若月房恵

自分の言葉で、イエス・キリストと暮らす現実について書きたいと思っている、本の虫なクリス…

若月房恵

自分の言葉で、イエス・キリストと暮らす現実について書きたいと思っている、本の虫なクリスチャン。海辺に住んでいる信州マニア。

マガジン

  • 本の虫12カ月

    2024年、今年こそは読んだ本をぜんぶ記録する(たぶん)

  • 読書録

    本棚を見せることは、わたしにとって自己紹介のようなこと

  • 目にはみえない話し

    寓話のように、目にはみえない、キリストとの関係を書いた話し。フィクションでもないし、エッセイとも言えない。

  • 会津 (朝敵の子孫)

    戊辰戦争から数えて五代目

  • キリストと生きる日常について (散文)

    ただイエス・キリストと生きているわたしの日々を、誠実に、飾ることなく、じぶんの言葉で書くことが出来たなら。

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固定された記事

All is well

 いつの頃からだろうか。どんな愚痴を牧師に宛てて書いても、「All is well」としか返ってこないようになった。  牧師に愚痴を言うなんて、ですって?  そう、わたし…

若月房恵
3か月前
31

本の虫12カ月 6月

 会社を定年退職したら、 と夢想するサラリーマンみたいに、 ゆっくり本が読めるようになったら、 と思っている、毎月々々。 時間がないとかいう訳ではなくて、 世界が読…

若月房恵
2日前
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よるの臨在

*  よる、あのかたがいらした。声もださずに、わたしは「死んでしまいそう」と「愛してます」ばかりを繰り返した。   ふと思いが逸れて、せっかくキリストが、傍にい…

若月房恵
4日前
13

会津のはなし

*  平凡なわたしには、物語とてないけれど、いつ思い出しても、胸をつまされるような、悲惨で、うつくしいものがたりがひとつある。生きて体験したわけではないのに、わ…

若月房恵
7日前
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よめいり どうぐ

 『身、ひとつでいらっしゃい』  あのかたが、そうおっしゃったような気がして、その意味を考えている。いつ、そう感じたんだったか。  きのう、教会で、牧師の説教…

若月房恵
12日前
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あかるい歌をうたうこと

*  昨夜はこのうえなく嬉しいきもちで、眠りについた。子どもを寝かしつけてから、白いシーツに腹這いになり、イエスさまに祈ろうとしたら、「わあ、なんてうれしいんだ…

若月房恵
2週間前
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そういえば、すごくいまさらだけれど、ナイジェリアからやってくる(Kさんの)花嫁のために、白い刺し子を三枚さしました。麻の葉と、青海波と、丸のやつ。じこまんぞくな贈り物だけれど、かのじょの日本での暮らしが幸多いものになりますように、と祈っている。

若月房恵
3週間前
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わたしの仲間たち

 上手く書けるだろうか。ずっと書きたいと思っていたこと、わたしの仲間たちについて。書きたいと思いながら、なにか良い構想でも浮かべばいいと思って、ずっと書けなか…

若月房恵
4週間前
26

本の虫12カ月 5月

↓先月 じぶん用に、 一月のあいだに読んだ本を 記録する。 コメントは とても私的。 めちゃくちゃ。

若月房恵
1か月前
39

幻を書き記せ ④ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

アメリカ、アラバマ州にある New Hope Revival Ministries の スティーヴン・シェリー牧師が 1990年代に出版した手記の 日本語訳を投稿しています。 これは四回目になり…

若月房恵
1か月前
11

風の強い山にて

 風が強くなってきた。長らく訓練を受けていた谷を越えて、いまはこのなだらかな、牧草地のような山を歩いている。いつのまにか見晴らしの良い場所に来ていた。いつか来…

若月房恵
1か月前
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若い友人への手紙

 生きていたくない、というのね。お気持ち、分かります。分からないでしょ、と思うかもしれないけど。  あなたとは幾つ年が違うのかな、一回りくらいかな? 初めて会…

若月房恵
1か月前
30

幻を書き記せ ③ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

アメリカ、アラバマ州にある New Hope Revival Ministries の スティーヴン・シェリー牧師が 1990年代に出版した手記です。 三回目になる今回は、 たったの七歳で彼が、…

若月房恵
1か月前
6

幻を書き記せ ② スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

アメリカ、アラバマ州にある New Hope Revival Ministries の スティーヴン・シェリー牧師が 1990年代に出版した手記です。 二回目の今回は、 『あなたがそんな環境でも…

若月房恵
1か月前
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しなやかに、

 朝から降りだした雨は、もう嵐となり果てていた。しずかな湖とみまごう相模湾は、そんなときでも波は高くない。「割れて砕けて裂けて散るかも」なんてふうになることは…

若月房恵
1か月前
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幻を書き記せ ① スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

アメリカ、アラバマ州にある New Hope Revival Ministriesの スティーヴン・シェリー牧師が 1990年代に出版した手記です。 十年以上前に訳したものですが、 家族にだけ見…

若月房恵
2か月前
15
All is well

All is well

 いつの頃からだろうか。どんな愚痴を牧師に宛てて書いても、「All is well」としか返ってこないようになった。

 牧師に愚痴を言うなんて、ですって?

 そう、わたしも愚痴という形で書いていたわけではない。でも「何々について祈ってくださいますか」と言いながら、クリスチャンは愚痴を語りがちなのだ。

 祈りのリクエストという名の愚痴、またはゴシップ、それから自慢話。

 All is wel

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本の虫12カ月 6月

本の虫12カ月 6月


 会社を定年退職したら、
と夢想するサラリーマンみたいに、
ゆっくり本が読めるようになったら、
と思っている、毎月々々。
時間がないとかいう訳ではなくて、
世界が読みたい本で溢れていすぎるから、
いつも早足で読み飛ばして、
もっと、もっといろんな本を、
と欲張ってしまう。

それでも、
ヨセフを知る一族の本たちが、
だんだんわかるようになってきた。
もうこれ以上本が手に入らなくなったなら、
手元

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よるの臨在

よるの臨在



 よる、あのかたがいらした。声もださずに、わたしは「死んでしまいそう」と「愛してます」ばかりを繰り返した。 

 ふと思いが逸れて、せっかくキリストが、傍にいらしてくださったのだから、祈らなきゃ、と考えた。するとあのかたは、しいっ、後で、とわたしを黙らせた。

 わたしは、どうしようもなく、あのかたと、恋に落ちてしまった。

 しばらくしてから、わたしは祈った。それは、睦言のようだった。あの

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会津のはなし

会津のはなし



 平凡なわたしには、物語とてないけれど、いつ思い出しても、胸をつまされるような、悲惨で、うつくしいものがたりがひとつある。生きて体験したわけではないのに、わたしの血のなかで生きている、先祖たちの物語。

 八代子というなまえの、わたしの五代前の祖母は、会津藩家老、西郷頼母の妹だった。同藩の井深家に嫁いだかのじょは、一八六八年八月二三日、官軍が会津城下に侵攻してきた日に、実家に残してきた母や義

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よめいり どうぐ

よめいり どうぐ



 『身、ひとつでいらっしゃい』

 あのかたが、そうおっしゃったような気がして、その意味を考えている。いつ、そう感じたんだったか。

 きのう、教会で、牧師の説教を訳していたときだろうか。あのとき語られていたのは、希望について。あのかた、つまりキリストが、わたしたちの希望。キリストがいるかぎり、いつだって希望がある、どんな状況にあろうとも。そんな話し、それがどう繋がっているのかしら。

 ―身

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あかるい歌をうたうこと

あかるい歌をうたうこと



 昨夜はこのうえなく嬉しいきもちで、眠りについた。子どもを寝かしつけてから、白いシーツに腹這いになり、イエスさまに祈ろうとしたら、「わあ、なんてうれしいんだろう! ありがとうございます、神さま、ありがとうございます!」とばかり溢れて、なんだかまともな祈りにならず、そのまま眠った。

 たわいもないけれど、うれしかったのは、その日の正午、ふらりと寄った近所のマーケットで、頑丈なリネンを本藍で染

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そういえば、すごくいまさらだけれど、ナイジェリアからやってくる(Kさんの)花嫁のために、白い刺し子を三枚さしました。麻の葉と、青海波と、丸のやつ。じこまんぞくな贈り物だけれど、かのじょの日本での暮らしが幸多いものになりますように、と祈っている。

わたしの仲間たち

わたしの仲間たち


 上手く書けるだろうか。ずっと書きたいと思っていたこと、わたしの仲間たちについて。書きたいと思いながら、なにか良い構想でも浮かべばいいと思って、ずっと書けなかった。だからまっすぐに書こう。これは、わたしたちの証しです。



 いとおしい、仲間たちがいる。そのひとりひとりを思うだけで、こころに喜びが溢れるような。お互いの背中を預かりあっている、仲間たち。わたしが間違えていれば、彼らはやさしく指

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幻を書き記せ ④ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

幻を書き記せ ④ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 


アメリカ、アラバマ州にある
New Hope Revival Ministries の
スティーヴン・シェリー牧師が
1990年代に出版した手記の
日本語訳を投稿しています。

これは四回目になります。

シェリー牧師は十歳の頃から、
旧約聖書最後の書であるマラキ書の、
洗礼者ヨハネについての
預言に疑問を抱いていました。

『見よ、わたしは
大いなるおそるべき主の日が来る前に
預言者エリヤをあ

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風の強い山にて

風の強い山にて



 風が強くなってきた。長らく訓練を受けていた谷を越えて、いまはこのなだらかな、牧草地のような山を歩いている。いつのまにか見晴らしの良い場所に来ていた。いつか来た高原を思い出す。霧ヶ峰だとか、美ヶ原だとか、信州のうつくしい高原たち。

 白い道が一本ひかれている。わたしはただ前をゆく背だけ見つめながら、黙々と足を動かす。道順だとかは分からない。あの方が行くところへ付いていくだけ。だから真向かいか

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若い友人への手紙

若い友人への手紙



 生きていたくない、というのね。お気持ち、分かります。分からないでしょ、と思うかもしれないけど。

 あなたとは幾つ年が違うのかな、一回りくらいかな? 初めて会ったときのこと、いまでも覚えてます。あなたは可愛い小学生だった。お母さんに連れられて、集会に来た日のこと。まるでおとなしいふうに見えて、反抗精神にあふれてた。

 ええ、分かっていましたとも。あなたはちょっとずつ、わたしを試した。こんな

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幻を書き記せ ③ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

幻を書き記せ ③ スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 



アメリカ、アラバマ州にある
New Hope Revival Ministries の
スティーヴン・シェリー牧師が
1990年代に出版した手記です。

三回目になる今回は、
たったの七歳で彼が、
はじめての説教をしたときの話し、
そして十代になってから、
聖書の真理を求めて、
いろいろな説教師のもとを
訪ねまわる話しです。

早熟な彼は十代にして
ある教会の牧師になりますが、
究極の真理追求

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幻を書き記せ ② スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

幻を書き記せ ② スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 



アメリカ、アラバマ州にある
New Hope Revival Ministries の
スティーヴン・シェリー牧師が
1990年代に出版した手記です。

二回目の今回は、
『あなたがそんな環境でも
神に仕えられるのなら、
ぼくだって神に
仕えられるかもしれない』
と他人に言わせた、
彼の壮絶な幼少時代についてです。

『神さまがいなければ、
心を病んでいただろう』
とみずから語る過去は、
ほん

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しなやかに、

しなやかに、



 朝から降りだした雨は、もう嵐となり果てていた。しずかな湖とみまごう相模湾は、そんなときでも波は高くない。「割れて砕けて裂けて散るかも」なんてふうになることはほとんどなくって、実朝はどこで詠んだのかしら、とふしぎに思う。

 (太宰治の「右大臣実朝」は、三浦岬に行ったときだと言う。確かにあそこは波が高い)

 助手席で夫が眠っている。ほんとうは出来るだけ、助手席には乗りたくないらしい。だって怖

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幻を書き記せ ① スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 

幻を書き記せ ① スティーヴン・L・シェリー (日本語訳) 



アメリカ、アラバマ州にある
New Hope Revival Ministriesの
スティーヴン・シェリー牧師が
1990年代に出版した手記です。
十年以上前に訳したものですが、
家族にだけ見せて、死蔵させていたので、
ネット上で公開してみようと思います。

シェリー牧師は、わたしのアメリカの
牧師で、預言の賜物のある、
とても霊的で、ふしぎなひとです。
その彼がみずからの奇特な人生と
神さ

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