綾小路龍一

机上のクーロニスタ。10代の頃から人知れず駄文/恥文をひっそりと書いております。よろし…

綾小路龍一

机上のクーロニスタ。10代の頃から人知れず駄文/恥文をひっそりと書いております。よろしくおねがいします。オチをつけたがるのは、私の悪いクセです。クスリ、ニヤリと出来る投稿を心がけています。フォロー頂けたら幸いです。

マガジン

  • 痔除伝

    とある肛門疾患の発症から完治まで、10年近くの戦いのまとめ。面白おかしく描きました。ぜひお付き合いください!

記事一覧

痔除伝 最終章 conclusion

退院後に困ったのは、ガーゼの確保だった。 退院時、アヌスを拭く用と、浸出液を受け止める用のガーゼをもらったが、合計10枚程度。節約したとしても1、2日分である。普通…

21

結婚という墓場に引き摺り込もうとする北風と、意図せず結婚に気持ちを向けさせる太陽。

未婚である。30半ばにして、ぶっちぎりの未婚だ。はっきり言って、他の追随を許していない。一部の友人は結婚をして出産し、離婚して、別の相手と結婚して、出産し、再び離…

28

痔除伝 第十三章 tomorrow

痔瘻の状況と手術によっては即日手術、1日で退院というケースもあるようだが、私の場合は8日間(月曜入院、火曜手術、翌月曜退院)の入院生活となった。 後で聞いたところ…

10

消えたルーズソックスの謎。

10年ほど前、友人から「知人が下着泥棒で逮捕された」と言う話を聞いて驚いた。私にとって「下着泥棒」とはかなり理解から遠い性癖だったため、心のどこかで「遠い世界の性…

16

痔除伝 第十二章 おちんちん事変

※一部、性的と判断されかねない表現があったので有料公開を予定しておりましたが、無料公開で問題ないだろうと判断しました。ご意見があれば制限をかけます。ただし、18禁…

9

キーボードクラッシャーに癒される金曜深夜。

今週は、GWにもかかわらずいつもよりもちょっと忙しかった。余暇時間もあまりなく、くだらないことを考える余裕もない。そんな、ちょっと疲れてしまった時でも、サウナに行…

7

痔除伝 第十一章 後編 Have you ever smelled the Baked asshole?

オペ室は、思ったよりも狭かった。大体12畳くらい。もっと広いイメージだったが、手術の内容、難易度などによって広さが変わるのかもしれない。 執刀医やオペナースは、オ…

7

オレとパソコンのブルース。

つい先日、編集の方から仕事の相談があった。すごく簡単に言えば、製本についての作業である。 企画立案に関わったことから私に依頼が来たのではと思うが、割とガッツリ報…

11

信仰こそが最高のソリューションである。

ここ数年、"信仰"について考える機会が多々あります。私自身は特定の宗教を信仰しているわけではありませんが、母がカトリックということもあり、母の教育の根幹には「カト…

16

痔除伝 第十一章 前編 Have you ever smelled the Baked asshole?

夜中、最後にスマホの時間を見たのが3:30頃だった。看護師さんに起こされ、検温したのが6:20頃。優しい笑顔で、眠れましたか?と聞かれ、世の中のすべてに裏切られたような…

16

「w」なんか、使えない!

ご存知、(笑)にとって代わって幅広く使われるようになった、w。通称、草、である。 ネットスラングであり、あえて誤解を招くような言い方をすれば「元々はネットオタク…

44

痔除伝 第十章 eve

5月に入り、医師、上司などと相談をした結果、7月半ばの入院と、その翌日の手術を決めた。 入院日を決める診察の日のこと。通院時は時期が時期だけに、マスクの着用と来院…

10

村上春樹が、純文学がわからない。

アヤノは激怒した。アヤノには純文学がわからぬ。アヤノは、エンタメ好きの中年である。マンガを読み、楽器と遊んで暮して来た。 ある日、竹馬の友のシンタロティウスから…

36

別れ際がスマートな男に憧れるけれど、いつだって私は泥まみれ。

恋人から別れを告げられた途端、焦って結婚を持ち出してくる男は意外と多いという。実際に私の友人からもそういう人がいたと聞いたことがある。 失くしてしまいそうになら…

28

痔除伝 第九章 怒りの金曜日

入院の1週間前から、実際にテレワークへの移行が始まり、自宅に職場のPCを設置する。 緊急事態宣言により、通勤電車に乗らなくて良い、人と会わなくて良い、ということも…

11

ごめんね、ようへいくん。

埃をかぶっていた写真立てを掃除した。飾られた写真には、高校の修学旅行で沖縄に行った時の写真や、卒業式の写真などの中に、成人式の写真が紛れていた。 写真立てなんて…

8
痔除伝 最終章 conclusion

痔除伝 最終章 conclusion

退院後に困ったのは、ガーゼの確保だった。

退院時、アヌスを拭く用と、浸出液を受け止める用のガーゼをもらったが、合計10枚程度。節約したとしても1、2日分である。普通に使えばすぐなくなってしまう様な量だ。

しかし、私にはある秘策があった。退院時の生活について、看護師さんからレクチャーを受けた時のことである。

しばらくはウォシュレット+ガーゼで対応する様に言われたのだが、赤ちゃん用のウェットタイ

もっとみる
結婚という墓場に引き摺り込もうとする北風と、意図せず結婚に気持ちを向けさせる太陽。

結婚という墓場に引き摺り込もうとする北風と、意図せず結婚に気持ちを向けさせる太陽。

未婚である。30半ばにして、ぶっちぎりの未婚だ。はっきり言って、他の追随を許していない。一部の友人は結婚をして出産し、離婚して、別の相手と結婚して、出産し、再び離婚している。そんなひと達からすれば、私など人生周回遅れも甚だしい。

今の私の暮らしぶりに、結婚の気配はない。同じ"けっこん"でも、先日痔瘻の手術をしたため、血痕の方に関しては割と身近である。

とはいえ、未婚であることに不満はない。元々

もっとみる
痔除伝 第十三章 tomorrow

痔除伝 第十三章 tomorrow

痔瘻の状況と手術によっては即日手術、1日で退院というケースもあるようだが、私の場合は8日間(月曜入院、火曜手術、翌月曜退院)の入院生活となった。

後で聞いたところによると、今回の手術は、「切開解放術」。アヌスを切り開いて、痔瘻の穴を無くしてくれたらしい。

アヌスを切り開くとか、大丈夫なの?括約筋がバカになって、大便漏れ太郎になるんじゃないの?と思うが、私の痔瘻の穴はアナスよりも背中側にあり、括

もっとみる
消えたルーズソックスの謎。

消えたルーズソックスの謎。

10年ほど前、友人から「知人が下着泥棒で逮捕された」と言う話を聞いて驚いた。私にとって「下着泥棒」とはかなり理解から遠い性癖だったため、心のどこかで「遠い世界の性癖」のように思っていた。だって、あーた、布ですぜ?

同じ「物」でも、絵やフィギュアに対して欲情するということなら、理解できる。少なくとも人型だし、そこに想像上とはいえ人格もあるのだろう。ただ、布そのものとなるとなぁ。

もし、この後まさ

もっとみる
痔除伝 第十二章 おちんちん事変

痔除伝 第十二章 おちんちん事変

※一部、性的と判断されかねない表現があったので有料公開を予定しておりましたが、無料公開で問題ないだろうと判断しました。ご意見があれば制限をかけます。ただし、18禁設定になってしまったようです。これも、ご意見があれば解除申請します。

おてんば看護師達にストレッチャーで運ばれ、無事病室に着いた。ストレッチャーから自分のベッドに移される時、複数の看護師さんが協力して下のシーツごと私を持ち上げ、ベッドに

もっとみる
キーボードクラッシャーに癒される金曜深夜。

キーボードクラッシャーに癒される金曜深夜。

今週は、GWにもかかわらずいつもよりもちょっと忙しかった。余暇時間もあまりなく、くだらないことを考える余裕もない。そんな、ちょっと疲れてしまった時でも、サウナに行ったりお酒を飲んだり、運動をしたりすれば大抵のことはリセットできる。

しかし、緊急事態宣言でそれすらできなかったり、それでも元気が足りない時に行う、心の回復法がある。別に、疲労がポンと飛ぶ例のアレではなくて、

「キーボードクラッシャー

もっとみる
痔除伝 第十一章 後編 Have you ever smelled the Baked asshole?

痔除伝 第十一章 後編 Have you ever smelled the Baked asshole?

オペ室は、思ったよりも狭かった。大体12畳くらい。もっと広いイメージだったが、手術の内容、難易度などによって広さが変わるのかもしれない。

執刀医やオペナースは、オペ中に赤いもの(血液や内臓など)ばかり見ることになるため、部屋の内部が寒色系の内装になっていると聞いたことがある。赤いものばかりを見続けた後に白いものを見ると、反対色である青や緑などのシミが見えるようになるらしい。

確かに、オペ室の壁

もっとみる
オレとパソコンのブルース。

オレとパソコンのブルース。

つい先日、編集の方から仕事の相談があった。すごく簡単に言えば、製本についての作業である。

企画立案に関わったことから私に依頼が来たのではと思うが、割とガッツリ報酬だったので私としては意欲満々であった。

内容を確認すると、文章データをWordでチョチョイと編集、確認、書き出しし、各所にチョチョイと振り分けたり……というようなもの。

作業内容に大きなハードルはないが、その一方で一つの大きな懸念点

もっとみる
信仰こそが最高のソリューションである。

信仰こそが最高のソリューションである。

ここ数年、"信仰"について考える機会が多々あります。私自身は特定の宗教を信仰しているわけではありませんが、母がカトリックということもあり、母の教育の根幹には「カトリックの教え」のようなものがありました。

前記の通り私はカトリックを信仰しているわけではないものの、幼少期にカトリックの教会に連れて行かれ、自分の意思とは関係なく洗礼を受け「パウロ」と言う洗礼名をもらいました。この場合、私もカトリック教

もっとみる
痔除伝 第十一章 前編 Have you ever smelled the Baked asshole?

痔除伝 第十一章 前編 Have you ever smelled the Baked asshole?

夜中、最後にスマホの時間を見たのが3:30頃だった。看護師さんに起こされ、検温したのが6:20頃。優しい笑顔で、眠れましたか?と聞かれ、世の中のすべてに裏切られたような、アウトローな男の表情で「いや……」と答える。

看護師さんは、理解を示すような苦笑いを浮かべ、

「急に環境変わると、そうですよねぇ。不安もあるだろうし……」

と、同意してくれたが、心の中で、「そういうことじゃねぇんだよ!」と叫

もっとみる
「w」なんか、使えない!

「w」なんか、使えない!

ご存知、(笑)にとって代わって幅広く使われるようになった、w。通称、草、である。

ネットスラングであり、あえて誤解を招くような言い方をすれば「元々はネットオタクや2ちゃんねらーの言葉」だった。

初めて目にしたのは15年くらい前のこと。このころ、まだ世間一般でwと聞いて思い浮かべるのは、(笑)という意味よりも辻ちゃんと加護ちゃんのふたりによるユニット「w(ダブルユー)」のことだった。多分。

もっとみる
痔除伝 第十章 eve

痔除伝 第十章 eve

5月に入り、医師、上司などと相談をした結果、7月半ばの入院と、その翌日の手術を決めた。

入院日を決める診察の日のこと。通院時は時期が時期だけに、マスクの着用と来院時の手指消毒が義務付けられているのだが、院内で突然マスクを外した老人男性がおり、すかさずスタッフが駆け寄ってマスクの着用を願い出た。

すると老人は、

「息苦しいんだよ!オレを殺す気か!」

と、怒鳴りつけ、騒ぎ始めた。

どうやら、

もっとみる
村上春樹が、純文学がわからない。

村上春樹が、純文学がわからない。

アヤノは激怒した。アヤノには純文学がわからぬ。アヤノは、エンタメ好きの中年である。マンガを読み、楽器と遊んで暮して来た。

ある日、竹馬の友のシンタロティウスから一冊の書を借りた。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』という書だった。とても面白いものだという。アヤノは早速持ち帰って読むことにした。

後日、アヤノはシンタロティウスに語勢を強くして質問した。

「さっぱり、意味がわからない

もっとみる
別れ際がスマートな男に憧れるけれど、いつだって私は泥まみれ。

別れ際がスマートな男に憧れるけれど、いつだって私は泥まみれ。

恋人から別れを告げられた途端、焦って結婚を持ち出してくる男は意外と多いという。実際に私の友人からもそういう人がいたと聞いたことがある。

失くしてしまいそうにならないと愛情と甘えに気付けず、土壇場になってなにがなんでも繋ぎ止めたくなるというダサ過ぎる男の性(サガ)であろう。

別れに面した男は、いつだって見苦しい。お腹が痛くなって何日も仕事を休んだり、飯も喉を通らなくなって何キロも痩せたりなど、男

もっとみる
痔除伝 第九章 怒りの金曜日

痔除伝 第九章 怒りの金曜日

入院の1週間前から、実際にテレワークへの移行が始まり、自宅に職場のPCを設置する。

緊急事態宣言により、通勤電車に乗らなくて良い、人と会わなくて良い、ということも公に推奨された。

人前に出なくて良いということは、その気になれば、着替えなくてもいいどころか、髪をセットする必要もない。

仕事中に暑いと思ったら、こっそり放り出したままのおキャンタマちゃんに、氷嚢を当てることだってできる。

私は塩

もっとみる
ごめんね、ようへいくん。

ごめんね、ようへいくん。

埃をかぶっていた写真立てを掃除した。飾られた写真には、高校の修学旅行で沖縄に行った時の写真や、卒業式の写真などの中に、成人式の写真が紛れていた。

写真立てなんて普段意識して見ないのだけど、改めてそれを見た途端、スイッチが入ったかのように思い出さなくて良い記憶が脳内に浮かび上がった。



ようへいくん、という同い年の幼なじみがいた。ようへいくんは隣の家に住んでおり、友達になった時の記憶もないほ

もっとみる