twingo0810

近代日本洋画を中心に美術館巡りをしています。

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最近の記事

岐阜県美術館「アートまるケット 展覧会を準備してます、展。」

先日、岐阜県美術館で開催されていた「アートまるケット 展覧会を準備してます、展。」に行ってきました。 はじめに岐阜県美術館について 岐阜県美術館は、JR岐阜駅のひとつ隣になるJR西岐阜駅から徒歩15分のところにあり(ちょっと不便)、1982年に開館しました。 美術好きの間では、世界有数のルドン・コレクションを持っていることでも知られています。 現在の館長は、地元岐阜市出身のアーティストで、東京藝術大学の学長でもある日比野克彦氏が務めています。 「アートまるけっと」とは

    • 東京国立近代美術館「MOMATコレクション 小特集 芹沢銈介と、新しい日々」

      先日、東京国立近代美術館で開催されている所蔵作品展「MOMATコレクション(2024. 1.23-4.7)」に行ってきました。 今期のMOMATコレクションでは、普段は日本画を展示する第10室を使って、現在は国立工芸館(旧東京国立近代美術館工芸館)が所蔵する芹沢銈介の作品群を紹介する特集展示が行われており、今回はその感想を書きたいと思います。 はじめに芹沢銈介とは 芹沢銈介(1895-1984)は、染色の分野でそれまでの伝統的な型染の技術を用いながら、「型絵染」と呼ばれ

      • 静岡近代美術館「シャガール・ピカソ(リトグラフ)展」

        先日、私のお気に入りの美術館である静岡近代美術館で開催している「シャガール・ピカソ(リトグラフ)展」に行ってきました。 はじめに静岡近代美術館は、私と同じ世代の静岡県人なら誰でも知っている「大村洋品店」の社長で、この美術館の館長でもある大村明氏の個人コレクションを広く一般に公開する目的で静岡市に開設した私設美術館です。 JR静岡駅からは徒歩で20分程かかりますが、散歩と思えばちょうどよい距離です。 私は社会人になってから静岡を離れてしまったため、普段はなかなか行くことが出

        • おすすめの美術図書「未完の青春―横手貞美」図録

          私が参加していたメンバーシップ「オトナの美術研究会」(現在は閉鎖)で行われていた執筆企画「月イチお題note」。 毎日出されるお題の中で、唯一エントリーを見送った(書けなかった)のがこの「おすすめの美術図書」でした。 最近このことをふと思いだし、今さらですがこのお題について書いてみたいと思います。 はじめに私の「おすすめの美術図書」は、2013年に長崎県美術館で開催された展覧会「長崎の美術5 未完の青春―横手貞美」の図録です。 横手貞美とは横手貞美を知っている人はあまりい

        岐阜県美術館「アートまるケット 展覧会を準備してます、展。」

          平塚市美術館「新収蔵展 特集展示 : 藤田嗣治の初期作品」

          先日、平塚市美術館で開催されている「新収蔵展 特別展示 : 藤田嗣治の初期作品」に行ってきました。 はじめに平塚市美術館は、それまで平塚市博物館にあった美術部門が独立する形で1991年に開館しました。 この美術館のコレクションは、多くの寄贈作品から形成されており、その始まりは1960年代初めまで遡ります。 その頃、平塚市では美術館建設を求める声が上がるのですが、いかんせんそこに飾るものがありません。 そこで、この地域の作家たちが中心となって一作家一作品寄贈運動が始まります

          平塚市美術館「新収蔵展 特集展示 : 藤田嗣治の初期作品」

          稲沢市荻須記念美術館「荻須高徳展 画業の変遷を辿る ー新収蔵作品と主要展覧会出品作を中心にー」

          先日、稲沢市荻須記念美術館で市制60周年開館40周年記念として開催されている「荻須高徳展 画業の変遷を辿る ー新収蔵作品と主要展覧会出品作を中心にー」行ってきました。 はじめに稲沢市荻須記念美術館は、名古屋にほど近い稲沢市にある公立美術館で、この地の出身でパリを拠点に活躍した画家 荻須高徳の画業を顕彰する目的で1983年に開館しました。 前から一度行きたいと思っていたのですが、ちょうど開館40周年の記念展を開催しているとのことで、名古屋に所用で行った際に足を延ばしてみま

          稲沢市荻須記念美術館「荻須高徳展 画業の変遷を辿る ー新収蔵作品と主要展覧会出品作を中心にー」

          永青文庫「細川護立の愛した画家たち ーポール・セザンヌ 梅原龍三郎 安井曾太郎ー」

          先日、永青文庫で開催されている2023年度 夏季展「細川護立の愛した画家たち ーポール・セザンヌ 梅原龍三郎 安井曾太郎ー」に行ってきました。 はじめに永青文庫は、肥後熊本54万石を治めた細川家の下屋敷跡にある東京で唯一の大名家の美術館で、細川家伝来の美術工芸品や歴代資料のほかに、この美術館の設立者である16代当主 細川護立(細川護煕元総理の祖父)の蒐集品など、国宝8件、重文35件を含む、9万4千点を所蔵しています。 現在の建物は昭和5年に建てられた細川家の家政所(事務所

          永青文庫「細川護立の愛した画家たち ーポール・セザンヌ 梅原龍三郎 安井曾太郎ー」

          新潟県立近代美術館「開館30周年 コレクション展」

          先日、新潟県立近代美術館で開催されている「開館30周年 コレクション展」に行ってきました。 はじめに新潟県立近代美術館は、新潟市ではなく花火大会で有名な長岡市にあり、1993年の開館から今年で30年になります。 かつて、長岡市にはこの地に本店を置く大光相互銀行(現・大光銀行)の企業コレクションを展示する「長岡現代美術館」があったのですが、本業が経営危機に陥った時に閉館となりコレクションも散逸してしまったのですが、新潟県がその約半数を引き継いだことで美術館建設を求める声が高

          新潟県立近代美術館「開館30周年 コレクション展」

          東京国立近代美術館「MOMATコレクション 小特集 関東大震災から100年」

          先日、東京国立近代美術館で開催されている「所蔵作品展 MOMATコレクション(2023.5.29-9.10)」に行ってきました。 はじめに今会期のMOMATコレクションでは、1923年に起きた関東大震災から100年ということで、被災、復興、社会のひずみなどのトピックから震災と美術の関係を振り返る小特集が組まれており、今回はそれを取り上げてみたいと思います。 展示概要2室 関東大震災から100年 1923年の美術 関東大震災があった1923年9月1日、その日は上野公園にあ

          東京国立近代美術館「MOMATコレクション 小特集 関東大震災から100年」

          美術館周辺のおすすめスポット

          私が参加しているメンバーシップ「オトナの美術研究会」で始まった執筆企画「月イチお題note」。 今月のお題は「美術館周辺のおすすめスポット」です。 はじめに私が紹介する美術館周辺のおすすめスポットは、東京国立近代美術館のお隣にある「パレスサイドビル」です。 一般的には「毎日新聞東京本社ビル」と言ったほうが通りがいいかもしれません。 そう、東近美に行くと必ず目にするあのビルです。 パレスサイドビルについて概要 パレスサイドビルは1966年に竣工し、地下6階、地上9階、延床

          美術館周辺のおすすめスポット

          大野ギャラリー「小磯良平作品コレクション」

          先日、広島市にある大野ギャラリーの「小磯良平作品コレクション」を見に行ってきました。 はじめに大野ギャラリーについて 大野ギャラリーは、広島市にある株式会社大野石油店の本社内にある小磯良平の作品だけを展示しているギャラリーで1998年に開館しました。 大野石油店の現会長 大野輝夫氏が約20年かけて収集した359点の小磯作品のうち、約100点を常時展示しています。入場は無料ですが、毎週水曜日しか開館していないため注意が必要です。 今回訪れた理由 私の近代日本洋画好きは

          大野ギャラリー「小磯良平作品コレクション」

          ひろしま美術館「コレクション展示」

          先日、ひろしま美術館で開催されている「コレクション展示」に行ってきました。 はじめにひろしま美術館について ひろしま美術館は、1978年に広島銀行の100周年記念事業として開館しました。 当時の頭取で初代館長の井藤勲雄氏が、原爆投下後の広島のまちの惨状を自ら目にした経験から、原爆で亡くなった人々の鎮魂となり、残された人々のやすらぎの場となるものと、辿り着いた答えが「美術館」でした。 誰もが気軽に行けるようにと、広島市の中心部にあるこの美術館は、円筒形の本館建物とこれを包

          ひろしま美術館「コレクション展示」

          宮城県美術館「リニューアル直前!宮城県美術館の名品ぞろい!」

          先日、宮城県美術館で開催されている令和5年度コレクション展示「リニューアル直前!宮城県美術館の名品ぞろい!」に行ってきました。 はじめに宮城県美術館について 宮城県美術館は、仙台のシンボル 伊達政宗公騎馬像がある青葉山公園(仙台城跡)の麓に位置し、1986年に開館しました。 本館は、フランスでル・コルビジェに師事し、日本のモダニズム建築の巨匠である前川國男によるもので、宮城県出身の彫刻家 佐藤忠良の記念館となっている別館と併せて7300点ほどの作品を収蔵しています。 20

          宮城県美術館「リニューアル直前!宮城県美術館の名品ぞろい!」

          私が美術館にいく理由

          私が参加しているメンバーシップ「オトナの美術研究会」で始まった執筆企画「月イチお題note」。 今月のお題は「私が美術館にいく理由」です。 はじめに今月のお題が「私が美術館にいく理由」と知った時、しばらくの間「う~ん」と考えてしまいました。 結局のところ、「知見を広げるため」といった凡庸な答えしか出て来なかったのですが、しかし、ここで言っている知見とは、私にとってどういうことなのか少し語らせて下さい。 冬のフランス旅行私はフランスが大好きで、2003年から10年ほど毎年の

          私が美術館にいく理由

          東京国立近代美術館「コレクションによる小企画 修復の秘密」

          先日、東京国立近代美術館で開催されている展覧会「コレクションによる小企画 修復の秘密」に行ってきました。 展示概要この展覧会は、東近美のコレクションの中から「修復」にまつわるエピソードを持つ20点ほどの作品が展示されています。 安井曽太郎《金蓉》 私が大好きな安井曽太郎の代表作である《金蓉》は、画面のひび割れがひどく2005年に修復を受けています。 私は修復後の《金蓉》しか見たことがありませんが、修復したはずのひび割れの跡が今でもはっきりと見て取れることに、いつも何で

          東京国立近代美術館「コレクションによる小企画 修復の秘密」

          お気に入りの美術館

          私が参加しているメンバーシップ「オトナの美術研究会」で先々月から始まった執筆企画「月イチお題note」。 今月のお題は「お気に入りの美術館」です。 はじめに私のお気に入りの美術館は静岡県静岡市にある静岡近代美術館です。 静岡近代美術館と聞くと公立美術館のように思えますが、私と同じ世代の静岡県人なら誰もが知っているあの大村洋品店の社長で、この美術館の館長でもある大村明氏の個人コレクションを一般に開放することを目的に開設された個人美術館なのです。 美術館の名称については、個

          お気に入りの美術館