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素敵な記事や作品を集めた私の宝石箱

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記事一覧

もしも、野原に花まるが咲いてたら。【不登校って、なにか詩ら?】

もしも、野原に花まるが咲いてたら。【不登校って、なにか詩ら?】

noteに投稿を続けていると、思いがあっという間に言葉になって、そのまま記事になるときと、書いても書いてもまとまらず、何万字も下書きに言葉を連ねてようやく形になるときとがあります。
どちらがいいわけでもなく、どちらに、より愛着があるわけでもありません。
記事はただ、それにふさわしい方法で、ある日、ちゃんと生まれてきます。

書いても書いても思うようにまとまらないと、焦る氣持ちばかりが募ってしまう…

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【心に残る友】

【心に残る友】

🌲看護師時代の友人
看護師時代の友人と連絡を取り合う機会はだいぶ減った。
年月を経て、友人から知り合いに変わったのだ。

この記事を書くに当たって思い出したことがある。

遠い昔になるが、志を持った者たちで、医療や看護について話し合う『夜会(当時はそう呼んだ)』をたびたび開いた。

当時、夜会の名付け親・K医師と看護師数名の有志で集まり、2月に1回は開いていただろうか。
飲みながら、今の医療はど

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お弁当にトマトがなかった日

お弁当にトマトがなかった日


(序)里帰り入院

思いがけない形で
島に帰ったのは
こどもが2歳のとき

わたしの「手術と入院」のために
里帰りして
こどもを実家に預けて入院

入院中
病院のカウンセラーさんに
助けを求め
わたしはそのまま
夫の住む家へは帰らなかった

実家の住所は
夫も知っているから
退院後
知人の空き家を借りた

こどもと始める
ふたり暮らし
「逃げるんだ」って
決めたんだ

術後なので
なかなか体も動

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理解することされること|私の目に映る「家族」の姿

理解することされること|私の目に映る「家族」の姿

★★この記事は、5/21以降有料にして鍵かけます★★

突然ですが、みなさんはお店で買い物するときに、万引きを疑われ(もしくは予防のために)店員さんにマークされた経験はありますか?

ない方は想像でも大丈夫です。それに気づいたとき、店員さんに対して(お店に対して)どんな感情が湧いてきますか?

子供のころ、いつも友達と通っていたファンシーショップがありました。

お目当ては、1カップ100円、透明

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ささいなことなんだ☆

ささいなことなんだ☆

ときどき甘えん坊の息子が「二階についてきて!」と言う。

おもちゃを取りに行きたいんだと。
ええ?夜でもないし、一人で行けるでしょう??
お母さん、今洗い物してるし・・・って思うから、断ってお姉ちゃんに頼むときもあるけれど、
たまには手を拭いて、どれどれと息子と手を繋いで階段をのぼっていく。

するとその横顔から、繋いだ手から、
心や身体、全身がじわじわ~っと喜びで満たされていくのがものすごくよく

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生きるしかない…そう言うあなたへ。私はあなたに生きていてほしい…。

生きるしかない…そう言うあなたへ。私はあなたに生きていてほしい…。

「自分で死ぬことも出来ないから…」

遠位型ミオパチーの
50代のSさんは
寝たきりで
全介助が必要です。

Sさんが
自分の意志で
行動に移せることは
口の中に入った物を
噛むこと。
飲み込むこと。
話すこと。
排泄。
わずかに残された力で
右手親指の真下にセットされた
コールボタン押すこと。

私は、
そんなSさんの入浴のサポートや
身の回りのお世話を
させていただいています。

ある日のこと

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また、ここから、のステーキ

また、ここから、のステーキ

私と夫にとって、大事な大事なステーキ屋さんがある。

そのお店との出会いは、かれこれ20年ほど前。
私は当時、専門学校に通っている学生だった。その期間は、都内の病院や高齢者施設で実習を受けることになっていたが、病院も施設も私の自宅からはだいぶ離れていた。毎日通うことが難しかった私は、叔父の好意で都内にある叔父の事務所を間借りしていた。

事務所の場所は「入谷」という地名で、最寄り駅は鶯谷駅となる。

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負けてこそ咲く花

負けてこそ咲く花

小学校からそいつとは友達だった
生まれながらの脳性麻痺な彼は
涎をいつも流していた

当時住んでいたのは団地で
隣の通路の1Fに住んでいた

俺はサッカー少年で
土日を含め週5で
結構ハードだったけど
休みの日はいつも
彼の家でファミコンをする

きっと脳性麻痺な息子のため
友達を呼ぶために
色々ゲームソフトを集めたり
おばさんの手作りお菓子は手厚い

小学校も高学年になるころ
やっぱり彼は涎をた

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3階のマーマレードジャム

3階のマーマレードジャム

ウラは60歳、ドイツ人のおばさんだ。私と同じアパートの3階に一人で暮らしている。物静かで内気なのに、一度仲良くなるとなんでも話したがる不思議な性格をしていた。

心を開くのに、人より時間がかかるだけよ。それ以外は、全く正常だわ。

正常だわ、というのが彼女の口癖だった。誰とも口をきかず、ハスキー犬と住む彼女は自宅でライターの仕事をしている。スーパーに行く時も、郵便局へ行く時も、ハスキーは一緒だった

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#148【ピリカ文庫】妻からのエール

#148【ピリカ文庫】妻からのエール

「そろそろ白いメッシュのスニーカーが要りそうだよ、十和子」

作り付けの靴箱を見上げる。夏物は一番高い段から二段分だったかと目星をつける。奥を手探りで探す泰生の手がスニーカーよりも先に触れたのが、十和子が仕舞ったままの赤いサンダルだった。

踵のストラップに指を掛け引っ張り出す。
その瞬間、まるでスローモーションのようにこぼれ落ちた砂。

「君がどうしてもやってみたいって言うからさ‥‥‥」


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