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【沼のほとりで宴】シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴 群馬県立館林美術館

群馬県は館林。群馬県は県立美術館を2つ擁する珍しい自治体である。
高崎の群馬県立近代美術館とここ群馬県立館林美術館。
訪問した日の午前中はすぐとなりの栃木県、足利市立美術館へ行っていた。

足利市駅からは電車で20分ほどで栃木から群馬へ移動である。
多々良沼のほとりに位置し、広々とした素晴らしい場所だった。
建物だけで満足しそうなぐらい素晴らしいロケーション。

ただ、東武伊勢崎線の多々良駅から歩くとものすごく不安。
到底、美術館などがありそうな雰囲気ではない道をてくてく歩いていくことになる。

駅の出口には大きい看板があり、そこには丁寧に解説された道順が印刷された紙が入ったケースが設置されている。

ドーン
この狸達の横に道案内のチラシはある。

チラシを読みながら歩くとすこーしだけ不安が解消する。
とっても親切。
ただ風雨紫外線で紙が傷んでいるので、駅構内に置かせてもらえたらよいのでは?と。

かつて保育園があったのだな
辛うじて人の気配
それでも本当に美術館あるのか?と
不安になってくるだだっ広さ
あ、釣り。良いですねぇ。何が釣れるんだ。
到着。着いたー。


マーク・フラナガン
建物が素晴らしいのですわ



ひたすら街道と農道を20分ほど歩くと、それらしき看板が出てきて心底ホッとする。
晴天の5月でも夏のように暑い群馬県、館林。
UV&-20℃遮熱の日傘でようやく凌ぐ。
真夏に歩くのは厳しそうだ。
電車での訪問、駅からの交通はタクシーの予約など確保がおすすめ。

今回は所蔵企画展と彫刻の常設展示室についてレポ。
所蔵企画展の概要はこちら

シンフォニー・オブ・アート — イメージと素材の饗宴

多くの音で構成される交響曲のように、アート作品も多様な要素が集まることで作られているものがあります。この展覧会は、アート作品の表現や成り立ちを「集める」という視点から注目し、当館コレクションを中心に様々な作品を紹介するものです。
(中略)
そして繊維素材を集めて制作される「ファイバーアート」作品も紹介します。当館コレクションや、ゲスト・アーティストによる展示に加え、染織作品の紹介を活動方針のひとつとしてファイバーアートを収集してきた群馬県立近代美術館のコレクションから作品を紹介し、開館50周年を迎える同館の活動にも触れます。

群馬県立館林美術館

こちらも所蔵品展だー!勢いよく見ていく。
展示点数がものすごく多い。

中庭も良い


そしてラインナップもザ・現代美術を網羅。
渋いな、と思うのがクロード・ヴィアラ作品。
世田谷美術館や、東京都現代美術館で見ていたけれど、おなじみの作家の違った作品を見れる。これはありがたいことだ。

あと、群馬といえば製糸業と歴史的にも関係が深い。群馬県にある2つの県立美術館は繊維アート作品もコレクションをしている。その展示室は撮影OK。

展示室の様子。
わたしも道路標識好きだ。

織の作品。
これは正面に回らないと文字が浮かび上がらず、振り向いた時に気がついた。

オールスター的なこの展示を見ると日本、海外のここ50年の現代美術を一巡りできるような、そんな内容。

フランソワ・ポンポンを始めとする彫刻展示室


展示室内は撮影できないため、外から見た彫刻専門の展示室。
青空に大変良く映える。

このカーブの廊下も素晴らしい
奥に映る黒い建物が彫刻展示室


ポンポンを中心とし、贅沢な配置で彫刻を魅せる部屋。
時々遭遇する、この彫刻だけの展示室を持つ美術館(兵庫県立美術館や、国立西洋美術館の一部の廊下、静岡県立近代美術館のロダン館など)、結構圧巻で面白いなと思う。スペースがあるがゆえの優雅な展示空間だ。

奥がフランソワ・ポンポンのアトリエ再現展示
ポンポンのアトリエ内
ホールもある。
午後の光が素晴らしい。やはり5月の木漏れ日は違う。
鳩のニコラを愛でるポンポン。

とにかくロケーションの素晴らしい美術館。
空が広い。
建物も展示品ものびのびとしている。
群馬県は美術館に恵まれている。
原ミュージアムアークやアーツ前橋、群馬県立近代美術館、高崎市立美術館、などなど。
図書館と複合施設の太田市も行ってみたい。

次の目標は自分の運転で来ることだ。
この美術館をもって、関東甲信の県立美術館は全て回ることができた。
関東、という括りでもどの館も個性豊かで素晴らしいコレクションを持っている。
そしてちゃんとコレクション展示が行われている。ぜひ、それぞれの地域で暮らす人々の自慢の品になると良いなと思う。

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