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ミュージアム・Exhibition・図録

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【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【約6,900文字、写真約60枚】
実体験を基に「青森県の4つの美術館を」「東京から一泊二日」「電車・バスで周った」「一人旅」について、具体的なルート、食べたものとともに、感想などを書きます。

結論から言うと、青森の主要美術館は素晴らしいものばかり!美術館メインで旅行を組む価値は十分にあります。なお、車を使わない場合、2日で5つの美術館は周り切れず、4つが限界でした。注意点は、青森は都内と違い、

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展覧会レポ:十和田市現代美術館「常設展」「野良になる」ほか

展覧会レポ:十和田市現代美術館「常設展」「野良になる」ほか

【約5,900文字、写真約80枚】
青森の美術館巡りの一環として、十和田市現代美術館で「常設展」「野良になる」などを鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、こんな美術館は初めてで、満足度が高かったです!とにかくクセが強すぎて、楽しい!面白い!アートに興味が全くない人も十分楽しめると思います。また、無料で楽しめる屋外アートが多く、美術館の建築も外に丸見えになっていることにより、アートと

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岐阜県美術館「アートまるケット 展覧会を準備してます、展。」

岐阜県美術館「アートまるケット 展覧会を準備してます、展。」

先日、岐阜県美術館で開催されていた「アートまるケット 展覧会を準備してます、展。」に行ってきました。

はじめに岐阜県美術館について

岐阜県美術館は、JR岐阜駅のひとつ隣になるJR西岐阜駅から徒歩15分のところにあり(ちょっと不便)、1982年に開館しました。

美術好きの間では、世界有数のルドン・コレクションを持っていることでも知られています。
現在の館長は、地元岐阜市出身のアーティストで、東

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展覧会レポ:弘前れんが倉庫美術館「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界」

展覧会レポ:弘前れんが倉庫美術館「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界」

【約4,200文字、写真約60枚】
弘前れんが倉庫美術館(青森県)で「蜷川実花展 with EiM: 儚くも煌めく境界」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、弘前市民の方も、旅行で青森に訪れた方も、是非とも寄るべき美術館・展覧会だと思いました。弘前市の歴史を尊重した美術館の建築、蜷川実花氏の展覧会に関しては、空間を大きく使った映えるインスタレーション、弘前公園の桜を撮影した新作の

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展覧会レポ:富士フイルムフォトサロン東京「セルカン・ギュネシュ写真展"WITHIN"」ほか

展覧会レポ:富士フイルムフォトサロン東京「セルカン・ギュネシュ写真展"WITHIN"」ほか

【約3,400文字、写真約20枚】
初めて富士フイルムフォトサロン東京(六本木)に行き「セルカン・ギュネシュ写真展"WITHIN"」などを鑑賞しました。主に「FUJIFILM SQUARE」の全体像について、感想を書きます。

※この展覧会は既に終了しています。

結論から言うと、六本木に来た際に、写真に興味がある方はマストで寄った方が良い場所だと思いました。FUJIFILM SQUAREには常に

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麻布台ヒルズレポ:おしゃれの暴力!日本一高い展望台はマスト

麻布台ヒルズレポ:おしゃれの暴力!日本一高い展望台はマスト

【約3,200文字、写真約25枚】
2023年11月にオープンした「麻布台ヒルズ」に行きました。展望台やアートの観点から、その感想(+森ビルについて)を書きます。

結論から言うと、一度は訪れるべき複合施設だと思いました。1)ビルとして日本一高い展望台は景色も良い上に無料!、2)建物や内装デザインが暴力的におしゃれ過ぎる、3)パブリックアートや常設の展覧会(値段は高い)が複数あるためです。観光客に

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展覧会レポ:横浜美術館ほか「横浜トリエンナーレ<野草:いま、ここで⽣きてる>」

展覧会レポ:横浜美術館ほか「横浜トリエンナーレ<野草:いま、ここで⽣きてる>」

【約4,400文字、写真約50枚】
3年毎に楽しみにしている横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで⽣きてる」に行きました。その感想を書きます。

結論から言うと、私の期待と真逆のキュレーションだったため、感想は「がっかり」でした。1)コロナ明け、2)約3年ぶりの横浜美術館リニューアル、3)横浜トリエンナーレはいつも楽しいため、期待していました。しかし、今回は政治的なメッセージが強かったり、怖い作品

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展覧会レポ:アーティゾン美術館「ブランクーシ 本質を象る」「石橋財団コレクション選」

展覧会レポ:アーティゾン美術館「ブランクーシ 本質を象る」「石橋財団コレクション選」

【約4,900文字、写真約55枚】
アーティゾン美術館で開催中の「ブランクーシ 本質を象る」と「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 清水多嘉示」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、行く価値は大いにあると思いました。それは主に、1)ブランクーシの作品約90点を集めた日本初の個展、2)ブランクーシの変遷や考えが体系的に分かる、3)展示方法が面白かった(一部、課題あり)ことによ

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【ボタンの博物館@日本橋浜町】小さなボタンに世界の歴史

【ボタンの博物館@日本橋浜町】小さなボタンに世界の歴史

ボタンの博物館東京都中央区日本橋浜町1-11-8

1946年創業のボタンを中心とする服飾付属品メーカー、アイリスが運営している「ボタン」だけの博物館です。

完全予約制で、webサイトのフォームから予約できます。学芸員さんがガイドしてくださるガイドツアーが不定期に開催されていて、入館料にプラス500円になりますが、ガイド付きにして大正解でした。とっても気さくな学芸員さんがつきっきりで解説してくだ

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展覧会レポ:DIC川村記念美術「今見られるコレクション」「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」

展覧会レポ:DIC川村記念美術「今見られるコレクション」「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」

【約5,500文字、写真約40枚】
初めて、DIC川村記念美術館(以下、DIC美術館)に行き「今見られるコレクション」と「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、大満足の美術館でした。これは主に、1)大自然に囲まれた環境、2)作品の良さを何倍にも引き出す贅沢な展示室とキュレーション、3)素晴らしいコレクションのクオリティによります。なお、アクセス

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展覧会レポ:京都市京セラ美術館「村上隆 もののけ 京都」

展覧会レポ:京都市京セラ美術館「村上隆 もののけ 京都」

【約4,800文字、写真約65枚】
京都市京セラ美術館で開催されている「村上隆 もののけ 京都」を鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、1)9割以上が新作・大規模な村上隆の個展のため、現代アートが好きな人は必見、2)キャッチーな作品が多く、写真撮影可能で楽しい、3)"鑑賞"を忘れないように注意、4)村上隆の考えや「スーパーフラット」について、端的に分かる工夫があればなお良かった。

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展覧会レポ:鎌倉市鏑木清方記念美術館「早春の風情~清方のことばとともに~」+鎌倉大仏

展覧会レポ:鎌倉市鏑木清方記念美術館「早春の風情~清方のことばとともに~」+鎌倉大仏

【約2,800文字、写真約35枚】
初めて、鎌倉市鏑木清方記念美術館に行き「早春の風情 ~清方のことばとともに~」を鑑賞しました。その感想(+鎌倉大仏)を書きます。

※この展覧会は既に終了しています。

結論から言うと、1)鏑木清方の作品だけでなく、人間味の部分も理解できたため良かった、2)コンパクトな美術館で、観覧料は300円とリーズナブル(鎌倉市民は無料!)、3)鏑木清方について知識ゼロの人

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資料を探しにでかける


展示と人々

 学芸員の仕事でいえば、展示をつくることは大きな意味があります。普段の研究の成果をみなさまに見てもらえるという側面もありますし、これまで光が当たらなかった資料に対して光を当て、社会の中に新たな価値を提示する、という側面もあります。
 だがらきっとどこのミュージアムの学芸員さんであっても、展示には力を入れていると思います。まして、展覧会の評価やミュージアムの評価を、入館者数なので計る

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はじめまして、こんにちは


自己紹介

 私は、人口10,000人以下のまちで学芸員をしています。専門は美術、、だったはずが、今となっては、産業史などにも携わっています。教育普及活動も日々取り組んでいます。
 あれこれする「雑芸員」という人もいるかもしれませんが、すべての物事は何かしら繋がっていて、大学での研究のようにアカデミックに物事を紐解こうとしないで仕事に取り組めば、自然とこうなるだろうと思います。学芸員ってなんだろ

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