそって ちょんと上の方にしまわれていた。 その駅に着いた時から街はにぎやかで。 阿波踊りが催されることになっているお知らせや ブース、出店などが通りに沿って設置されていた。 店内の窓側の席。 すこしくすんだ曇りの日にみるような曇ったガラス 窓の下には浴

          あやまちに馴染みたい、夜だった。

          罪とは言わないまでも、その場所に居る人に とってはちょっとした心地よくないことを してしまうことってある。 どうしてそんなふるまいをしてしまったん だろうって、忸怩たる思いに駆られることも ある。 じくじたるってほんとうに凹んできそうに、 重たい漢字だな。 ほんとうは全然違うことを書こうと思って いたけど。 この間、大好きな作家の方がもうこの世には いらっしゃらないお知らせをTwitterで 知って。 あの話に出会いたいと㏚誌「花椿」をめくっていた。 <過ち>につ