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#書評
境界散文【引用】Gabor Mate, M.D.『身体がノーと言うとき』
うわ、と思う。
わたしは、人体と、中身が分離している感覚がある。これは今に始まったことではなく、ではいつからかと問われると、分からない。それこそ、拒食症になった頃からかもしれない。わたしは生きるのが下手なので、いつもヘトヘトに疲れている。生きていくことは苦しい。死ぬのも苦しい。何もしたくない。だけどもわたしは体力がある。人より長時間働いても売上は伸びるし、人体の回復は早い。
看護助手をして
痛みと神散文 - 『麻酔はなぜ効くのか〈痛みの哲学〉』外 須美夫【書評】
麻酔科医で現在ペインクリニックの医師である外 須美夫氏の著者『麻酔はなぜ効くのか〈痛みの哲学〉臨床ノオト』を読んだ。
彼の、まるで医師とは思えない文学的センス、そして麻酔科医という視点からの衝撃的な臨床の記録に大変感銘を受けたため、軽く紹介させてほしい。
本書では麻酔の歴史や麻酔科医の誕生に触れたのち、著書である外氏の長い麻酔科医としての印象的な臨床経験が語られる。随所に彼のセンスを伺える詩や俳
花のノートルダム【ジュネ書評】
読み終わる。
巻末。
手紙の出だし。
本を閉じる
1942年
創造を終え、
この手紙を書いているときのジュネ、貴方は
心底、物語を作る喜びを感じていただろう。
(本作は獄中で書かれた)
すくなくともわたしならそう感じる。
この美しい手紙を読んだら
わたしは泣くかもしれないし、
はたまた、
さすがジュネ、とでもいえるような可憐な裏切りに直面し
苛立つかもしれない
期待は恐
「EDENA」English Edition【Moebius書評】
フランスにコミック文化があるのをご存知だろうか。
Moebius(Jean Giraud)は1938年フランス生まれの漫画家、アーティスト(2012年没)。
SF、ファンタジーをメインの作品を数多く手掛け、ホドロフスキーやルネ・ラルーとも制作を共にした。
ホドロフスキー、ルネ・ラルーと聞いて察した方も多いであろうが、かなりユニークなアーティストである。
本作「The World of Ede
レミングを知ってるか。【Richard Matheson" Lemmings" 書評】
レミングは北極付近に生息するネズミの一種。
大量繁殖と食糧を求めての大陸移動を3~4年のサイクルで繰り返し、移動の際に大量の犠牲を伴うことから集団自殺をする生き物として知られる。
その光景は" 死の行進" と称され、1958年公開のドキュメンタリー映画(ウォルト・ディズニー) " White Wilderness(邦題: 白い荒野) " で取り上げられ世界で知られるようになった。
彼らは海辺
ゴロヴリョフ家の人々「оспода Головлёвы」 【シチェドリン書評】
シチェドリンは19世紀後半のロシア、つまりドストエフスキーなどと同時代の風刺作家である。
そもそもシチェドリンという作家を私は知らなかった。光文社古典新訳文庫のZOOM配信で、ロシア語訳者の高橋和之さんが話題に上げており惹かれるまま購入。
本書「ゴロヴリョフ家の人々( оспода Головлёвы)」は1875年に書かれたシチェドリン唯一の長編小説。ロシアの農奴制度の崩壊とともに没落する貴