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『探し物』/ショートショート・掌編小説
見たところ、パーツの数は数百だった。
陽が沈まないうちに、なるべく平らな場所へ並べて、ひとつずつじっくりと手入れする。組み立てるときの順番も大切だ。わからなくならないように、足の先から、少しずつ解体して並べた。真鍮製のパーツが陽を受けてゆるやかに光っている。とはいえ、ずっと動きつづけてきたパーツは曇りを帯びて、ところどころに錆びもあった。これを布でこする。
すこし軋むような音が気になって
『またこの世界転生』/掌編小説・ショートショート
僕はネズミになっていた。
それもドブネズミ。
おかしい。
大きなトラックにはねられて死んだはずなのに、またこの世界に転生していた。
いつになったら僕は、剣と魔法のすてきな異世界に転生して、魔法の才にあふれた第十王子として自由で優雅な生活をおくれるのだろうか。
この前は焦げた食パン、その前は排水溝につまった輪ゴムだった。
今回はまた生き物になれただけ、ましかもしれない。
とりあえず、腹が減って