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言葉が物語になるときを待っているそんなショートショート。

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カフカとか蜘蛛の糸とか赤ずきんちゃんなど、二次創作含めた短い小説発表しています。
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固定された記事

卒業式の朝、甘酸っぱい匂いがした。

酸っぱいっていうのは、カイコウする匂い。 暗室の向こうから、少しだけくぐもった声が聞こえ…

デーモン笹ヶ瀬の夜はふけて

こちらの面白そうな企画に参加させて頂いています。素敵な企画をありがとうございます! ゚*。…

犬に似ていた人生だった。

昔から、鏡がきらいだ。 映るもの、写すものが苦手なのかもしれない。 高校生の時もほとんど鏡…

完璧な日曜日がそこにいるために。

日曜日がそこにいるためには、日曜日以外の他の 曜日がそこに存在しなければいけないと、白井…

マリアナ海溝の蟻

アスファルトに誰かが捨てたガムがたまたまここにあって、俺の因果か横たわる。アスファルトの…

読む時間は、君がいつも遠くなる。

読む時間があの人を奪ってゆく。 栞は柚樹と待ち合わせをしていたとき 彼はひとりで本を読ん…

文化祭なんて、知らない。

文化祭で立ち回ることが得意な人はきっと 社会に出てもうまくやっていけるんだろう なって、栞は思っていた。 クラスのみんなのことは嫌いじゃない。 でもみんなのことが好きなわけでもない。 栞は萩さんが苦手だった。 萩さんは文化祭のテーマを決めようってことに なったときも、やりたいことのひとつも言えない ようじゃ話にならないって、一人で怒りだした。 栞はこういう人、苦手だなって思った。 正義を叫びそうでこわかった。 文化祭はとかくもめるもの。 それは先輩から聞いてい

黄昏てゆくヒマワリ。

ヒマワリへっていつか手紙を書いてみたかった。 わたしは夏の空の下そんなことを思っていた。…

水平線に、堕ちてゆく。

音楽を聞いてる時、きゅっきゅっと 胸が少しずつまんりきでしめつけ られてるような気分になる…

好きになってくれる人なんて、永遠にいないと想っていた。

文芸部って聞くとだっせーってずっと思ってた。 ボール蹴ってる方がましじゃね?とか思ってた…

最後の記憶、最後のマスカラ。

長いとか短いとかどっちでもいい。 まつげの長さで人を好きになるんじゃない。 そんなに長く…

平和という言葉が、ここにあるということ。

平和とは。 平和とはからはじまる思いを述べよとゼミの 課題が出ていた。 栞は、マグカップ…

迷ったら、観覧車に乗って。

あらすじ  水を張ったボウルの中でブリのえらをゆすぐ爽の長い指が、時々もてあましてるよう…

救われましたなどと2度と言わない。

街クジラがこの街にやってきたのは 栞が生まれる前だったらしい。 街クジラはひとりぼっちである日 発見された。 栞の住む町はGoogleにも把握されて いないような街だけど。 かつてその砂浜に打ち上げられた。 街クジラが砂浜にうちあげられたとき そのとき恋人だったひとたちはみんな 夜中に砂浜に駆けつけたらしい。 今は誰も訪れなくなった坂の上の街の写真館の ショーケースにミイラみたいになって 飾られている。 そしておんなじ日にとある街では ビルとビルの間に人がはさまっ