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#歴史
<閑話休題>十字軍と聖地とは?
日本の義務教育課程の西洋史では、十字軍はキリスト教ヨーロッパ(フランク=フランスを中心とした連合軍)が、キリスト教の聖地であるエルサレムを奪還すべく行った軍事遠征とされている。しかし、これは侵略されたイスラム教側からすれば、「奪還」という言葉は適当ではなく、単純に文明及び文化的に遅れていたヨーロッパ諸国が、文明及び文化に進んでいたイスラム諸国を乱暴に侵略したということになる。
こうした立場が
<閑話休題>1987年3月『現代思想 総特集 折口信夫』から
折口信夫という人は、日本の民俗学の草分けである柳田国男の弟子であるが、その後柳田とは異なる方向に民俗学の研究を進めた偉大な学者である。また、釈迢空という筆名で和歌や詩を作った歌人でもあった。折口はまた、民俗学のみならず国文学や神道についても独創的な研究を続け、「まれびと」、「貴種流離譚」などの独自の用語を創造したことでも著名である。戦後は、國學院大学教授として後進の育成に寄与するとともに、日本の
もっとみる<閑話休題>『千の顔を持つ英雄』について気になること
TVの「100分で名著」は、いろいろと教わることが多くて楽しいのだが、時々「それはないだろう?」ということがある。今月のジョーゼフ・キャンベル『千の顔を持つ英雄』は、あまりにもそれが多すぎて見ている途中から唖然としてしまった。それで、そのおかしな点を列記する。
(1)神話について語っているのに対して、そこには英雄しか描かれていないように述べている。神話は第一に神の物語である。そして英雄とは、神
<閑話休題>ホームズとポワロの生きた時代
シャーロック・ホームズは、この名前自体が既に固有名詞化しているくらいに、世界中に膾炙した私立探偵の活躍を描く短編小説の主人公だが、彼の活躍した19世紀末ロンドンという、虚栄と繁栄が過度に達した世界を舞台にしているところに一番の醍醐味がある。
また、アガサ・クリスティーが新たに創造した私立探偵エルキュール・ポワロは、ホームズに匹敵する探偵小説の主人公として、その名を世界中に知られている。ポワロ
<書評>『ヨブへの答え』
『ヨブへの答えAntworr Auf Hiob』カール・グスタフ・ユング著 林道義訳 Carl Gustav Jung ラシェールフェルラーグ社、チューリッヒ Rascher Verlag, Zurich 1952年、日本語版は、みすず書房 1988年。
旧約聖書の中で、最も報われない不幸の連続に遭う可哀そうな代表が、「ヨブ記」のヨブだ。なにしろ、ヨブは熱心に神を信仰するのだが、信仰が進むにつ
<閑話休題・哲学>リチャード・ローティ、そして近代科学とジョルダーノ・ブルーノ
標題の画像は、ロンドンナショナルギャラリーに展示のデジデリウス・エラスムス(15世紀の著名な人文学者=ユマニスト)のハンス・ホルバイン作の肖像。
1.リチャード・ローティ NHKの「100分で名著」でリチャード・ローティというのをやっていて、「ドナルド・トランプ大統領の出現を予言した哲学者」、「伝統的な西洋哲学を葬り去った」、「理性をもつ存在こそ人間という哲学の基礎付け主義が、現代の虐殺やヘイト
<ラグビー・閑話休題>WRの代表ジャージ色彩問題
WR(世界ラグビー協会)は、色盲の人のために、対戦する両方のチームが濃い色のジャージの場合、どちらかのチームは淡い色のジャージにしなければならないというガイドラインを策定し、これを2025年から適用する予定だが、今年のRWCから前倒して採用するというニュースが流れている。
これに対して大きく反応したのが南アフリカで、RWCに向けて発表したセカンドジャージは、元キャプテンのジョン・スミットが「
<閑話休題>2022年のまとめと2023年の抱負
明けましておめでとうございます。旧年中のご愛顧を感謝申し上げますとともに、引き続き本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
2022年4月以降は、定年退職して時間ができたこともあり、読書及び創作活動に勤しむことができた。そこで、2022年のまとめと2023年の抱負を書きたい。
1.読書
(1)2022年のまとめ
なんといっても、ダンテ『神曲』を邦訳ながら読了できたこと。翻訳しているせいも