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原点は存在する ー 詩人 谷川雁の思想
もし、詩人の創り出す言葉に言霊があるとすれば、間違いなくその詩人の詩は思春期の私のうちにも突き刺さった。
難解なメタファーに翻弄されながらも、私は詩という表現の中にある痛快さにしんから心打たれたのである。
それが谷川雁である。
谷川雁はその詩「東京へ行くな」でこう宣言する。
ふるさとの悪霊どもの歯ぐきから
おれはみつけた 水仙いろした泥の都
波のようにやさしく奇怪な発音で
馬車を売ろう 杉
今こそアヒンサーという旗をかかげろとは、幻想なのか?
今頃になって、死んだじいちゃんの事を思い出している。
じいちゃんと言っても、自分自身もじいちゃんになりかけているのだから、もうずいぶん、昔の事だ。
父方のじいちゃんは、私が中学生の時に死んだし、一緒に暮らしていたわけでもないから、特に際立つ思い出があるわけではない。
ただ、このじいちゃん、会うたびに、誰かに似ている、と子供心にいつも思っていた。
じいちゃんは根っからの百姓で、決して豊かな暮ら