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財務分析のやり方~基本編~

この記事は営業利益率などの指標は知っているけれど、具体例に財務分析ってどういう風にすればいいのかよくかわからない...という方向けです。
特に経理を奥さんに任せっきりになっていて、自分では財務分析がうまくできないという経営者の方向けです。

財務分析と聞くと難しそうに聞こえますが、やり方はとてもシンプルです。
財務分析を一言でいうなら「増減理由から対策を考える」です。
これに尽きます。

この記事では具体的なやり方を解説しています。
財務分析って具体的にどんな風にするの?と悩まれている方の参考になれば嬉しいです。

それではさっそく本編へ入っていきます。



第1章 増減表作る~試算表を比較する~

財務分析で一番最初にすることは増減表を作ることです。
2期分の試算表を並べて科目ごとに「増減額・増減率」を算出していきます。
次の表のような感じです。



第2章 増減額と増減率から課題を考える

増減表を作ったらその「増減額・増減率」した理由を調べていき、経営の課題となっているところがないか探していきます。


どんな感じでするか第1章の増減表を例に解説していきます。
増減表で黄色にしている「売上高、広告宣伝費」を見てください。

前期比で売上高が3%増加しています。
ですが、一方で広告宣伝費が38%増加しています。

広告宣伝費が38%も増加したのに売上高が3%しか増加していないのは、当期に広告宣伝効果が低い広告にお金を使ってしまった可能性があります。
投資した広告宣伝と費に対して十分なリターン(売上)が得られていないので、まさに経営の「課題」です。

売上の増加につながらない広告宣伝をしていた可能性があるので、その原因を調べるために売上高と広告宣伝費の内訳を見ていきます。

まずは会社にとって一番大事な売上高から見ていきます。
売上高の内訳が次の表のようになっていたとします。


売上高全体では前期比3%の増加ですが、内訳を見てみるとラジオ通販の売上は増加どころか減少していることが分かります。
店舗販売・ネット販売・テレビ通販が増加したことによって売上高全体で3%増加していただけで、実ラジオ通販は不調だったことが分かります。

この売上の状況を踏まえて、広告宣伝費の内訳を見てみます。
内訳が次の表のようになっていたとします。

表を見るとラジオの広告費だけが増えています(表のオレンジ色箇所)。
広告費全体では38%増加していますが、この増加の原因はラジオ広告が原因だったことが分かります。

ラジオ広告広告費が増加していますが、ラジオ通販の売上は減少している状況です。
売上を増やすために広告費としてお金を投資をしているのに、そのリターンである売上が増えていないというのは良くない状況です。
まさに、経営の課題です。
このような感じで数字の増減から課題を見つけていきます。

ちなみに、課題があるときは、増減率に特定のパータンが発生していることが多いです。
「こういうパターンが発生しているなら、何か課題が潜んでいるかも」といった具合に当たりをつけて数字を見ていきます。
このパターンについては次の記事で書いているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。



第3章 お金で換算できない情報に目を向ける


増減額と増減率から課題を把握した後は、その増減の元になる売上や広告宣伝費自体の金額がどんな経緯で発生したかを把握します。


どういうことか、ラジオ広告費を例に解説します。
ラジオ広告費の内訳を見ていくとラジオ広告の回数が増えたことが分かります。

内訳を見ればラジオ広告の本数が増えたことで費用が増加したことは分かりますが、前期と同じ内容のラジオCMを本数だけ増やしたのか、前期とは違う内容のラジオCMの回数を増やしたのか、ラジオ広告を放送する時間帯やラジオ番組を変えたのかなどはわかりません。

このようなものはお金として換算されないけれど、売上を増やすために重要な情報です。
ですので、こういったお金では換算できていないけれど経営において重要な情報に目を向けていきます。



ラジオ広告費の内訳を見るとラジオ回数が増えていました。
仮に前期とはラジオCMの内容を変えて、その広告回数を増やしていたとします。


この場合、当期に流したラジオCMの内容が前期よりも効果的ではく、売上につながるようなものではなかったという予測がたちます。

このように予測した場合は、来期のラジオ広告は前期のラジオCMの内容に戻すという案が改善策として考えられます。

こういった感じで、お金に換算できないけれど経営において重要な情報に目を向けて改善策を考えていきます。

第5章 振り返る~功を奏したか~

いわゆるPDCAのCとAです。

ラジオ広告の例でいうと、改善案として来期のラジオCMの内容を前期と同じ内容に戻すという案を考えて実行した後は、結果を測定しその結果を踏まえて次の対策を考えます。

振り返りの時も、第1章~4章と同じ流れで増減分析表を作るところから初めて、課題を見つけて対策を講じていくという流れになります。

まとめ

つまるところ、財務分析というのは、増減表を作って増減を見つつ、お金に換算できていない情報も見る作業です。
そのため売上の販売先別の内訳や、広告宣伝費の取引内容ごとの内訳などの情報が必要になります。

日ごろから、自社のビジネスでは何の情報が一番重要なってくるかを選定して、その情報をどうやって集めるか、分析しやすいようにどういう風に自社内でデータを保管していくかなどを事前に考えておくことが財務分析のポイントになります。
攻める経営のためのデータ管理の方法等については、また別の記事で書いていこうと思います。


また、財務分析の他に、財務シミュレーションのやり方についても解説しています。
財務シミュレーションと聞くとエクセルを使って難しい式を組んでというイメージがかもしれないですが、実は、エクセルも使わず簡単にできるものです。
大事なのは「何をどの順番で考えるか」です。
興味のある方は是非読んでみてください。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
少しでも参考になれば嬉しいです。

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