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写真に関するもろもろ

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#美術展

【美術館の名作椅子#10】横浜美術館

【美術館の名作椅子#10】横浜美術館

横浜美術館設計:丹下 健三
開館:1989年

・Barcelona Stool

デザイナー:ミース・ファン・デル・ローエ
発表:1929年
メーカー:Knoll
価格:¥739,200〜(2024年5月現在)

名作バルセロナチェアのスツール版。
世に出回るバルセロナシリーズはブラックレザーの品が多いが、横浜美術館のものはあまり見かけないグレーのレザー。
東京国立博物館本館にはバルセロナシリー

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兵庫県立美術館:「描く人、安彦良和」に行って、人の絵を描きたくなったお話

兵庫県立美術館:「描く人、安彦良和」に行って、人の絵を描きたくなったお話

「描く人、安彦良和」は、動画仲間のReiさんからお誘いを受けてました。
Reiさんは、アニメ好きで私と同じガンダムオタク(通称ガンオタ)ということで行く約束をしていました。
雨が降って、有害鳥獣駆除が中止の朝。
Reiさんから、山に行かないのなら暇だろうとお誘いの連絡が来ました。
大の大人に向かって暇だろうとドストレートに言ってくるのはどうかと思いますが、否定出来ないのも事実ではあります。
まぁ美

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【沼のほとりで宴】シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴 群馬県立館林美術館

【沼のほとりで宴】シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴 群馬県立館林美術館

群馬県は館林。群馬県は県立美術館を2つ擁する珍しい自治体である。
高崎の群馬県立近代美術館とここ群馬県立館林美術館。
訪問した日の午前中はすぐとなりの栃木県、足利市立美術館へ行っていた。

足利市駅からは電車で20分ほどで栃木から群馬へ移動である。
多々良沼のほとりに位置し、広々とした素晴らしい場所だった。
建物だけで満足しそうなぐらい素晴らしいロケーション。

ただ、東武伊勢崎線の多々良駅から歩

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東京国立博物館 「近代の美術」

東京国立博物館 「近代の美術」

東京国立博物館 本館1階にある18室「近代の美術」では、日本画の名作が展示されていて、毎回楽しみにしております。

少し前ですが5月に訪問した際にこちらの2作品が並んで展示されてました。

松本楓湖の《牛若》と小林古径の《芥子》。

 帰宅後に、そういえばこの二人の関連って…とググってみたら、松本楓湖の門下の今村紫紅らが発足した紅児会のメンバーが小林古径でした。そして、この時は今村紫紅の《熱国之巻

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【展覧会レポ】東京都美術館「デ・キリコ展」

【展覧会レポ】東京都美術館「デ・キリコ展」

【約4,400文字、写真約30枚】
東京都美術館で「デ・キリコ展」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿で伝えたいこと】
❶世界中から集められたデ・キリコの作品110点をイッキに見ることで、作品や生涯の変遷が分かる、❸楽しい絵が多いことに加え、会場内が凝った造りになっているため、美術館に普段行かない人にもおすすめ、❹値段が2,200円と若干高め。9/14(土)から神戸市立博物館で巡回す

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【美術展2024#35】脅威の細密表現展@横須賀美術館

【美術展2024#35】脅威の細密表現展@横須賀美術館

会期:2024年4月20日 (土) 〜 6月23日 (日)

・初代 宮川 香山

初代宮川香山作品がキービジュアルを飾る。
初代宮川香山といえばやはりこれが思い浮かぶ。↓

これは以前のトーハクでの展示だが、本当にそこに生きているかのような徹底的な細密表現の技術力にため息が出る。
蟹がほぼ実物大ということもあってリアリティが凄いのだが、蟹を取っ払った器を単体で見ても釉薬の色やかかり具合、歪んだ形

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【知らぬ間に結ぶ】カルティエと日本 半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展 ― 美と芸術をめぐる対話 東京国立博物館 表慶館

【知らぬ間に結ぶ】カルティエと日本 半世紀のあゆみ「結 MUSUBI」展 ― 美と芸術をめぐる対話 東京国立博物館 表慶館

概要はこちら。

公式サイトの情報量、すごく少ない。
東博の「管轄外よー」なのか。

ときどき現代美術の文脈で耳にするカルティエ財団。
横尾さんだったり森村泰昌さんだったりの関わりから、作品を見てきた。
「見てきた」というかいつの間に見ていたという表現が正しい。
カルティエ現代美術財団を全面推しする展示が少なかったせいか、自分がスルーしていたのか、そういう金の匂いが強くないところがいいなと思っては

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【美術館の名作椅子#04】東京国立博物館本館

【美術館の名作椅子#04】東京国立博物館本館

東京国立博物館本館設計:渡辺 仁
開館:1938年

・Barcelona Day bed

デザイナー:ミース・ファン・デル・ローエ
発表:1930年 
メーカー:Knoll
価格:¥2,970,000(2024年5月現在)

名作バルセロナチェアのデイベッドバージョン。
構造もバルセロナチェア同様にシートの下にレザーバンドが張ってある。
レザーバンドなので使っているうちに伸びてくるのは避け

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【美術館の名作椅子#05】東京国立博物館法隆寺宝物館

【美術館の名作椅子#05】東京国立博物館法隆寺宝物館

東京国立博物館法隆寺宝物館設計:谷口 吉生
開館:1999年

・Cab 413 Chair

デザイナー:マリオ・ベリーニ
発表:1977年
メーカー:Cassina
価格:¥418,000(2024年5月現在)

アームなしの412とともにMoMAにも収蔵されている名作チェア。
この椅子は東京国立近代美術館にも大量に採用されている。
ここ法隆寺宝物館ではエントランスに数脚並ぶが、なんとこの椅子

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『犬派?猫派?』 山種美術館

『犬派?猫派?』 山種美術館

『犬派?猫派?ー俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃までー』を見に山種美術館に行って参りました。我が家では犬を飼ってますが、個人的には断然、猫派です。

週末の14時頃に訪問したのですが、今までで1番混んでまして、1Fのカフェには待ちの列ができておりました。恐るべしワンちゃんニャンちゃん企画。

若いカップルや、女性二人客の方も多数いて、いつもの静かな山種美術館とは異なり、上野でやってるようなお

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【展覧会レポ】皇居三の丸尚蔵館「皇室のみやび ー受け継ぐ美ー 第4期<三の丸尚蔵館の名品>」

【展覧会レポ】皇居三の丸尚蔵館「皇室のみやび ー受け継ぐ美ー 第4期<三の丸尚蔵館の名品>」

【約3,800文字、写真約55枚】
皇居三の丸尚蔵館に初めて行き「皇室のみやび ―受け継ぐ美― 第4期<三の丸尚蔵館の名品>」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿で伝えたいこと】
❶日時指定予約制のため絶対事前web予約が必要!、❷作品数はコンパクト(14)ながら、国宝を3つを含み、どれもめっちゃ「みやび」でありがたさを感じる展覧会、❸皇居に入る良い機会にもなりました。

▶︎訪問の

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新時代の日本画を見定めるのは可能か

新時代の日本画を見定めるのは可能か

上野の森美術館(東京・上野)で6月4日まで開催中の「第9回 東山魁夷記念 日経日本画大賞」展。選考結果を、大変興味深く受け止めた。

ともすれば保守的になりかねない日本画の表現を、若い作家たちはどう切り開いているのかを知りたい。はたして新時代の日本画を見定めるのは可能か。そんな期待を持って、3年に一度、作家・作品の顕彰を続けているこの展覧会に出かけた。

大賞を受賞した村山春菜は日展に所属する。日

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【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【展覧会レポ】練馬区立美術館「三島喜美代―未来への記憶」

【約5,400文字、写真約60枚】
練馬区立美術館で開催されている「三島喜美代―未来への記憶」を鑑賞しました。その感想を書きます。

【この投稿であなたに伝えたい点】
❶大満足の展覧会、❷作品だけでなく、三島喜美代自身の魅力が十分に伝わる内容だった、❸作品や考え方の変遷が分かりやすく、キャッチーな作品が面白いことに加え、メッセージ性もはっきりと伝わった、❹大人も子供も、アートに興味がある人も薄い人

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没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる 東京都写真美術館

没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる 東京都写真美術館

『没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる』を見に東京都写真美術館に行って参りました。今回は予定が空いていた息子も一緒です。(無理やり)

行きしなの車中で「どんな展覧会なの?」の質問には「日本で1番有名な写真の賞があって、木村伊兵衛賞って言うんだけど、その木村伊兵衛の写真展」と返しまして「ふ〜ん」の回答。面白そうに説明できず反省…。

GW中というのもありますが、かなりの混み具合。シニアの方から若い

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