東京銀座TRA3

銀座から日本文化を元気にする「銀座花伝」プロジェクトでの活動や、銀座に巻き起こる文化w…

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銀座から日本文化を元気にする「銀座花伝」プロジェクトでの活動や、銀座に巻き起こる文化waveの数々をお伝えしていきます。◆東京銀座TRA3公式サイト→http://tra3.jp/ ◆facebook→https://www.facebook.com/rieko.iwata3

記事一覧

「街の奇妙な出来事」 中編   銀座花伝MAGAZINE Vol.58

#街を救う #謎解き #散策ミステリー #インサイト #ヒエログリフ 秋が始まる、晩夏と初秋の間。お気に入りの場所は、銀座中央通り4丁目にある外階段が見事なビル…

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3週間前
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「街の奇妙な出来事」 前編  銀座花伝マガジンVol.57

# 人が消える     #  街を救う      # 謎解き    #散策ミステリー 輝かしさの裏には必ず影がある。美しいものの裏には必ず闇がある。古代から伝わるそんな言い…

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1か月前
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修道士と哲学者 ーサステナブル商人  銀座花伝MAGAZINE Vol.56

#サステナブル商人 #サンタ・マリア・ノヴェッラ #クチネリ社       街そのものを会場にして繰り広げられている、2024パリ五輪。開会式を見ながら、都市という…

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2か月前
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「チェア」と見つけた 僕の庭(soul)         銀座花伝MAGAZINE Vol.55

#庭の哲学 #ソウルメイト#チェアと散歩#松下幸之助#屋上庭園#SONY まるで人を帰したくないように降る雨。銀座の街にも、そんな豪雨が降り注ぐ日がある。 「あいにく…

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3か月前
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センスが良くなる 街体験  銀座花伝MAGAZINE Vol.54

#センスが良くなる #街体験#ヘタウマ#日本工芸文化#柳宗悦#用の美  ハナミズキのピンク色は、「薄赤紫」だという。銀座松屋通りに咲き誇る花びらを見上げながら、通…

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4か月前
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直感に「聴く」ー時間を受け入れる聴き方   銀座花伝MAGAZINE Vol.53

#聴く力 #宇野千代は聞き手名人#俵屋宗達のうつし#本居宣長の直感 春といえば、心浮き立つ春爛漫な季節というイメージであるが、「春愁」とも言われる、なんとなく気持…

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5か月前
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ある日のレトロ映画館         銀座花伝MAGAZINE Vol.52

#レトロ映画館 #シネスイッチ#食卓#ベルエポック#美食ポトフ この街にはいくつもの顔があるけれど、かつて「映画の街」だった面影は今は遠い日の記憶になりつつある。…

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6か月前
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じっと抱きしめて 与謝野晶子と月光荘   銀座花伝MAGAZINE Vol.51

#与謝野晶子 #月光荘 #じっと抱きしめて愛す #はかなさの美学 立春から春分の間に吹く、暖かい南からの強風、いわゆる「春一番」。今年は暦よりはるかに早く銀座の…

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7か月前
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「聖地」の深淵へー生きている山東京伝 銀座花伝MAGZINE Vol.50  

#聖地 #山東京伝 #江戸文化 #粋 #石田梅岩 #浮世絵 #黄表紙 江戸時代に檜舞台が許されていたのは、能や歌舞伎の幕府公認の劇場だけだったようだ。檜舞台に立つ…

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8か月前
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『歩く哲学』 ありふれた日常を変える街体験   銀座花伝MAGAZINE Vol.49

#歩く哲学 #街歩き #大人の童話 #ありふれた日常を変える #アリストテレス 銀座4丁目の和光のウインドウに、白龍のオブジェを発見して、「そうか来年の干支は辰だ…

東京銀座TRA3
9か月前
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蝋燭能 世阿弥の平家物語          銀座花伝MAGAZINE Vol.48

#世阿弥 #平家物語 #小宰相局 #能     #通盛 #夫婦愛 #坂口貴信 12月は「限りの月」。一年の最後を飾る呼び名そのままに、銀座4丁目のライトアップは限りを尽…

東京銀座TRA3
10か月前
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『いのち短し、恋せよ』 銀座花伝MAGAZINE Vol.47

 #  宝石物語     # カルティエ  #  ティファニー #ブルガリ #MIKIMOTO                 「宝石は磨かなければ光らない。人は試練がなければ完成しない…

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能役者 坂口貴信 能舞台名場面ギャラリー 銀座花伝MAGAZINE Vol.46 《特別編》

#能役者 #坂口貴信 #名場面 #写真ギャラリー #世阿弥 【はじめに】 第11回「坂口貴信之會」公演開催にあたり、2022年9月の「坂口貴信之會」以降に師がシテ方を勤…

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わたし式 「ヌン活」 のススメ 銀座花伝MAGAZINEVol.45

#ヌン活 #英国式の洗礼 #格式と解放 #能 「卒都婆小町」レビュー 銀座が黄昏(たそがれ)に染まる時間が待ち遠しい、熱射の夏陽が続く毎日、通りを歩く人々からそん…

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シン・五感散歩のススメ 銀座花伝MAGAZINE Vol.44

銀座中央通りを歩いていると、「舗道が広いな」と感じます。この時人は無意識に「人間を大事にしている」という印象を持つのだそうです。そういう意味で、銀座の歩行者天国…

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ギンザ ウォーズ 銀座花伝MAGAZINE vol.43

# 町を救う #AI音声攻撃 #7人の勇者たち     #メタフィクション #B面 街のイメージが「高級で、高価」と歪められ、敷居が高くて近寄りづらいと遠ざけられてきた、…

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「街の奇妙な出来事」 中編                      銀座花伝MAGAZINE Vol.58

「街の奇妙な出来事」 中編   銀座花伝MAGAZINE Vol.58

#街を救う #謎解き #散策ミステリー #インサイト #ヒエログリフ

秋が始まる、晩夏と初秋の間。お気に入りの場所は、銀座中央通り4丁目にある外階段が見事なビルの5階あたりだ。
日曜日などにそこに登ると、歩行者天国には深緑のパラソルが規則正しく並んでいて、その色は秋の日差しを含んでそこだけ稠密に見える。まるでミニチュアのように往来する人々。犬の散歩を兼ねて、パラソルの下に佇む白髪の女性。秋の風情

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「街の奇妙な出来事」 前編                         銀座花伝マガジンVol.57

「街の奇妙な出来事」 前編  銀座花伝マガジンVol.57

# 人が消える     #  街を救う      # 謎解き    #散策ミステリー

輝かしさの裏には必ず影がある。美しいものの裏には必ず闇がある。古代から伝わるそんな言い伝えを、街の片隅で感じることができる。表通りには光を、裏通りには暗を人々は体感しながら街を散策するからだ。

夏から秋に時を移すほんの束の間、時に「暗」が頭を持ち上げて、奇妙な物語を行き交う人々に語りかけてくる。

そんな稀

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修道士と哲学者 ーサステナブル商人         銀座花伝MAGAZINE Vol.56

修道士と哲学者 ーサステナブル商人  銀座花伝MAGAZINE Vol.56

#サステナブル商人 #サンタ・マリア・ノヴェッラ #クチネリ社

     

街そのものを会場にして繰り広げられている、2024パリ五輪。開会式を見ながら、都市というのは、「文化の集積」なのだという実感で胸が熱くなった。さらに、環境を破壊する行為を極力慎み、歴史が遺してきた建築物を別視点から活かすことで、新たな魅力や楽しさを提供している。改めて、サステナブルとは何かを問われている気がするのは、筆

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「チェア」と見つけた 僕の庭(soul)         銀座花伝MAGAZINE Vol.55

「チェア」と見つけた 僕の庭(soul)         銀座花伝MAGAZINE Vol.55

#庭の哲学 #ソウルメイト#チェアと散歩#松下幸之助#屋上庭園#SONY

まるで人を帰したくないように降る雨。銀座の街にも、そんな豪雨が降り注ぐ日がある。

「あいにくの雨」などとつい口にしてしまうと、8丁目で江戸醤油を商う老舗の主人はこんな言葉をかけてくれる。

「天が味方してくれたんだ、って考えるといいですよ」

「恋人を帰したくない、から転じて留客雨(りゅうきゃくう)なんて言いますでしょ。雨

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センスが良くなる 街体験                       銀座花伝MAGAZINE Vol.54

センスが良くなる 街体験  銀座花伝MAGAZINE Vol.54

#センスが良くなる #街体験#ヘタウマ#日本工芸文化#柳宗悦#用の美 

ハナミズキのピンク色は、「薄赤紫」だという。銀座松屋通りに咲き誇る花びらを見上げながら、通りにあるお香専門店の主人がささやいた。

〜紫の ひともとゆゑに むさし野の 草はみながら あはれとぞ見る〜

「古今和歌集の歌ですけどね、紫が一本あるだけで、武蔵野の草のすべてが
いとおしく思われる・・・と詠んでいます。紫は、古代、最も

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直感に「聴く」ー時間を受け入れる聴き方   銀座花伝MAGAZINE  Vol.53

直感に「聴く」ー時間を受け入れる聴き方   銀座花伝MAGAZINE Vol.53

#聴く力 #宇野千代は聞き手名人#俵屋宗達のうつし#本居宣長の直感

春といえば、心浮き立つ春爛漫な季節というイメージであるが、「春愁」とも言われる、なんとなく気持ちの晴れない憂いを感じるのもまた春である。

古代の詩人が「鶯は啼き、ツバメは語り、ともに人を悲しくさせる」と詠む詩の背景には、「時間の推移をそこに感じ取る」感性があるからだとその理由を教えてくれる。

銀座の街路樹に枝垂れ柳の新緑や、ハ

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ある日のレトロ映画館         銀座花伝MAGAZINE Vol.52

ある日のレトロ映画館         銀座花伝MAGAZINE Vol.52

#レトロ映画館 #シネスイッチ#食卓#ベルエポック#美食ポトフ

この街にはいくつもの顔があるけれど、かつて「映画の街」だった面影は今は遠い日の記憶になりつつある。
名画座がすでに消えた現代にあって、「ミニシアター」の申し子として再登場し、世界の隠れた名画を発掘し上映する老舗映画館がこの街には今も在る。銀座4丁目のガス灯通りにある「シネスイッチ」である。
映画好き女子ならば足繁く通わずにはいられない

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じっと抱きしめて 与謝野晶子と月光荘   銀座花伝MAGAZINE Vol.51

じっと抱きしめて 与謝野晶子と月光荘   銀座花伝MAGAZINE Vol.51

#与謝野晶子 #月光荘 #じっと抱きしめて愛す #はかなさの美学

立春から春分の間に吹く、暖かい南からの強風、いわゆる「春一番」。今年は暦よりはるかに早く銀座の街路樹の葉を揺らしている。

この街では街路樹以上に街路灯のフラッグが大きくはためいている景色の方が印象に残る。「2024.3.3  TOKYO マラソン」の文字が、人々を鼓舞するように上下左右に大きくたなびいている。WAKOの半円形のウ

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「聖地」の深淵へー生きている山東京伝 銀座花伝MAGZINE Vol.50  

「聖地」の深淵へー生きている山東京伝 銀座花伝MAGZINE Vol.50  

#聖地 #山東京伝 #江戸文化 #粋 #石田梅岩 #浮世絵 #黄表紙

江戸時代に檜舞台が許されていたのは、能や歌舞伎の幕府公認の劇場だけだったようだ。檜舞台に立つと云うのは、一流として認められること。香り高く高貴さを漂わせる檜の木は、それにふさわしい者だけが立てる場だったのだろう。銀座にはそんな特別な場所が、観世能楽堂と歌舞伎座と揃って2箇所ある。

そして、街全体は「商人の檜舞台」とも言われる

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『歩く哲学』 ありふれた日常を変える街体験                               銀座花伝MAGAZINE Vol.49

『歩く哲学』 ありふれた日常を変える街体験   銀座花伝MAGAZINE Vol.49

#歩く哲学 #街歩き #大人の童話 #ありふれた日常を変える #アリストテレス

銀座4丁目の和光のウインドウに、白龍のオブジェを発見して、「そうか来年の干支は辰だった」と登龍に願いを込めてじっくり眺めてみる。

銀座5丁目、晴海通りのファッションブランドDiorの跡地に登場した小さなオニツカタイガーの蛍光イエローのえんぴつ店舗ビル。両サイドを海外のブランドに挟まれて窮屈そうな風景ではあるが、「日

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蝋燭能 世阿弥の平家物語          銀座花伝MAGAZINE Vol.48

蝋燭能 世阿弥の平家物語          銀座花伝MAGAZINE Vol.48

#世阿弥 #平家物語 #小宰相局 #能     #通盛 #夫婦愛 #坂口貴信

12月は「限りの月」。一年の最後を飾る呼び名そのままに、銀座4丁目のライトアップは限りを尽くしての豪華な趣向の舞台が始まるかのようだ。

中でも日本の伝統工芸・綴織をモチーフとして建てられたGINZA PLACEビルは、雪とクリスマスをテーマに赤く輝くオーナメントを思わせる装飾が施されていて、どこかほっこりとした和と洋

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『いのち短し、恋せよ』 銀座花伝MAGAZINE Vol.47

『いのち短し、恋せよ』 銀座花伝MAGAZINE Vol.47

 #  宝石物語     # カルティエ  #  ティファニー #ブルガリ #MIKIMOTO                

「宝石は磨かなければ光らない。人は試練がなければ完成しない」

有名な孔子の言葉だ。
磨き抜かれた宝石たちが世界中から集まるこの街のハイ・ブランド・ジュエリーの店内では、おもてなしの鍛錬を受けたコンシェルジュたちが「宝石の物語」を披露してくれる。熟達したもてなしの姿は、孔

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能役者 坂口貴信   能舞台名場面ギャラリー 銀座花伝MAGAZINE Vol.46 《特別編》

能役者 坂口貴信 能舞台名場面ギャラリー 銀座花伝MAGAZINE Vol.46 《特別編》

#能役者 #坂口貴信 #名場面 #写真ギャラリー #世阿弥

【はじめに】
第11回「坂口貴信之會」公演開催にあたり、2022年9月の「坂口貴信之會」以降に師がシテ方を勤められた能舞台の中から、感動を呼んだ3舞台の名場面より写真と解説(レビュー含む)をお届け致します。現代の能楽界にあって、師の「技によって技にとらわれない」超絶表現、心動かされる優美な謡、時に気魄を生む仕舞の芸術性は驚きの進化を遂げ

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わたし式  「ヌン活」  のススメ                                        銀座花伝MAGAZINEVol.45

わたし式 「ヌン活」 のススメ 銀座花伝MAGAZINEVol.45

#ヌン活 #英国式の洗礼 #格式と解放 #能 「卒都婆小町」レビュー

銀座が黄昏(たそがれ)に染まる時間が待ち遠しい、熱射の夏陽が続く毎日、通りを歩く人々からそんな言葉が洩れる。うっすらとした影が街に落ち始めると、中央通りのウインドウにスポットライトが灯り、色とりどりのイルミネーションがひとつふたつと輝き始める。この街が一番幻想的な雰囲気に色づく時間である。

「黄昏」とは、古くは「たそかれ」、江

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シン・五感散歩のススメ 銀座花伝MAGAZINE Vol.44

シン・五感散歩のススメ 銀座花伝MAGAZINE Vol.44

銀座中央通りを歩いていると、「舗道が広いな」と感じます。この時人は無意識に「人間を大事にしている」という印象を持つのだそうです。そういう意味で、銀座の歩行者天国は車道までも舗道になり「街が人のためだけにある世界」を私たちに提供してくれます。
その歩行者天国も緊急事態宣言で長く遠のいた時期がありました。3年のコロナ禍の混沌生活で気づいたのは、資源があるかどうかということはそれほど重要ではなくて、今あ

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ギンザ  ウォーズ 銀座花伝MAGAZINE vol.43

ギンザ ウォーズ 銀座花伝MAGAZINE vol.43

# 町を救う #AI音声攻撃 #7人の勇者たち     #メタフィクション #B面

街のイメージが「高級で、高価」と歪められ、敷居が高くて近寄りづらいと遠ざけられてきた、銀座の街。経済基盤が弱められた街の上積みだけを掬い取ろうとする大資本によって、今、街の本来の姿が見失われようとしている。

そこには、商いをする人々の人間としての感情が流れていたはずである。声を上げた人々の声は弾き飛ばされ続けてき

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