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なんのはなしですか

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なんのはなしかわからない。だけど、重要なものなんて判断は誰にも出来ないでしょ。そんなはなし。
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2022年6月の記事一覧

使用方法を間違った事に気付いた私はこうしてnoteにやってきた。

使用方法を間違った事に気付いた私はこうしてnoteにやってきた。

SNSというものは、この世の中に多数のものが存在する。

私が生を受けて40年。存在を認識し始めて20年位だろうか。さだかでは、ない。

先日、振り返るとnoteを始めて一年経過したことに気付いた。しっかり書こうと思ったのは、まだ3.4ヶ月位だろうか。もともとはInstagramのバックアップのはずだった。私にだって私なりのnoteに至るまでのドラマがあるのだ。

振り返っとこう。

遡ること一

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胸に残る弾痕と女スナイパー

胸に残る弾痕と女スナイパー

【韓国ばなし】
私が彼とお付き合いを始めたのは、私が韓国語を独学で始めて1年目、なので、私が新卒で救命センターに配属され、初めての夜勤に右往左往していた頃のことで、それは今から19年前のことだった。

「このままだったら仕事に飲まれて、私はダメになってしまうかもしれない」

心を守る防御装置が働いた。
病院、看護師、死、やるせなさ…といった当時の日常とは全く別の「打ち込める何か」を探していた私は、

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デパートと流行を考える。駄々の落とし穴と親子の確認。

デパートと流行を考える。駄々の落とし穴と親子の確認。

休日に実家に帰り久しぶりにデパートへ出掛けた。それは私が小さい時から存在するこの街のアイコンみたいな場所だった。

当時から玩具売場は3Fで、規模こそ少子化の影響からか小さくなっているが、現在も存在しているゲーム売場にてどこかのお母さんと小さな兄弟を見かけた。

最近はあまり見ないがどうやら駄々をこねているようだった。

私はその様子を、どこか懐かしく思いながら邪魔にならないように見ていた。

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珈琲と喫茶店。大人になった僕に、笑顔とバストは未だに物語る。

珈琲と喫茶店。大人になった僕に、笑顔とバストは未だに物語る。

行きつけの喫茶店が欲しい。齢40の僕は、大人としての嗜みとしてそう考える。それは、誰しも願うし憧れるであろう。

僕が訪れるその店は行きつけとはほど遠く、駅近くにある雑踏の中の一軒だ。

未だに喫茶店で1人で何をしたらいいか分からず、ソワソワソワソワする。

起こるドラマがあるならば、文学誌などを片手に取り、在りし日の永井荷風や谷崎潤一郎。耽美派などに思いを耽けながら読書をしながらがいい。

ペー

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王家の鈴木

王家の鈴木

【ナースのはなし】
あるあるなのかもしれないが、病院というところはまぁ、その筋の方によく出会う。

しかも、腕やら裸体やらをよく目にするせいで、いつの間にやら刺青というものにも慣れっこになってしまった。

これは、救急で勤務していたときの話。

心筋梗塞で搬送された田中さん(仮名)、60代男性。

私のおぼろげな記憶では、搬入時に意識はなく、すぐに挿管(人工呼吸のため喉の管をいれること)され、カテ

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アオ空の下、カン動したはなし

アオ空の下、カン動したはなし

【虫エッセイ】
巷では夏日だなんだと言っているが、ここ北海道はまだまだ肌寒い日が続いている。

昨日の最低気温7℃。

なぜ最低気温で言うのか?
それは寒いアピールのため、でしょうかねぇ。

冬場、本州に雪が降ったときに北海道民が「大したことないのにあんなに騒いで」とか「これくらいで交通が麻痺してやれやれ」とか、そんな見方をすることを「北国目線」と言うらしい。
…私は「大変だろうなぁ」と思ってるけ

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隙間のスキマの好き魔

隙間のスキマの好き魔

【アサミの刄】
尻をねじ込む。

尻と尻との隙間に。

分厚いクッションとクッションの隙間に身をうずめるように、肉厚の尻をねじ込む。

「今日も成功したわ。こんな隙間ばかり狙ってる私って、ほんとに好き魔ね」

朝の混み合った地下鉄の中で、まだ3割ほど寝ぼけた脳が高揚感に包まれる。

通勤で地下鉄を利用している。
始発の次の駅だというのに、車内は混み合い、座席はほぼ埋まっている。

しかし「ほぼ」な

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先輩噺 仕事を楽しむヒサシの姿、目標にはならない。なんてな。

先輩噺 仕事を楽しむヒサシの姿、目標にはならない。なんてな。

東京生活に別れを告げた26歳の私は、人を相手にするより自然を相手にしたいと、地質調査の仕事に就いた。

26から30歳に渡るその時間は、人生の迷走というよりは、瞑想に近い。私にとって一種独特な世界にいて外界から閉ざされた期間である。それは、忘れ難い時期であり、そして忘れ難い1人の人間によりもたらされた奇跡の時期だ。

そう。先輩ヒサシという名の野生児と。

地質調査と言えば聞こえはいいが、
肉体労

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口吻に興奮してフフン。見失って悲憤。

口吻に興奮してフフン。見失って悲憤。

【昆虫エッセイ】

公園の中心にある広場を抜け、山へと続く散策路に差し掛かった。

左右から覆いかぶさる木々のアーチをくぐると、さっきまで体いっぱいに浴びていた陽の光が、今度は私の体から木の間を抜けてスルリ空へと立ち昇っていくように煌めき、影となり、辺りをまだら模様に染めていた。

空気の中をたゆたう光線につられて空を仰ぐ。

私の身長の倍以上ある枝の上。
柏の大きな葉の上の、小さな何かが、そこだ

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※ お食事中には決して読まないでください ※

※ お食事中には決して読まないでください ※

【ナースのはなし】

「信じられない、どんな指使いをしたら一度にそんなに沢山取れるの。」

20歳以上年上の先輩が、私の中指を見ながら驚愕の表情を浮かべて言った。

私は子供の頃から手先が器用だった。

米粒…まではいかなくても、小豆くらいの折り鶴を折ったり、編み物をしたり。

それがこんなところでも役立つなんて。

摘便が必要だと聞けば──いや、むしろ聞かなくても、そのニオイ──雰囲気のことだ─

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