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なつきの詩集

23
自分で作った詩をまとめています。
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記事一覧

現代詩)ホットミルク

現代詩)ホットミルク

牛乳に張った白い膜を煩わしく思いながら
寒空の下でホットミルクを飲む

乾燥した空気が
私の背景に滲む時

沈むその全体の空の色は
何度見ても初めて見るグラデーションだ

温くなってくる残りわずかなミルクと
暖かくなってくる身体の火照りは

いつか習った反比例のグラフのように
放物線をなぞっている

数字が羅列し、
計算され尽くした世の中は
私にはもう息苦しくてたまらないのに

新しいモノを発見す

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現代詩)円

現代詩)円

絶えまない彼女の瞳は地球の裏側をみて

揺るぎない彼の眼差しは地球の表側をみる

ふたりの視線は交錯していく

だ円状の形を繕って

ふたりの視線は交錯していく

しかし見ている先は一緒でも決して交わる事ができない

地球の裏側では彼女が泣いている

地球の表側では彼が憤っている

一枚のプレートが鏡のように反射する

私は貴方で、あなたはわたしだ

地球で風がひょうと吹く

さっと一瞬だけふたり

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現代詩)森羅万象

現代詩)森羅万象

世界はいつだって平和なのに
平和じゃなかったのは
いつだって私の心だった

自然も小さな生き物も
ただそこにあるだけで
最初から最後まで人生を全うしているのに

地球のサイクルに自然に従っていれば
私たちはいつだって平和に過ごせるのに

人間の心の曇りが森羅万象の枠から
外れてむやみやたらに争いを好むのだ

進化の過程を経て
ピラミッドの頂点に君臨した
私たち生き物なのに

屠殺される家畜みたいな

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君が泣くから私も泣くのか
私が泣くから君も泣くのか

君が泣くから雨が降るのか
雨が降るから君が泣くのか

何のために泣くのか
自分のための涙なのか
他人のための涙なのか

押し寄せる感情が
涙と流れて

打ち付ける落雷のあとに
それは消えていった

後に残るのが沈黙だけであるように
私はただ祈った

青春〜子ども時代〜

青春〜子ども時代〜

澄んだ目がこちらを見つめてくる 

私が遠い昔に置いてきてしまった

その眼差し

その瞳 

郷愁の想いに駆られ

必死に過去を思い出そうとしても、  

決して思い出すことができない

あなたのような純粋で無垢な感情は

私が既に失ってしまったものだ

眩しいくらいの笑顔が

こちらを振り返ってくる

私があの希望に満ち溢れていた日々に 

置いてきてしまった  

その笑顔 その口元

あな

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運命

運命

運命は残酷だ

これが私が望んだ事なのか

それとも神が啓示した使命なのか

私は一体何者で何なろうと必死にもがいているのか

カチリカチリと歯車が組み合わさる音が背後から迫ってくる

それから逃れようともがく程それはひたひたと背後から近づいてくる

私はただ怖いのだ 怖くて怖くて不安で眠ることができない

これから一体なにが起ころうとしているのか

私に何をしろというのか

私は私でいたいのに、

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自己同一性〔アイデンティティ)

自己同一性〔アイデンティティ)

「第一楽章」母の祈り

私という存在は何処にあるのだろうか

[私の幸福]というたった一つの欲望の為に私は、私が持っている全てを犠牲にしたきた 

時には人を利用し騙したこともあったかもしれない 

騙したといえば私は私自身も騙し続けているのではないか 

私が悪魔に売り渡したモノの名前がどうしても思い出せない

色欲と怠惰の合間に私が見た夢がどうしても思い出せない

今こうして金も家族も地位も手

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飛翔

飛翔

早朝の雲一つない青空

小鳥の囀り(さえずり)に囲まれて
有るはずの見えない月を想う

霜降る寒い冬は
まだ来ぬ春の匂いを感じさせて

林檎のように真っ赤に染まった頬は
過ぎ去った子供時代を思い出させる

私はいつだって
この巡ってくる季節と共に

時代も、地球も、時には宇宙にだって
飛んでいってしまうんだ

周りのみんなは口を揃えて
私が可笑しいと鼻で笑うけど

こんな嘘みたいな世界にいながら

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平和への祈り

平和への祈り

天から7色の光が降りて来て
その光の粒が私の周りに広がっていって
大空に黄金のカーテンを創る

凍るほどの極寒の夜空の下で
私は耳に手を当てながら
その光の粒を目で追いかけている

地上から青い炎が舞い上がって
白い霧が私の周りに広がっていって
大空に銀白のカーテンを創る

焼けるほどの暑い大気の中で
私は額の汗を拭いながら
その白い霧に必死に両腕を伸ばしている

棟梁大工詩

棟梁大工詩

わっしょっいわっしょっい
わっしょっいと
じんせいいっかいきりときまってら

よるにはいっしょうさけくらい
おてんとさまがあがったら
ぐいっとたまごをのみこんで

おやかたおれがいちばんのり
きょうもすみもて かなづちと

ぼうしをかぶりそでめくり
つかいふるしたくろたびで

まるたのやまとごたいめん
でっかいのこぎり ゆびきるな
みがきあがったかんなもて

とんかちとんかち おとならせ
どっこ

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ゆらゆらと

ゆらゆらと

ゆらゆらと
ゆらゆらと蝋燭な火が燃えている
ゆらゆらと灯りが付いている

最後の夜 裸になりお風呂に入り向き合った私たちは限界地点まで到達していた

もう崩壊は終わり向けて走っていた

淋しさを求めつづける君の隣にいるのはもう無理なんだ
いくら僕が愛情で包んでもすり抜けて透明になってしまう
これからは世間が君の孤独で侵食されていくだろう
君が認められたら僕だけではない世間が限界地点まで行くのもすぐ

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ハレルヤ ハレルヤ

ハレルヤ ハレルヤ

私の思いに呼応するように幾度も
太陽の瞬きがハレルヤ ハレルヤと

おお、神が応えてくれているのか

ああ、それとも悪魔の囁きなのか

私にはどちらなのか一生分からないだろう

存在自体が原罪だと下されたあの日から

私の如何なる行動も虚無になり

死さえも許されない罪人であり

終わりのない苦しみと共に生きている

かけがえのないあの人を手放せば
少しは楽になるのだろうか

それでもあの日聞こえ

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秋の夜

秋の夜

夜の帳とともに降る
鈴虫の旋律よ
耳を傾け今日も私は夢をみる

思えば夏の始まりは
蛙の合唱よ
そっと目を閉じ私は息を飲む

喉の奥が締めつけられる予感
うなじから垂れる汗

真夜中のエアコンの軋む音が
生きてる証のような導音で
私を飲み込むのだ

ぐるりぐるりと周る意識の奥底に
私が置いて行った自我を見つけ

手を伸ばしすくい取ろうした瞬間
それは泡みたいに儚く消えてしまう

上下に分かれたあ

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