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酸っぱいっていうのは、カイコウする匂い。 暗室の向こうから、少しだけくぐもった声が聞こえ…
日曜日がそこにいるためには、日曜日以外の他の 曜日がそこに存在しなければいけないと、白井…
アスファルトに誰かが捨てたガムがたまたまここにあって、俺の因果か横たわる。アスファルトの…
読む時間があの人を奪ってゆく。 栞は柚樹と待ち合わせをしていたとき 彼はひとりで本を読ん…
文化祭で立ち回ることが得意な人はきっと 社会に出てもうまくやっていけるんだろう なって、栞…
ヒマワリへっていつか手紙を書いてみたかった。 わたしは夏の空の下そんなことを思っていた。…
音楽を聞いてる時、きゅっきゅっと 胸が少しずつまんりきでしめつけ られてるような気分になることがある。 高い場所からずりずりと堕ちてゆく ような感覚が垂直に訪れたそのせつな きゅっとした気持ちが水平に距離を 縮めて。 そのふたつの線がどこかで 交わってしまった時 あぁこの曲好きってなる。 これは人でも同じだ。 かつて義理の兄だったことがある人が シャンパンと共に現れた。 4つ上の彼の宇宙はよくわからないのに 栞の部屋の本を見つけては これ借りていい?と愉し気に抱えて
文芸部って聞くとだっせーってずっと思ってた。 ボール蹴ってる方がましじゃね?とか思ってた…
長いとか短いとかどっちでもいい。 まつげの長さで人を好きになるんじゃない。 そんなに長く…
平和とは。 平和とはからはじまる思いを述べよとゼミの 課題が出ていた。 栞は、マグカップ…
あらすじ 水を張ったボウルの中でブリのえらをゆすぐ爽の長い指が、時々もてあましてるよう…
街クジラがこの街にやってきたのは 栞が生まれる前だったらしい。 街クジラはひとりぼっちで…
海砂糖を栞はからだの中に飼っている。 いつ頃からなのかわからないけれど。 あれはあの時か…
銀河売りがこんなに流行する前。 宇宙飛行士として地球をみてきた ひとりの学者と栞はつきあっていた ことがある。 彼は「銀河はラズベリーの香りがする」 といつも言っていた。 栞はその世界に明るくない。 でもずるいよな。 銀河にラズベリーをくっつけてくるなんて ずるいのだ。 宇宙と書いてひろしと読ませる彼の人生は ほとんど軌道からはずれたことがない。 勉強が趣味のようになって、宇宙という名前の とおりに宇宙飛行士になって。 宇宙を愛しすぎたのだ。 彼の友達もひろしと