【読書】茶の本

 茶室は簡素にして俗を離れているから真に外界のわずらわしさを遠ざかった聖堂である。ただ茶室においてのみ人は落ち着いて美の崇拝に身をささげることができる。

 本書は岡倉天心、本名岡倉覚三による「THE BOOK OF TEA」の翻訳本です。
 なぜ岡倉天心の著作であるのに翻訳本であるかといいますと、本書はお茶の歴史を通して、アジア(中国、日本、インド)の思想とお茶の結びつきから、さらに美の感覚の欧

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俳句チャンネル ~固有名詞(作品名)編~

【はじめに】
この記事では、2020年11月26日に夏井いつき俳句チャンネルにアップされた動画『【固有名詞】作品名を使ってもOK?』についてお話ししていきます。

0.「こんな言葉、俳句に使って良いのか」シリーズ

このシリーズの前回をまとめた私の記事がこちらです。( ↓ )

1・2回目が今年夏に公開された「アルファベット(英語)」編でしたが、それ以来、約3か月ぶりの第3回は「固有名詞(作品名)

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漱石日記 (夏目 漱石)

漱石日記①

 今流に言えば漱石Blogです。
 漱石の日記をそのまま収録したものなので当初から作品として意識して書かれたしたものではありません。

 完成された文芸作品とは異なりますから、したがって自ずと感じ方・楽しみ方も変わってきます。
 一冊の中に異なる時期の日記をいくつか採録されていますので、その時々たびごとの生身に近い漱石の姿を知ることができます。

 その中で「修善寺大患日記」は、伊豆

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ヒポクラテスの秘匿

ヒポクラテスの「誓い」を読むと、現在で言うところの「守秘義務」を重んじていることが分かる。

古代ギリシアにも、プライヴァシー保護の観念があったのだ。

 

ドイツの政治哲学者、ハンナ・アーレントは『人間の条件』で「公的領域/私的領域」の峻別を説いた。

これは、古代ギリシアのポリス(都市国家)をモデルとしたものである。

やはり私的領域やプライヴァシーに関して、古代ギリシア人から学ぶことは多い

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代表的日本人(内村 鑑三)

代表的日本人 -西郷隆盛-

 日清戦争のころ、内村鑑三が日本文化を西洋社会に紹介するために記した代表作です。

 著作の中では、5人の人物が様々な分野における「代表的日本人」として選ばれています。
 その一番手が「新日本の創設者」としての西郷隆盛です。
 特にこの章は、全著作をとおしてもかなりナショナリズム的な書きぶりが強めになっています。が、ここでは、現代でも通じる(ある意味では西郷でなくても

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寺田寅彦随筆集(第1巻)(寺田 寅彦)

科学者と芸術家

 先に読んだ「〈数学〉を読む」という本の中で若手の数学者の方が推薦していたので、遅ればせながら寺田寅彦氏の随筆集を読んで見ました。

 科学者としての目と随筆家としての目という「複眼思考の実践」のようにも思えますし、科学者の目を入力とし随筆家の筆を出力とした「科学と文学のコラボレーション」とも言えます。

 そういった意味では確かに一風変わった感触の著作だと思います。
 特に「芝

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茶の本 (岡倉 覚三)

 言うまでもなく岡倉覚三(天心)の代表作です。

 解説によると「当時外国にあった著者が、故国恋しさの思いを茶事の物語によせ、英文でニューヨークの1書店から出版したもの」とのこと。

 全体の構成は体系的とは言い難く、それぞれの章の筆も、淡々としているかと思えば第6章(「花」)のようにかなり昂ぶった書きぶりになっているところもあり変化に富んでいます。
 内容は、東洋(日本)文化を西洋社会に理解させ

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良いとか悪いとか言われるのは、それより悪いものや、より良いものと比較されることによってである。(プラトン『パイドン』より意訳)

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【日記】11月9日〜11月15日

11月9日
昼前、ラジオからABBAの「マンマ・ミーア」が流れてきた。大好きな曲なのでイントロを聴いた瞬間に嬉しくなる。ところがヴォーカルが違う。悪くないけど、これは誰が歌っているんだ。一体何の音源なんだ。そんなことを考えていたらあっという間に曲が終わってしまった。すると「メリル・ストリープのヴォーカル版でお送りしました」とのこと。気になったので調べてみたら映画のサウンドトラックに入っているとか。

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クリスティーナの世界

十代の頃、岩波文庫の『アメリカ名詩選』を手に取り、その表紙に目を奪われた。

ワイエスの「クリスティーナの世界(Christina's World)」。

草原に横たわる、少女と覚しき後ろ姿。

遠方には家が見える。

少女は、突然その場所にワープさせられたかのような、新鮮な驚きを放っていた。

 

それから十余年、NHKの『日曜美術館』のワイエス特集を観て、驚愕した。

作者の意図は、私の解釈

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