キーボードクラッシャーに癒される金曜深夜。

今週は、GWにもかかわらずいつもよりもちょっと忙しかった。余暇時間もあまりなく、くだらないことを考える余裕もない。そんな、ちょっと疲れてしまった時でも、サウナに行ったりお酒を飲んだり、運動をしたりすれば大抵のことはリセットできる。

しかし、緊急事態宣言でそれすらできなかったり、それでも元気が足りない時に行う、心の回復法がある。別に、疲労がポンと飛ぶ例のアレではなくて、

「キーボードクラッシャーの動画を見る」

これである。疲れた時はこれに限る。

15年くらい前に流行った有名な動画なので、多くの人が一度は目にしたことがあるのではないかと思う。しかし、驚くことにあんまり面白いと感じない人もいるらしい。幸い、私は笑いのツボが浅いので、これだけは何度見ても笑ってしまう。

見たことがない方のためにリンクを貼っておくけれど、ドイツ人の少年が発狂している動画なので、結構うるさい。音量には注意してほしい。また、多少の性的な表現がある。

この動画との出会いは、やはり10年以上も前のことだった。友人の家で酒を飲みながら彼の動画を見た時、私はしばらくの間笑いが止まらなかった。

いくつかのバージョンがあるが、このバージョンが好きである。

いわゆる空耳系の動画なのだけど、陽気に踊っていたと思いきや、突然「死ね！」と叫ぶ情緒不安定さや、「お○○こ、恥ずかしいー！」と頭を抱えたり、「あー、おっかし！」と言いながら笑っていたりするなど、行動と空耳が不思議とリンクしているところがおもしろい。

かと思いきや、「休まず、負傷してる妹おる」という悲しい過去を吐露するなど、不思議なストーリー性も魅力だ。

4分ほどの動画の中に面白さのエッセンスが凝縮されており、多分これまでで1000回以上見ている。これだけは、何回見ても飽きない。

1分を過ぎる頃からが見どころなのだが、1:20頃から笑いが止まらなくなり、毎回「とっかえGDPD」の辺りから声を出して笑うようになる。多分、家が火事になっても酒を飲みながらこの動画を見れば私は笑うだろう。下手したら親の葬式でも笑うかもしれない。

自分でPCのキーボードを壊しておきながら、「終わった、畜生」と言って笑う彼は、自分の情緒不安定ぶりや発狂ぶりを正しく自覚しており、「頭ん中修理して」と、つぶやく。

動画の途中で「ハードゲイ、仕事してないんでしょ？」と言っているが、恐らくレイザーラモンHGのことを指しているのだと思う。「ゲイ」と言う単語が相応しくないのでは？と言われている昨今。そのことで活動の場が狭められているのではと指摘した、ある種の予言かもしれない。

しかし、心配ご無用。彼は今でもHG（ホット・ガイ）と名を変えて、ゲイ能活動を継続中である。セイです！フォーー！！

動画の後半では「火箸で縛ってしばくぞ」と、高度なプレイを要求してくるが、「え、なんで縛ってしばくのに44万！？」と驚いているので、もしかしたら彼はSM風俗のぼったくりに引っかかってしまったのかもしれない。

その結果として節約生活を強いられることになり、「朝ごはんソーセージだけ」という状況になってしまったようだ。ドイツ人としての矜持なのか、ソーセージはやはり欠かさないらしい。

動画の締めは、とうとう発狂の最果てに行き着いてしまった彼が、

「天皇陛下万歳！！！」

と叫んで画面外に消えていくという、まさかの玉砕ラスト。ドイツ人にも尊皇精神が伝わっていたとは、驚きである。さすが枢軸国といったところだろう。頭が下がる思いである。

もしかしたら、彼は今もドイツで眞子さまに関わるニュースを見て、心を痛ませているかもしれない。

今現在も酒を飲みながらこの文章を書き込み、彼の動画を見ている。アルコールとの相性が素晴らしく、最高のつまみである。いまだに彼の動画で笑っているのは、世界で私だけかもしれない。

「とっかえGDPD」という、経済的な意味がありそうなのに実際には全く存在しない言葉が好きすぎて、いつかどこかで使ってみたい。

そんな風に感じる、30代半ば、独身。素敵な深夜の過ごし方である。